single tear drop

ななもりあや

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大好きな彼と、一太とはじめてのデート

大好きな彼と、一太とはじめてのデート

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「彼は、縣遼成。従兄弟なんだ。同じ会派の縣一家の組長代理をしている。彼も、彼の弟も同性婚をしている。話し方が橘そっくりで、俺が一番苦手な相手だ」

 「そういう紹介の仕方はないだろが」 

「本当の事を言ったまでだ、何が悪い」

しれっとして答える卯月さんに、縣さんはため息を漏らしていた。
そんな彼と何気に目が合って、慌てて頭を下げた。


「未知さん、初めまして。縣です。卯月は女たらしで酒癖も悪い。別れるから今のうちですよ」

「ちょっと待て!」

「待ちません。こんな中年のオッサンのどこがいいんだか。なんなら、卯月よりましな男性を紹介しましょうか?」

「縣、いい加減にしろ!」

一太は、 ヒートアップする二人の口喧嘩を、あんぐりと口をあけ不思議そうに首を傾げて聞いていた。


「未知さん、折角のデートなのに邪魔してすみませんね」

 橘さんに声を掛けられ、首を横に振った。こうして、素の姿を垣間見ることが出来て嬉しかったから。

「未知さん、縣はあぁ見えてとても家族想いなんですよ」

橘さんがそう言って。二人を宥めに行ってくれた。

「縣、卯月は奥さんより未知さん一途ですよ。お互い年が離れていること気にしてませんし。心配しなくても相思相愛ですよ」

橘さんの言葉にドキっとした。
卯月さんが好きなこと、彼に知られてしまうんじゃないかとヒヤヒヤした。

【二人してそんなに見ないで欲しい】

心の中まで暴かれるようで怖くなった。

「まま、どうちたの?」息苦しい空気を変えたのはやはり一太だった。

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