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「ゆ、優真……落ち着けよ」

「これが落ち着いていられますかっ!こんな可愛い弟にキスなんて強請られたら、放っておける訳がない……!!」

「だからっ!弟じゃねー……っんん!」

反論しようとするも、それは阻止される。

手首は痛いほどに壁に押し付けられ、口腔を縦横無尽に舐め取られれば、胸の鼓動は急速に速まっていく。

「優、真……待っ……」

喘ぐように言うと、僅かにキスから解放された。

「陽斗……」

しかし、優真の瞳は熱を帯びたまま俺を真っ直ぐに見つめている。

俺が思っている以上に、優真の熱は燃え上がっているように見えて、胸の奥がきゅうっと締め付けられる。

俺は戸惑いながら、優真にストップをかけた。

「優真……待てよ。手、離して。痛い……」

「ごめん。でもまだ、だめ。陽斗は今、僕だけのものだから……ほら、耳かして」

「え、や……あっ」

今度は耳にキスが落とされ、縁をなぞられる。

「やぁっ……耳は、ダメ……っ」

「ん……だから攻めてる。陽斗、ビクビクしてかわいい。好きだよ」

「あっ……」

耳元で甘く囁かれ、俺はたまらず爪先立ちになり、壁に背中を押し付ける。

ドキドキが止まらず、ぎゅうっと目を瞑って耐えていると、ようやく手首が解放された。

それから、ふわりと温かい腕に抱きしめられ、一気に緊張が解けていく。

「……優真?」

「はぁ……強引にして、ごめん。ひたすら可愛い陽斗を見ていたら、とてもじゃないけど我慢出来なかったよ」

そう言って、優真は僅かに身を離すと、柔らかな笑みを浮かべた。

そして続ける。

「改めて感じるよ……これが恋なんだね。こんな感情になるなんて、僕は以前まで全く知らなかったんだよな。君を独占したいと思えば思うほど、胸が苦しくなるし、なんてドロドロした感情なんだろうとも思う。けど、止められないんだ」

「優真……」

珍しく、真面目に語るじゃねぇか。

いつもは見せない表情に、ドキリとする。

(そんな顔、するんだな……)

初めて見る優真の苦悩するような切なげな表情は、なんだかとても色っぽく見えて目が離せない。

これはきっと、優真が俺だけに見せる顔なのだろう。

(嬉しい)

そう思い、俺は頬を僅かに赤く染め、優真のシャツの裾を指先で掴んだ。

「陽斗?」

「……っこいい。優真」

「え?」

「だ、だから……っ!カッコいいって、言ってんだよっ……!」

恥ずかしくてぶっきらぼうに言うと、優真は片手で自分の口元を覆い、照れたような仕草をする。

「そ、そか……うん」

そして、暫しの沈黙が落ち、優真がポツリと言った。
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