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彼との再会
彼との再会
しおりを挟む「いい加減諦めろ」
颯人さんに手首を掴まれ車に再び連れ込まれそうになり、その手を払いのけ逃げ出した。
それからどのくらいの時間が経過したのかなんていちいち覚えていない。車で追い掛けてくる颯人さんから逃げながら、身を隠しながら、一太を必死で探し回った。でも結局見付からず、警察に頼るしかないと携帯を取り出した時だった。
「まま!」空耳かも知れないけど、息子の声が聞こえたような気がした。
「まま!」
2度目はハッキリと耳に届いた。
まさかと思って声が聞こえてきた方に目をやった。通りの向こう側。薄暗い街灯の下に一太がいた。
正確にいうと、卯月さんに抱っこされ声を上げ笑っていた。
【何で・・・彼が・・・?】
すぐには状況が把握できなくて。
何が何だか分からなくて。頭の中がパニックに陥った。
「いつまでぼぉーとしてんだ。一太、腹が減ってるんだぞ。飯食いに行くぞ」
知らない誰かに連れ去られたとき、あれほどギャン泣きしていた一太。
殺されるかもしれないと血眼になり必死に探し回ったのに。あまりにも元気な姿に拍子抜けしてしまい呆気にとられていた僕に、卯月さんの少し苛立った声が飛んできた。
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