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聖女の墓
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それから一ヶ月後、ルイスとイェリは結婚した。
前妻を亡くしたばかりだというのに節操のないことだと揶揄する者もいたが、前妻のサリーヤが病気で伏し、最後までルイスが看取ったこと、結婚相手は幼馴染の女性だということで、次第に二人の結婚に意を唱えるものもいなくなった。
ルイスはサリーヤと夫婦だった頃は、王宮内にある離宮を与えられ住んでいたようだが、イェリと再婚してからは、王宮の外にある元貴族が住んでいた屋敷に移り住んだ。
サリーヤは元々両親が農家をやっていたこともあり、花や植物を庭で育てることが夢だった。色とりどりの花を庭に植え、毎日花壇の手入れをすることが毎朝の楽しみだった。
色鮮やかにきれいに並んでいる花を見ていると、いつかの青空の下に並べられた色とりどりの絹を思い出すのだ。
「イェリ様ー!アクレン様がお見えになりましたよ。」
ユリナにそう声をかけられ、イェリは立ち上がると玄関までアクレンを出迎えに行った。
アクレンは魔王討伐の時点では騎士団長という立場だったが、今は軍最高司令部の指揮官になっていた。
国王の最側近であるルイスとは頻繁に顔を合わせ、互いにいい関係を築けているようだ。
エイデルは魔法使いの中でトップの地位を築いた。数いる年配の重鎮らを実力のみで黙らせ、今だに身体をはって戦闘に参加するその姿は、皆の尊敬の的となった。
魔王討伐の旅をした勇者一行は、全員が栄華の一途を辿り、皮肉にも三人を苦しめた聖女サリーヤだけが死んだ。
アクレンは屋敷が近いこともあり、空いた時間によくイェリに会いに来てくれた。
この三年で何があったのか、イェリはルイスに尋ねたことはほとんどなかった。
彼は彼なりに、イェリが消えた後思うことが多かったのだろう。
前妻の聖女サリーヤについてはあまり多くを語らなかった。
彼女を愛していたのか、そうではなかったのかイェリには分からないが、彼女が亡くなった今、そのことを聞いたところでルイスの傷を抉るだけだ。
今、イェリはルイスに身も心も心底愛され大事にされている。
とても幸せだし、過去にこだわるつもりはないが、全く気にならないかと言われれば嘘になった。
アクレンとイェリはテラス席に座り、花を眺めながら話をした。
イェリはかつて、アクレンに対し淡い好意を抱いていたし、彼もイェリを少しばかりは特別に思っていたのではないかという自負はあった。
時が流れた今、互いにそのことについてなにか言及することもなかったし、ルイスにも、イェリとアクレンの間にあった出来事は言う必要はないと思っていた。
「アクレン様、アクレン様はあれからどう過ごしてたんです?」
アクレンは少し考えるような仕草をし、ゆっくりと口を開いた。
「·······俺たちが、イェリが消えたと気が付いたのは、情けないことに数日経った後だったな。薬剤部に君に会いに行ったら、『イェリはもうここを辞めました』って言われたんだよ。最初は自分で出ていったって聞かされたんだけど、調べたら王女とサリーヤが関係してるって分かって······でも、君の居場所は全く分からないしどうすることもできなかった。ルイスは辛そうだったな───まぁ、でも生きてればいつか会えるって信じることにしたんだ。次会ったときに、君に恥じない人間になろうって、そう思って今まで過ごしてきた。」
「そうだったんですね。」
イェリはアクレンの話を聞き嬉しくなった。イェリが死んだように生きていた間、彼らは苦労と努力を重ね今の地位を築き上げたのだ。
「あの········ルイスには聞けないでいるんですが、サリーヤ様はご病気だったんですか?最後に会ったときには全くそういうふうには見えなかったからびっくりして───」
サリーヤの名前を出した時、アクレンの表情が一瞬強張ったような気がした。
「─────ああ。詳しくは知らないが、急に悪くなったみたいだな。俺は見舞いには行かなかった。」
