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――食後。
「はぁ、お腹いっぱい……けど、美味かったな」
俺は満足のため息と共に言葉を漏らした。
優真の作った特製オリジナル・ボロネーゼは、麺が少し伸びてはいたものの、かなりの出来栄えだった。
今度はちゃんと、伸びる前に食べたい。
おそらく、優真も同じ事を思ったのではないだろうか。
向かいにチラリと視線を向けると、優真も満足気な表情を浮かべていた。
「少々、麺が伸びていたけれど、我ながら美味しかったよ。次回は、出来たてを一緒に食べようね」
言いながら、優真は俺の手を取り、ふわりと微笑む。
「う、うん」
少しぎこちなく頷くと、優真はクスッと笑い、椅子から立ち上がった。
そして簡単にテーブルの上を片付けると、サッとスマホを取り出し……
「陽斗、メッセージ送って?」
「へ?なんで?」
「ん~、さっき成瀬君とやり取りしてたの見てたら、僕も陽斗としたくなった」
「は?なにそれ……」
こんなに近くにいるのに。
なんだか可笑しくなって、俺はつい吹き出した。
「あ、笑うことないだろう?」
「だ、だって……!優真、嫉妬し過ぎだから……ふふっ」
「わーらーうーなー。あ、陽斗?外でもエンジェルって呼ぶよ?」
「……!」
脅しをかけられ、俺はピタリと笑うのを止めた。
こうして、何故か部屋の中でメッセージのやり取りが始まった。
――食後。
「はぁ、お腹いっぱい……けど、美味かったな」
俺は満足のため息と共に言葉を漏らした。
優真の作った特製オリジナル・ボロネーゼは、麺が少し伸びてはいたものの、かなりの出来栄えだった。
今度はちゃんと、伸びる前に食べたい。
おそらく、優真も同じ事を思ったのではないだろうか。
向かいにチラリと視線を向けると、優真も満足気な表情を浮かべていた。
「少々、麺が伸びていたけれど、我ながら美味しかったよ。次回は、出来たてを一緒に食べようね」
言いながら、優真は俺の手を取り、ふわりと微笑む。
「う、うん」
少しぎこちなく頷くと、優真はクスッと笑い、椅子から立ち上がった。
そして簡単にテーブルの上を片付けると、サッとスマホを取り出し……
「陽斗、メッセージ送って?」
「へ?なんで?」
「ん~、さっき成瀬君とやり取りしてたの見てたら、僕も陽斗としたくなった」
「は?なにそれ……」
こんなに近くにいるのに。
なんだか可笑しくなって、俺はつい吹き出した。
「あ、笑うことないだろう?」
「だ、だって……!優真、嫉妬し過ぎだから……ふふっ」
「わーらーうーなー。あ、陽斗?外でもエンジェルって呼ぶよ?」
「……!」
脅しをかけられ、俺はピタリと笑うのを止めた。
こうして、何故か部屋の中でメッセージのやり取りが始まった。
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