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あなたを一生守らせてください
あなたを一生守らせてください
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「サツがホームで俺を待っているらしい。なぁに、事情を聞かれるだけだ。安心しろ。紗智、悪いが未知や子供達を連れて後ろの3号車から下りろ。 渡会さんと紫さんが待っててくれているから。サツに目を付けられる前に改札口に向かえ」
「遥琉さんは?」
「俺のことは心配するな。俺は組長として菱沼組を守る責務がある。未知は母親として子供達を守れ。リーがどんな手で報復してくるか分からないんだ。橘や柚原と一刻も早く合流した方が安全だ」
後ろ髪を引かれる思いで泣く泣く彼と別れ、後方の3号車の出口に向かって子供達と紗智さんと一緒に移動をはじめた。
「ハルちゃん、あぶないからきをつけるんだよ」
一太が遥香の手を握ってくれて。足元に注意しながら仲良くホームに下り立つと、度会さんと紫さんが笑顔で出迎えてくれた。
「お、偉いな。さすがお兄ちゃんだな」
度会さんに褒められてニコニコの笑顔になる一太。ホームを行き交う大勢の捜査員の目が一斉に僕達へと向けられた。
「じろじろ見るんじゃねぇ。孫が怖がるだろう」
遥香を片腕でひょいっと抱き上げて、一太の手を握ると足早にエスカレーターへと 向かった。
「未知さん、紗智さんも」
紫さんに促され捜査員から逃げるように僕達もホームのなかほどにあるエレベーターまで早歩きで向かった。
「姐さんご無事で何より」
若い衆がエレベーターの前で待機してくれていた。
「下で橘さんと兄貴が待ってます。もう少しの辛抱です」
「ありがとう………えっと……」
姐さんは基本組に関わらない。
だからいちいち名前を覚える必要はない。
そう彼に言われたけれど、幹部も若い衆もみんな家族同然。大切にしなきゃ。そう思ったら不思議なもので、自然と名前を覚えることが出来た。でもまだ顔と名前が一致しない人が何人かいて覚束無いけど…………
ツンツンと尖った金髪に片耳だけピアスの彼。柚原さんの舎弟さんで名前は確か……
「有坂さん、で間違いないですか?」
「下っ端の見習いなのに………嬉しいです」
まさか名前を呼ばれるとは思ってもみなかったのだろう。目を丸くしてビックリしていた。
決して驚かすつもりはなかったの。
ごめんなさい。軽く頭を下げてからエレベーターに乗り込んだ。
「度会が褒めていたわよ。ちゃんと一人一人名前で呼んで、幹部も部屋住みも分け隔てなく平等に接する、若いのにたいしたもんだってね」
「遥琉さんは?」
「俺のことは心配するな。俺は組長として菱沼組を守る責務がある。未知は母親として子供達を守れ。リーがどんな手で報復してくるか分からないんだ。橘や柚原と一刻も早く合流した方が安全だ」
後ろ髪を引かれる思いで泣く泣く彼と別れ、後方の3号車の出口に向かって子供達と紗智さんと一緒に移動をはじめた。
「ハルちゃん、あぶないからきをつけるんだよ」
一太が遥香の手を握ってくれて。足元に注意しながら仲良くホームに下り立つと、度会さんと紫さんが笑顔で出迎えてくれた。
「お、偉いな。さすがお兄ちゃんだな」
度会さんに褒められてニコニコの笑顔になる一太。ホームを行き交う大勢の捜査員の目が一斉に僕達へと向けられた。
「じろじろ見るんじゃねぇ。孫が怖がるだろう」
遥香を片腕でひょいっと抱き上げて、一太の手を握ると足早にエスカレーターへと 向かった。
「未知さん、紗智さんも」
紫さんに促され捜査員から逃げるように僕達もホームのなかほどにあるエレベーターまで早歩きで向かった。
「姐さんご無事で何より」
若い衆がエレベーターの前で待機してくれていた。
「下で橘さんと兄貴が待ってます。もう少しの辛抱です」
「ありがとう………えっと……」
姐さんは基本組に関わらない。
だからいちいち名前を覚える必要はない。
そう彼に言われたけれど、幹部も若い衆もみんな家族同然。大切にしなきゃ。そう思ったら不思議なもので、自然と名前を覚えることが出来た。でもまだ顔と名前が一致しない人が何人かいて覚束無いけど…………
ツンツンと尖った金髪に片耳だけピアスの彼。柚原さんの舎弟さんで名前は確か……
「有坂さん、で間違いないですか?」
「下っ端の見習いなのに………嬉しいです」
まさか名前を呼ばれるとは思ってもみなかったのだろう。目を丸くしてビックリしていた。
決して驚かすつもりはなかったの。
ごめんなさい。軽く頭を下げてからエレベーターに乗り込んだ。
「度会が褒めていたわよ。ちゃんと一人一人名前で呼んで、幹部も部屋住みも分け隔てなく平等に接する、若いのにたいしたもんだってね」
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