アクレンが見舞いに行かなかったとは意外だった。
過去に遺恨があったとしても、同じ旅をした仲間だ。魅了という力によるものだが、かつて愛したことのある女性ならば見舞いの一つや二つ行くのかとイェリは勝手に思っていた。
「アクレン様、私、聖女様のお墓に行きたいんです。王宮の中にあると聞きました。」
アクレンは眉を寄せ理解できないというような顔をした。
「サリーヤの墓に?なんでまた········三年前、イェリはサリーヤにひどいことをされたんだろう?祈りなど捧げなくていい。」
アクレンは呆れるようにそう言ったが、イェリはどうしても墓を訪れたかった。
祈りを捧げたいわけではなかったが、このままサリーヤの存在をなかったことにしてルイスと共に生きていくことが、なんだか忍びなかったのだ。イェリなりのけじめをつけたかった。
◇
アクレンから教えて貰った聖女サリーヤの墓は、王宮の一番奥にある、王族達が永眠する墓地の一角にあった。
隣には王女の墓も立てられている。
三年前、イェリは二人の目の前でみっともなく膝を床につき、助けてくれと泣いてすがった。あの時牢屋の中で、自分はここで死ぬのだと諦めかけていた。
しかし今となっては、二人はこの世にいない。イェリだけが生き残り、サリーヤが愛した男の妻になった。
イェリはサリーヤに静かに語りかけた。
「サリーヤ様お久しぶりです。·······私、あなたを何度も恨みました。ルイスを私から奪い、私の全てを否定したあなたを許せなかった。·······でも、突然亡くなってしまうから、私のあなたへの恨みも行き場を失って消えてしまいました─────どうか安らかにお眠りください。」
イェリは花壇から摘んできた花束をサリーヤの墓に手向けた。
その時、既に墓に置かれていた、毒々しいほどに濃い紫色のヒヤシンスの花に気が付いた。
他の供物の花の中でも、そのはっきりとした紫色だけがひどく目立っていた。
死者を弔うこの場に似つかわしくない花のような気がしたが、深く考えるほど気にはならなかった。
そしてイェリはユリナを連れ墓地を後にし、ルイスとの安住の地へ帰っていった。
前妻を亡くしたばかりだというのに節操のないことだと揶揄する者もいたが、前妻のサリーヤが病気で伏し、最後までルイスが看取ったこと、結婚相手は幼馴染の女性だということで、次第に二人の結婚に意を唱えるものもいなくなった。
ルイスはサリーヤと夫婦だった頃は、王宮内にある離宮を与えられ住んでいたようだが、イェリと再婚してからは、王宮の外にある元貴族が住んでいた屋敷に移り住んだ。
サリーヤは元々両親が農家をやっていたこともあり、花や植物を庭で育てることが夢だった。色とりどりの花を庭に植え、毎日花壇の手入れをすることが毎朝の楽しみだった。
色鮮やかにきれいに並んでいる花を見ていると、いつかの青空の下に並べられた色とりどりの絹を思い出すのだ。
「イェリ様ー!アクレン様がお見えになりましたよ。」
ユリナにそう声をかけられ、イェリは立ち上がると玄関までアクレンを出迎えに行った。
アクレンは魔王討伐の時点では騎士団長という立場だったが、今は軍最高司令部の指揮官になっていた。
国王の最側近であるルイスとは頻繁に顔を合わせ、互いにいい関係を築けているようだ。
エイデルは魔法使いの中でトップの地位を築いた。数いる年配の重鎮らを実力のみで黙らせ、今だに身体をはって戦闘に参加するその姿は、皆の尊敬の的となった。
魔王討伐の旅をした勇者一行は、全員が栄華の一途を辿り、皮肉にも三人を苦しめた聖女サリーヤだけが死んだ。
アクレンは屋敷が近いこともあり、空いた時間によくイェリに会いに来てくれた。
この三年で何があったのか、イェリはルイスに尋ねたことはほとんどなかった。
彼は彼なりに、イェリが消えた後思うことが多かったのだろう。
前妻の聖女サリーヤについてはあまり多くを語らなかった。
彼女を愛していたのか、そうではなかったのかイェリには分からないが、彼女が亡くなった今、そのことを聞いたところでルイスの傷を抉るだけだ。
今、イェリはルイスに身も心も心底愛され大事にされている。
