168 / 175
16
168 映画よりも君が気になる
しおりを挟む
優真が見たい映画――それはズバリ。
「ベッタベタの恋愛映画……」
「ふふん、そうなんだ。ほら、以前から僕は恋愛に関して疎いだろう?だから、この映画は是非とも見なければと思っていたんだよ」
「やっぱそういう動機なのか……」
優真というやつは、とことん恋愛について学びたいらしい。
まぁ俺は特にこだわりもないし、いいのだけれど。
と、そんなこんなでベッタベタの恋愛映画がスタートした。
「…………」
部屋に沈黙が落ち、スピーカーから緩やかな音楽が流れてくると、舞台となる背景が映し出された。
その背景に主人公の姿が映り、ゆっくりとしたテンポで場面が転換していく。
そして相手役が現れ、ストーリーが新たな展開を迎え……
(……優真、真剣に見てる)
ふと気になり隣に目をやれば、優真は真剣な表情で画面に見入っていた。
(ほんと、恋愛について興味津々なんだな。でも……)
少しだけ寂しさを覚え、俺は顔を僅かに俯けた。
優真は俺の隣に座っているものの、別々の椅子なので少し距離がある。
これがソファーなら、ジリジリと距離を詰めていけるのだが、個別の椅子だとそうもいかない。
(うぅ、映画に集中して忘れなきゃ)
俺は煩悩を打ち消そうと映画の内容に集中する。
しかし、どうしても隣にいる優真の事が気になってしまい、落ち着かない。
(くそ……っ少しだけ)
耐え兼ねた俺は考えた挙句、テーブルの上にそっと手を置いてみた。
すると、優真は気付いたのか、チラリと俺の手を見た。
(優真……?)
少しドキドキしながら待っていると、ふいに優真の手がテーブルの上へと伸びてくる。
(くる……っ)
しかし、その手は用意されていたお茶菓子へと逸れていき、クッキーの入った包みを取って戻っていく。
(おい……)
……俺はクッキーに負けたのか?
俺 < クッキー。
いやいやいや、そんな馬鹿な。
(くっそ……)
隣では優真が呑気にクッキーをかじりながら映画に見入っている。
これは……俺が思い描いていた映画鑑賞と少し違う。
恋人同士なら、もっとこう手を繋ぎながらとか、肩を寄せ合いながらとか、しながら見るものではないのか。
(むぅ……!少しは意識しろよな!こうなったら……)
あろうことか、クッキーに嫉妬した俺は次なる作戦に出た。
「ベッタベタの恋愛映画……」
「ふふん、そうなんだ。ほら、以前から僕は恋愛に関して疎いだろう?だから、この映画は是非とも見なければと思っていたんだよ」
「やっぱそういう動機なのか……」
優真というやつは、とことん恋愛について学びたいらしい。
まぁ俺は特にこだわりもないし、いいのだけれど。
と、そんなこんなでベッタベタの恋愛映画がスタートした。
「…………」
部屋に沈黙が落ち、スピーカーから緩やかな音楽が流れてくると、舞台となる背景が映し出された。
その背景に主人公の姿が映り、ゆっくりとしたテンポで場面が転換していく。
そして相手役が現れ、ストーリーが新たな展開を迎え……
(……優真、真剣に見てる)
ふと気になり隣に目をやれば、優真は真剣な表情で画面に見入っていた。
(ほんと、恋愛について興味津々なんだな。でも……)
少しだけ寂しさを覚え、俺は顔を僅かに俯けた。
優真は俺の隣に座っているものの、別々の椅子なので少し距離がある。
これがソファーなら、ジリジリと距離を詰めていけるのだが、個別の椅子だとそうもいかない。
(うぅ、映画に集中して忘れなきゃ)
俺は煩悩を打ち消そうと映画の内容に集中する。
しかし、どうしても隣にいる優真の事が気になってしまい、落ち着かない。
(くそ……っ少しだけ)
耐え兼ねた俺は考えた挙句、テーブルの上にそっと手を置いてみた。
すると、優真は気付いたのか、チラリと俺の手を見た。
(優真……?)
少しドキドキしながら待っていると、ふいに優真の手がテーブルの上へと伸びてくる。
(くる……っ)
しかし、その手は用意されていたお茶菓子へと逸れていき、クッキーの入った包みを取って戻っていく。
(おい……)
……俺はクッキーに負けたのか?
俺 < クッキー。
いやいやいや、そんな馬鹿な。
(くっそ……)
隣では優真が呑気にクッキーをかじりながら映画に見入っている。
これは……俺が思い描いていた映画鑑賞と少し違う。
恋人同士なら、もっとこう手を繋ぎながらとか、肩を寄せ合いながらとか、しながら見るものではないのか。
(むぅ……!少しは意識しろよな!こうなったら……)
あろうことか、クッキーに嫉妬した俺は次なる作戦に出た。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
人体実験サークル
狼姿の化猫ゆっと
恋愛
人間に対する興味や好奇心が強い人達、ようこそ。ここは『人体実験サークル』です。お互いに実験し合って自由に過ごしましょう。
《注意事項》
・同意無しで相手の心身を傷つけてはならない
・散らかしたり汚したら片付けと掃除をする
[SM要素満載となっております。閲覧にはご注意ください。SとMであり、男と女ではありません。TL・BL・GL関係なしです。
ストーリー編以外はM視点とS視点の両方を載せています。
プロローグ以外はほぼフィクションです。あとがきもお楽しみください。]
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
王様は知らない
イケのタコ
BL
他のサイトに載せていた、2018年の作品となります
性格悪な男子高生が俺様先輩に振り回される。
裏庭で昼ご飯を食べようとしていた弟切(主人公)は、ベンチで誰かが寝ているのを発見し、気まぐれで近づいてみると学校の有名人、王様に出会ってしまう。
その偶然の出会いが波乱を巻き起こす。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる