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キスとハグは二人の時に

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「俺は……お、お前の、その、ハグとか、そーいうのを受け止める”役”なんだから、なんかこう……他の奴らより、お前に近い感じの方が、イメージ的にも合ってるんじゃねぇかなっ、て……だから、やっぱお前の言う通り、名前で呼んだ方が、いんじゃねって思って……だっ、だから!イメージの為であって、深い意味とか、無理してるとか、そんなん無いから……!」

……違う。

イメージの為なんかじゃない。

俺はこんな事、言いたい訳じゃなかった。

もっと素直に、”お前にとってもっと特別な存在になりたい”って、ただそれだけを言いたかった。

それでその後は、”よく出来ました”って、褒めて欲しかった。

甘やかされたかった。

もっと言うなら、”嬉しいよ”って言って、抱き締めて欲しかった……

(全然違うじゃん……俺のばか)

俺はすっかり、自己嫌悪に陥ってしまった。

しかし、東条は一人、なにやら大いに納得したようで。

「……ああ、なるほどね!そういう事だったのか……でも、本当に無理はしなくていいんだよ?」

東条は俺がただ単に無理をしていると思っているようで、引き続き俺の顔色を伺っている。

しかも、イメージの為に呼んだというのも、信じたようだ。

(ちゃんと言わなきゃ、また変に話が拗(こじ)れるかも……)

けれど、俺はすっかりタイミングを逃したようだった。

仕方なく、俺はどうにか気持ちを立て直し、そっと振り返った。

「別に……てか、誰だって最初はそういうの、慣れないもんじゃねぇの?○○って呼んでって言われて、すぐに自然と呼べるわけでもねぇだろ。最初は少し……照れが入ったり、するもんだろ」

特に俺は、と、心の中で最後に付け足す。

すると東条は、顎に手を当てて、フム、と考えるポーズをとった。

それから少しして、何かハッとしたように顔を上げる。

「そうか……確かに、そういう過程を経て、そのうち自然と名前で呼べるようになるのかもしれないね。特に陽斗君は照れ屋さんだから……すまない、僕は陽斗君がとても無理をしているように見えて、ただただ負担なのではないかと心配ばかりしてしまった。陽斗君は僕の提案に対して前向きに検討し、勇気ある第一歩を踏み出してくれたというのにね……うんうん。……ふふ、ちょっとこっち、おいで?」

「な、なんだよ……」

ジト目で睨みながも、俺はおずおずと東条の側へ行く。
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