352 / 764
修羅の妄執
修羅の妄執
しおりを挟む
くくっと鳥飼さんまで笑い出したから驚いた。
だって彼が笑う顔、初めて見たんだもの。
「正直、野郎同士の夫婦なんて有り得ないと思っていた。でも優璃と柚原を見て、考えが変わった」
「たまたま好きになった相手が同性だった、それだけの事だ。俺も、優璃も未知も・・・なぁ鳥飼、そろそろお前も身を固めたらどうだ?」
「まず相手がいない」
「はぁ?冗談だろ?キャバ嬢にモテモテだって聞いたぞ」
「いや、その・・・」
容赦ない突っ込みにたじたじになる鳥飼さん。 しどろもどろになりながら、独り言をぶつぶつと口にしていた。
颯人さんがコンビニで購入してきてくれたお弁当をレジ袋から取り出す橘さん。数を数えて何かに気がついたようだった。
「鳥飼さん、帰らないんですか?」
「邪魔していないんだ。別にいても構わないやろ」
「では食事が終わるまで大人しく待っていただけますか?」
「俺だけ晩飯抜き?」
不満を口にし不貞腐れる鳥飼さん。
その姿が誰かさんとそっくりで、思わずクスクスと声に出して笑ってしまった。
「普通笑うか!?」
じろりと脅すように睨み付けられた。ただでさえ顔がこわいのに、そんなに睨まないでほしい。
えへへ、笑って誤魔化そうとしたけれど、彼同様鳥飼さんにも通用しなかった。
【あまり食欲がないから食べてください】
ビクビクしながらお弁当を彼の前に差し出した。
「何だ、食べないのか?」
冷ややかな視線を痛いくらい感じながら、小さく頷くと、
「少しくらい食べろ。お前が残したので充分だ」
予想もしていなかったことを言われ、驚いて上目遣いに鳥飼さんを見ると、にっこりと笑顔を浮かべていた。
さっきまで僕のこと睨んでいたのに………
だって彼が笑う顔、初めて見たんだもの。
「正直、野郎同士の夫婦なんて有り得ないと思っていた。でも優璃と柚原を見て、考えが変わった」
「たまたま好きになった相手が同性だった、それだけの事だ。俺も、優璃も未知も・・・なぁ鳥飼、そろそろお前も身を固めたらどうだ?」
「まず相手がいない」
「はぁ?冗談だろ?キャバ嬢にモテモテだって聞いたぞ」
「いや、その・・・」
容赦ない突っ込みにたじたじになる鳥飼さん。 しどろもどろになりながら、独り言をぶつぶつと口にしていた。
颯人さんがコンビニで購入してきてくれたお弁当をレジ袋から取り出す橘さん。数を数えて何かに気がついたようだった。
「鳥飼さん、帰らないんですか?」
「邪魔していないんだ。別にいても構わないやろ」
「では食事が終わるまで大人しく待っていただけますか?」
「俺だけ晩飯抜き?」
不満を口にし不貞腐れる鳥飼さん。
その姿が誰かさんとそっくりで、思わずクスクスと声に出して笑ってしまった。
「普通笑うか!?」
じろりと脅すように睨み付けられた。ただでさえ顔がこわいのに、そんなに睨まないでほしい。
えへへ、笑って誤魔化そうとしたけれど、彼同様鳥飼さんにも通用しなかった。
【あまり食欲がないから食べてください】
ビクビクしながらお弁当を彼の前に差し出した。
「何だ、食べないのか?」
冷ややかな視線を痛いくらい感じながら、小さく頷くと、
「少しくらい食べろ。お前が残したので充分だ」
予想もしていなかったことを言われ、驚いて上目遣いに鳥飼さんを見ると、にっこりと笑顔を浮かべていた。
さっきまで僕のこと睨んでいたのに………
12
お気に入りに追加
511
あなたにおすすめの小説
罪人の僕にはあなたの愛を受ける資格なんてありません。
にゃーつ
BL
真っ白な病室。
まるで絵画のように美しい君はこんな色のない世界に身を置いて、何年も孤独に生きてきたんだね。
4月から研修医として国内でも有数の大病院である国本総合病院に配属された柏木諒は担当となった患者のもとへと足を運ぶ。
国の要人や著名人も多く通院するこの病院には特別室と呼ばれる部屋がいくつかあり、特別なキーカードを持っていないとそのフロアには入ることすらできない。そんな特別室の一室に入院しているのが諒の担当することになった国本奏多だった。
看護師にでも誰にでも笑顔で穏やかで優しい。そんな奏多はスタッフからの評判もよく、諒は楽な患者でラッキーだと初めは思う。担当医師から彼には気を遣ってあげてほしいと言われていたが、この青年のどこに気を遣う要素があるのかと疑問しかない。
だが、接していくうちに違和感が生まれだんだんと大きくなる。彼が異常なのだと知るのに長い時間はかからなかった。
研修医×病弱な大病院の息子
無自覚な
ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。
1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに
イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。
それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて
いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外
何をやっても平凡だった。
そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる
それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない
そんな存在にまで上り積めていた。
こんな僕でも優しくしてくれる義兄と
僕のことを嫌ってる義弟。
でも最近みんなの様子が変で困ってます
無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる