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過去に囚われたままの彼
過去に囚われたままの彼
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「まま、ただいま~!」
カランカラン、ドアベルの音がして、今度は遥香の元気な声が店中に響いた。
「じいじ、あかちゃん、かわいかった」
「そうか、良かったな」
「うん!」
彼に負けないくらい焼きもち妬きの裕貴さん。もし養子を迎えたら心が構ってくれなくなるからと拗ねて、駄々を捏ねたみたいで。養子を迎える話しはいつの間にかなくなり、代わりに仔犬か仔猫を飼うことになった心さんと裕貴さん夫婦。ペットショップに遥香も一緒に連れていってくれた。
「かわいい子いた?」
「それがね……ちょっと聞いてよ千里」
ムッとしてカウンター席に座り込む心さん。
「やっぱり飼うの止めようって彼。ペットショップにいたのたったの五分だよ、五分」
「もしかして、仔犬や仔猫にまで焼きもち妬いたの?」
「仔犬や仔猫じゃなくて、ハスムターに。すっごく可愛いハムスターがいてね、頭を撫でた途端に、彼の機嫌が悪くなって・・・帰るぞって」
「お前も焼きもち妬きの亭主を持って大変だな」
千里さんも茨木さんも呆れ返っていた。
「一太や遥香がいるから別に飼わなくてもいいんじゃないかって思っただけだ。これから、色々と忙しくなるだろうから」
ふて腐れながら心さんの隣に座る裕貴さん。お互い目も合わせず、気まずいまま時間が流れていった。
そんな二人を不思議そうに眺めていた遥香。
急に何を思い立ったのかパタパタと茨木さんのところへ駆けていった。
そしておしぼりを右手と左手に一つずつ握り締めすぐに戻ってくると、心さんと裕貴さんの前にそれぞれ置いた。
「はるちゃんといっしょにおやつをたべるちと、おててあげて!」
屈託のない笑顔を振り撒き二人に声を掛けた。
カランカラン、ドアベルの音がして、今度は遥香の元気な声が店中に響いた。
「じいじ、あかちゃん、かわいかった」
「そうか、良かったな」
「うん!」
彼に負けないくらい焼きもち妬きの裕貴さん。もし養子を迎えたら心が構ってくれなくなるからと拗ねて、駄々を捏ねたみたいで。養子を迎える話しはいつの間にかなくなり、代わりに仔犬か仔猫を飼うことになった心さんと裕貴さん夫婦。ペットショップに遥香も一緒に連れていってくれた。
「かわいい子いた?」
「それがね……ちょっと聞いてよ千里」
ムッとしてカウンター席に座り込む心さん。
「やっぱり飼うの止めようって彼。ペットショップにいたのたったの五分だよ、五分」
「もしかして、仔犬や仔猫にまで焼きもち妬いたの?」
「仔犬や仔猫じゃなくて、ハスムターに。すっごく可愛いハムスターがいてね、頭を撫でた途端に、彼の機嫌が悪くなって・・・帰るぞって」
「お前も焼きもち妬きの亭主を持って大変だな」
千里さんも茨木さんも呆れ返っていた。
「一太や遥香がいるから別に飼わなくてもいいんじゃないかって思っただけだ。これから、色々と忙しくなるだろうから」
ふて腐れながら心さんの隣に座る裕貴さん。お互い目も合わせず、気まずいまま時間が流れていった。
そんな二人を不思議そうに眺めていた遥香。
急に何を思い立ったのかパタパタと茨木さんのところへ駆けていった。
そしておしぼりを右手と左手に一つずつ握り締めすぐに戻ってくると、心さんと裕貴さんの前にそれぞれ置いた。
「はるちゃんといっしょにおやつをたべるちと、おててあげて!」
屈託のない笑顔を振り撒き二人に声を掛けた。
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