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44 颯太の気持ちは⭐︎挿絵あり
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「俺……は……」
もう、頭がぼうっとして何も考えられない。
今答えてしまっても良いのだろうか。
そんな事を冷静に思う反面、抑えきれないほどの想いが込み上げてくる。
(俺、俺も…… っ)
「蒼井が……すき……っ」
……蒼井はズルい。
こんな風に迫られたら、抵抗なんて出来ない。
その上気持ちまで確認されたら、本音がダダ漏れてしまうに決まってる。
(蒼井のばか……)
内心文句を言いつつも、俺は甘えるような目で蒼井を見つめた。
「キス……お前とするの、気持ち、いい……」
「……っ!」
素直に伝えると、蒼井は切なげに眉を寄せ、再び俺の唇を奪った。
「んん、ふ……ぁ」
今はただ、こうしているのが気持ちよくて、幸せだ。
俺はもう抗う事はせず、されるがままに身を預けた。
・・・
ーーそれから一時間ほど経過し、俺たちは一旦落ち着いた。
もちろん、まだ蒼井の部屋にいる。
テーブルの上には俺がコンビニで買ってきたチョコレート・パフェが用意され、二人で食べることになった。
「颯太、これ好きだよなー。そんなにうまい?」
「うん、美味いよ。蒼井も食べてみろって」
「んー、俺あんまり甘いもん得意じゃないけど、颯太が勧めるなら……」
そう言って、蒼井は「あ」と口を開けた。
「え、なに?」
「あ、冷たい。食べさせてって言ってんの。ほら、あー」
「お、お前なー……」
なんだよ、なんだよこいつ。
今まであんなに俺の事からかって、子供扱いしてたくせに、今度は子供役なのかよ!?
普通に ″あーん″ とか全然慣れなくて、俺は頬を赤らめてフイッと顔を逸らした。
「やだ。なんか、恥ずかしい」
「えー、だめ。やって? あーーーー」
「も、もう! しつこいかよっ」
どうにもしつこい蒼井を振り切れず、俺は渋々スプーンを手に取った。
そして一口分掬うと、ずいっと蒼井の口元に差し出す。
「おら、食えっ!」
「あー……ん」
「……っ」
パクリ、と、蒼井は差し出されたパフェを食べた。
その光景に、俺は言葉も出ない。
(なんだこれなんだこれっ!?!?)
恥ずかしいというか、むずがゆいというか。
表現が難しいのだけれど、そんな感覚になる。
これは一回やるのが精一杯だ。
それなのに、蒼井はもう一回と催促してくる。
「ん、思ったより美味しいかも。てことで、もう一口」
「自・分・で・食・え!!」
俺はスプーンを突きつけると、断固拒否したのだった。
もう、頭がぼうっとして何も考えられない。
今答えてしまっても良いのだろうか。
そんな事を冷静に思う反面、抑えきれないほどの想いが込み上げてくる。
(俺、俺も…… っ)
「蒼井が……すき……っ」
……蒼井はズルい。
こんな風に迫られたら、抵抗なんて出来ない。
その上気持ちまで確認されたら、本音がダダ漏れてしまうに決まってる。
(蒼井のばか……)
内心文句を言いつつも、俺は甘えるような目で蒼井を見つめた。
「キス……お前とするの、気持ち、いい……」
「……っ!」
素直に伝えると、蒼井は切なげに眉を寄せ、再び俺の唇を奪った。
「んん、ふ……ぁ」
今はただ、こうしているのが気持ちよくて、幸せだ。
俺はもう抗う事はせず、されるがままに身を預けた。
・・・
ーーそれから一時間ほど経過し、俺たちは一旦落ち着いた。
もちろん、まだ蒼井の部屋にいる。
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「颯太、これ好きだよなー。そんなにうまい?」
「うん、美味いよ。蒼井も食べてみろって」
「んー、俺あんまり甘いもん得意じゃないけど、颯太が勧めるなら……」
そう言って、蒼井は「あ」と口を開けた。
「え、なに?」
「あ、冷たい。食べさせてって言ってんの。ほら、あー」
「お、お前なー……」
なんだよ、なんだよこいつ。
今まであんなに俺の事からかって、子供扱いしてたくせに、今度は子供役なのかよ!?
普通に ″あーん″ とか全然慣れなくて、俺は頬を赤らめてフイッと顔を逸らした。
「やだ。なんか、恥ずかしい」
「えー、だめ。やって? あーーーー」
「も、もう! しつこいかよっ」
どうにもしつこい蒼井を振り切れず、俺は渋々スプーンを手に取った。
そして一口分掬うと、ずいっと蒼井の口元に差し出す。
「おら、食えっ!」
「あー……ん」
「……っ」
パクリ、と、蒼井は差し出されたパフェを食べた。
その光景に、俺は言葉も出ない。
(なんだこれなんだこれっ!?!?)
恥ずかしいというか、むずがゆいというか。
表現が難しいのだけれど、そんな感覚になる。
これは一回やるのが精一杯だ。
それなのに、蒼井はもう一回と催促してくる。
「ん、思ったより美味しいかも。てことで、もう一口」
「自・分・で・食・え!!」
俺はスプーンを突きつけると、断固拒否したのだった。
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