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(うぅ、気になるよー……!)

このままでは、今夜眠れなくなりそうだ。

独占欲の塊と化した自分に嫌気がさす。

しかし、このままでは精神衛生上、非常に良くない。

考えた末、俺はそれとなく聞いてみることにした。

俺は恋人繋ぎにされたままの手に、僅かに力を込めて優真を見上げる。

「なぁ、このスゴロク、サークルメンバーとはもうやったんだよな?どんな感じだった?」

……よし。

なんとか自然な感じに聞けたと思う。

あとは、なるべく平静を装いつつ、返事を待つべし。

すると、優真は”ああ”と、目を僅かに見開いた。

「サークルメンバーとか……いや、実はね」

少し間をおいて、優真は言った。

「実は、このスゴロクをまともにやるのは今日が初めてなんだよ。メンバー達とは、お試し的に少しやってみたってぐらいかな。なんか、変な盛り上がり方をしてしまってね、途中で中断したんだ」

「へ、変な盛り上がり方?」

気になる。

まぁ、ある予想がつくけれど、一応真相を聞いておきたい。

優真はため息を漏らし、答えた。

「変な盛り上がり方っていうのはね、つまり……みんな、僕と手を繋ぎたいとか、見つめ合いたいとかキスしたいとかで大騒ぎになってしまって、結局、収集がつかなくなって強制終了したってわけさ。まぁ、男が僕しかいないサークルだから仕方ないのだけどね」

「あー……」

やはり、そういうことか。

それなら大いに納得だ。

ていうか、男が一人しかいないから、という問題ではないだろう。

なんたってサークルメンバー=東条優真ファンなのだから、奪い合いになるに決まってる。

でも、自分がそういう立場なのだと自覚できないのが優真なのだ。

(ったく……少しは自分がイケメンなんだとか、モテるんだって事を自覚しろよな)

半分呆れつつも、俺はちょっと安心して笑みを漏らした。

(思ってたよりも軽いノリのイメージだったし、そこまで心配いらないかも?)

まぁ中には本気で優真を好きだというヤツもいるかもしれないが、優真がこの調子なら……

なんて、安心し過ぎだろうか。

「陽斗君?」

「いや、なんでもない。てか、大混乱の中で困り果てる優真、想像つくなって思って……くくっ」

「あ、もう。笑い事じゃないんだよ。ほんと、大変だったんだから……こら、陽斗君?そんなに笑ってると……」

ニヤニヤ笑う俺を止めようと、優真が突如、脇腹をくすぐってくる。

「ひゃっ……!?わ、分かった!悪かったって……っあははっ」

「ほんとに?うりゃっ!」

「ほんとに……っ!だからやめっ……」

ウンウン頷いてみせると、優真はようやく手を止めた。

「はぁ……もー、死ぬかと思った」

「ふふ、陽斗君がいけないんだよ?陽斗君が……」

言いかけて、優真は少し沈黙した後、俺に聞こえるか聞こえないかぐらいの小声で付け足した。

「笑うと、可愛いから……」

「え?」

今のは、聞き間違いだろうか。

思わず見上げると、優真の手が顎にかかる。

「なんだろうね、陽斗君……君という存在は、僕にとっては刺激が強すぎるよ。キスするのも、クセになってしまいそうだ……この衝動を、受け止めてもらってもいいかい?」

「……っ」

クセになりそうって、もうなってるだろ。

衝動なら、キス以上の事だって俺は受け止めてやる。

(くそ……俺はもっと、したいのに)

そう思って軽く睨むと、そのまま引き寄せられて唇が重なった。

「ん……」

あーもう、早く自覚してくれ。

正直、下半身の我慢が限界なんだよっ!

はぁ……ため息出る。

そんな事を思いつつも、俺は暫く、甘噛みするような甘々のキスを受け止めた。
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