【BL】キス魔の先輩に困ってます

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暫く沈黙があった後、東条が小さく息を吐いて言った。

「そうだ。おかゆ作ったんだけど、食べる？さっき熱を測ったら38度もあったから、薬も飲んだ方がいいよ」

「……いらない」

(つーか、熱計られたのか俺……！？)

寝ている間に体温計を脇に突っ込まれたのかと思うと、やたら恥ずかしくなる。

顔に熱が上るのを感じ、俺は東条に背を向けてボソッと返事をする。

と、クスリと笑うのが聞こえ、俺はついカッとなって振り返った。

「んだよ」

「ああ、ごめんね。いや、意地っ張りだなって……ふふっ」

「……っ」

更に笑われて、恥ずかしい。

（くそっ……！体調さえ良ければ、こんな所、すぐに出ていくのに……っ！！）

しかし、体は鉛のように重く、とても動ける気がしない。

完全なる不可抗力というやつだ。

俺はイラつくの抑え、布団に潜り込んだ。

すると、東条が去っていく気配がして、俺はそっと布団から顔を出す。

（どこ行くんだろ……どうでもいいけど）

ぼうっとしながらも耳を澄ませていると、なにやら向こうからカチャカチャと食器の音がする。

おそらく、食事の準備をしているのだろう。

（いらないって言ってるのに……）

俺は知らないフリを決め込むべく、もう一度布団の中に深く潜り込んだ。