とても幸せだし、過去にこだわるつもりはないが、全く気にならないかと言われれば嘘になった。
アクレンとイェリはテラス席に座り、花を眺めながら話をした。
イェリはかつて、アクレンに対し淡い好意を抱いていたし、彼もイェリを少しばかりは特別に思っていたのではないかという自負はあった。
時が流れた今、互いにそのことについてなにか言及することもなかったし、ルイスにも、イェリとアクレンの間にあった出来事は言う必要はないと思っていた。
「アクレン様、アクレン様はあれからどう過ごしてたんです?」
アクレンは少し考えるような仕草をし、ゆっくりと口を開いた。
「·······俺たちが、イェリが消えたと気が付いたのは、情けないことに数日経った後だったな。薬剤部に君に会いに行ったら、『イェリはもうここを辞めました』って言われたんだよ。最初は自分で出ていったって聞かされたんだけど、調べたら王女とサリーヤが関係してるって分かって······でも、君の居場所は全く分からないしどうすることもできなかった。ルイスは辛そうだったな───まぁ、でも生きてればいつか会えるって信じることにしたんだ。次会ったときに、君に恥じない人間になろうって、そう思って今まで過ごしてきた。」
「そうだったんですね。」
イェリはアクレンの話を聞き嬉しくなった。イェリが死んだように生きていた間、彼らは苦労と努力を重ね今の地位を築き上げたのだ。
「あの········ルイスには聞けないでいるんですが、サリーヤ様はご病気だったんですか?最後に会ったときには全くそういうふうには見えなかったからびっくりして───」
サリーヤの名前を出した時、アクレンの表情が一瞬強張ったような気がした。
「─────ああ。詳しくは知らないが、急に悪くなったみたいだな。俺は見舞いには行かなかった。」
アクレンが見舞いに行かなかったとは意外だった。
過去に遺恨があったとしても、同じ旅をした仲間だ。魅了という力によるものだが、かつて愛したことのある女性ならば見舞いの一つや二つ行くのかとイェリは勝手に思っていた。
「アクレン様、私、聖女様のお墓に行きたいんです。王宮の中にあると聞きました。」
アクレンは眉を寄せ理解できないというような顔をした。
「サリーヤの墓に?なんでまた········三年前、イェリはサリーヤにひどいことをされたんだろう?祈りなど捧げなくていい。」
アクレンは呆れるようにそう言ったが、イェリはどうしても墓を訪れたかった。
祈りを捧げたいわけではなかったが、このままサリーヤの存在をなかったことにしてルイスと共に生きていくことが、なんだか忍びなかったのだ。イェリなりのけじめをつけたかった。
◇
アクレンから教えて貰った聖女サリーヤの墓は、王宮の一番奥にある、王族達が永眠する墓地の一角にあった。
隣には王女の墓も立てられている。
三年前、イェリは二人の目の前でみっともなく膝を床につき、助けてくれと泣いてすがった。あの時牢屋の中で、自分はここで死ぬのだと諦めかけていた。
しかし今となっては、二人はこの世にいない。イェリだけが生き残り、サリーヤが愛した男の妻になった。
イェリはサリーヤに静かに語りかけた。
「サリーヤ様お久しぶりです。·······私、あなたを何度も恨みました。ルイスを私から奪い、私の全てを否定したあなたを許せなかった。·······でも、突然亡くなってしまうから、私のあなたへの恨みも行き場を失って消えてしまいました─────どうか安らかにお眠りください。」
イェリは花壇から摘んできた花束をサリーヤの墓に手向けた。
その時、既に墓に置かれていた、毒々しいほどに濃い紫色のヒヤシンスの花に気が付いた。
他の供物の花の中でも、そのはっきりとした紫色だけがひどく目立っていた。
死者を弔うこの場に似つかわしくない花のような気がしたが、深く考えるほど気にはならなかった。
そしてイェリはユリナを連れ墓地を後にし、ルイスとの安住の地へ帰っていった。
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