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プラトニックな関係

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 俺はさらに混乱していた。何故、クラインが俺を好きになるのだろうか?今のところ、俺は彼に迷惑しかかけてない。好きになる要素はないはずだ。

「いや、でも僕あんなことしたのに········」
「気付いたら君のことばかり考えるんだ。本当は川で───俺も君の体を見てドキドキしてた。こんな気持ち良くないって分かってた。でも、イアンも俺をそういう目で見てくれてるって分かって······嬉しかったんだ。」

 そ、そうなのか?ということは、俺は脇役の分際で既にブライト以外の攻略キャラ三人から特別な意味での『好意』を寄せられていることになる。

 しかし、俺はこの雰囲気は何を言っていいのか分からない。流されるのは得意なのだが、『好き』だと面と向かって言われることは初めてなのだ。
 すごく嬉しいのに、『俺も好きです』と言いたいのに、恥ずかしさと緊張とで言葉が何も出てこない。
 それに、俺は馬鹿で節操無しなので、真っ直ぐな告白はとても苦手なのだ。

 顔を真っ赤にして俯いていた俺を見かねたのか、クラインは一歩下がり、俺の肩に手を置いた。
「イアン、いきなり困るよな。さっきは驚かせてごめん。君がそのまま俺と距離を取ろうとしてるように感じて焦ってしまって────返事はゆっくりでいいから、俺のこと考えてくれたら嬉しい。」
「ク、クライン様は、男と付き合ったことがあるんですか?」
「············いやないよ。」
「僕もないです。だから、付き合うって、よく分からないんです。でも僕なりに·····考えようと思います。でも今は────」
「···················?」
「今は、さっきの続きがしたいです。駄目ですか?」
 クラインは葛藤している様子だった。
 さっきはあんなに情熱的だったのに、一旦冷静になると、躊躇いがあるのだろう。

 俺は焦れったくなり、自分から一歩クラインに近付き、俺より背の高いクラインを見上げながら軽く唇と唇を触れ合わせた。
「············!イ、イアン────」
 年上の普段は落ち着いている男が慌てている様子が新鮮で、俺は悪戯心が出てしまった。
 クラインの首に手を回し、今度はしっかりと唇を重ねた。
 クラインは最初は俺のされるがままになっていたが、すぐに火が着いたのか俺を求めてきてくれた。
「クライン様·····俺嬉しいです。」
「好きだイアン────」
 互いの腕を背中に回し体を密着させると、必然的に下半身も触れ熱が伝わってきた。

 俺がそっとクラインのズボンの膨らみ辺りを撫でると、クラインははっとしたように俺から体を離した。
「あ···········嫌でしたか?」
「嫌っていうか········ご、ごめん!今日は帰るよ。」
 クラインは気まずそうな顔をして、俺を残したまま慌てて部屋を出ていってしまった。

 部屋に一人ポツンと取り残された俺はしばらく呆然としていた。
 ショックというよりも、盛り上がっていたと勘違いし、突然梯子を外された俺の間抜けさに笑いが出てしまった。

 (きっと、キスはできたけどそれ以上は実際やったらちょっと違うなって思ったのかも。男と付き合ったことないって言ってたしな。········もうクラインは俺には会いに来ないかもな。)

 一種の切なさと喪失感を覚えたが、俺みたいなどうしようもない奴に関わらなくて正解だと思えた。

 ◇

 その日眠りについた後、俺の夢の中に出てきたのは、この世界に放り込まれた元凶とも言える、俺の喪女姉だった。

 

     
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