single tear drop

ななもりあや

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それぞれの愛のかたち

それぞれの愛のかたち

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一方の紗智さんと鞠家さんはというと…………

真沙哉さんの事件が一段落し、鞠家さんは本当に刑事をきっぱりと辞め福島に移住し、彼の用心棒として新しい生活をはじめていた。

「マーどうしよう………」

朝ごはんを食べていた紗智さんの手が急に止まった。

「彼にはじめてデート誘われた。デートって、その、つまり…………」

頬を朱色に染め俯く紗智さん。

「するんでしょ、セックス………」

恥ずかしそうにボソボソと呟いた。

「はぁ?」

その場に居合わせた彼の笑顔が一瞬で凍り付いた。ご飯を食べていた柚原さんもごほんごほんとむせって、橘さんから差し出された水を慌てて口に含んだ。
一太と遥香は意味が分からずきょとんとして首を傾げていた。

「だって俺したことがないから。デートっていう意味、分からない」

「デートというのは、水族館や映画館など、好きなところに二人で一緒に出掛けることですよ。鞠家さんはバカ真面目ですからね。いきなりホテルに連れ込むような真似はしないと思いますよ。まずは、お互いを知ることから始めたいいと思いますよ」

橘さんが紗智さんの隣にそっと寄り添った。

「一人じゃ怖いけど、頑張る」

「えぇ」

橘さんの柔らかな笑顔に、固かった紗智さんの表情が緩み、それまで気まずかった空気が吹き飛んだ。



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