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※33 電話の声に・2

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まるで完全に見透かされているかのような感覚に陥り、背中に嫌な汗が伝う。

こんなの絶対に当てずっぽうだと分かっているのに、言い逃れ出来る気がしない。

けれど、ここでバレたら最悪だ。

なんとしてでも隠し通さねば。

俺は声が震えそうになるのをどうにか堪えながら、苦しい言い訳を並べていく。


「てっ、テキトーな事言うなよ! そんなん、してるわけねぇだろ!?」


『ふぅん? じゃあ、なんで声掠れてんの?』


「そ、れは……っ昼寝だ、昼寝! 悪いかよ?」


『こんな夜遅くに、昼寝ねぇ』


「……!」


しまった。

そういえば今は夜なのに、全然意識していなかった。

頭から血の気が引いていき、顔が青ざめる。

もうだめだ、これで完全にバレた。

俺は自分の濡れた下半身を見下ろし、顔を真っ赤に染め上げた。


(どうしよう、恥ずかし過ぎる……っ)


すると少しして、蒼井の声が再び耳をくすぐり始める。


『あーあ、バレちゃった、ね? ふふ、どうしよっかなぁ……』


スマホの向こうで、蒼井がニヤニヤしているのが分かる。

そんなのムカつくし、何か言い返してやりたいのだけれど、もう恥ずかし過ぎてそれどころではなかった。

俺はとにかく、蒼井が諦めて通話を切ってくれる事を願いながら無言を決め込む。

と、蒼井は何か決断したように口を開いた。


『……このまま、最後まで付き合ってやるよ』


「え……は!?」


何を言い出すかと思えば。

俺は顔をブンブンと横に振って全力で拒否した。


「いいいいいい、いいです! 遠慮します!! じゃあっ!!」


勢いよく言って、通話終了ボタンを押そうとすると、引き留めるかのように蒼井の声が聞こえてきた。


『颯太……切らないで』


「……っ」


蒼井のくせに、そんな切ない声出すんじゃねぇよ。

切るに切れなくなり、俺はもう一度スマホを耳にあてた。


『颯太、聞いてる?』


「……んだよ」


こうなったらもう開き直るしかない。

俺はベッドに腰を下ろすと、はぁ、とため息をついた。

それを聞いていた蒼井は、コホンと小さく咳払いする。


『ん……ちなみに、今どんな格好してんの?』


「え……!? そ、それは……っ」


今、俺は太ももの辺りまでズボンを下げた状態で、パンツは履いたままローションでトロトロに濡れている。

中心はいまだに硬さを保っており、濡れたパンツを押し上げていた。


(って、こんなの説明できるかっ!)


こんないやらしい格好について説明するなんて、あまりにも恥ずかし過ぎる。

それなのに、蒼井は強引に言葉で攻めてきた。


『なに、言えないぐらい恥ずかしい格好してるとか?』


「ちっ、ちが……っ」


いや、この格好は恥ずかしい。

たとえ見られていなくても、この格好で通話をしているという事実だけで、顔が熱くなってしまう。


(やっぱり切ろう……!)


このまま耐えられる気がしなくて、俺は無言のまま通話終了ボタンに指先を伸ばした。

ところが、蒼井はまるで見えているかのように阻止してくる。


『……切るなよ?』



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