single tear drop

ななもりあや

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逆恨み

逆恨み

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「ごめんな、未知」

ううん、大丈夫。軽く首を横に振って、彼に体重を預けた。広い胸の硬さが心地いい。腕が肩に回ってきて、大きな体にすっぽりと包み込まれた。
庭では子供たちが、心さんや裕貴さんに水遊びやシャボン玉遊びをしてもらい、キャッキャッと賑やかに騒いでいた。
家中が笑いと笑顔で満ち溢れていた。
これが゛温かい家庭を築く゛ことなのかも知れない。彼と出会って良かった。彼の家族と出会って良かった。

「落ち着くまでは・・・と言っておきながらすまない」

しゅんと項垂れる彼。
心さんの話しでは、橘さんにみっちり説教をされたみたい。
あのあと、意識を失うまで彼が離してくれなくて。気がついたら夕方の4時を過ぎてて。
目が飛び出るくらいびっくりして、慌てて飛び起きた。
子供たちの面倒は心さんと裕貴さんがみててくれていたみいで。遥香はすっかり二人になついていた。
一太も休まずにちゃんと幼稚園に登園したみたいで、お義父さんが送り迎えをしてくれたと聞いたときは全身から血の気が引いた。
オヤジ、他の園児や先生方が怖がるからと口が裂けても言えない若い衆に代わり、根岸さんが何とかして思い留まらせようとしたみたいだけれど、誰もお義父さんを止めることは出来なかったみたい。

【遥琉さん、謝らなくてもいいから。僕の方こそ、ありがとう】

何気ない日常が愛おしと思えるこの幸せがいつまでも続きますように、そう祈りながら彼の胸に顔を埋めた。
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