【BL】キス魔の先輩に困ってます

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チラリと隣を伺うと、東条がニコニコ顔で俺の肩を抱き寄せる。

｢やっと隣に来てくれたね、麗しのエンジェ……｣

｢ぶっとばす｣

｢……陽斗君♡｣

｢よし｣

牽制すると、東条は素直に言い直した。

(やっっっぱり！さっきのエンジェルも俺の事だよな！？)

まったく……油断も隙もない。

人前で気安く抱きしめたり、エンジェル呼びするのはやめて頂きたい。

(ていうか、ふつーに勘違いしそうになるしっ)

……とは言いつつも。

こうして人前で特別扱いっぽくされるのは、ちょっと優越感かも。

(他のやつと比べて、俺、少しは特別なのかな……)

そうなら、嬉しい。

｢……ふん｣

｢ん？どうかした？｣

｢別に｣

可愛くない態度をとりつつ、俺は東条に身を寄せたまま肩の力を抜いた。

すると、東条がチラリとこちらを見下ろし、女子達には聞こえないよう、耳元でそっと囁く。

｢ごめん、嫌だった？｣

｢……っべ、別に！つか、離れろっ｣

耳に吐息を感じ、急に恥ずかしくなった俺は、咄嗟に東条の胸元を押す。

けれど東条は離してくれない。

むしろ、もっと強く腰元を引き寄せられ、鼓動が速くなっていく。

｢あっ……｣