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執行の日
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アリソンの屋敷でも、ここ1ヶ月あまりの王宮での動乱は耳に入っていた。
王妃とアリソンは因縁が深く、王妃の処刑が決まってからは、アリソンは暗い表情で考え事をすることが多くなった。
ララは、『ディアンは王様になる資格が無くなった』『ディアンとダリアはもう夫婦じゃない』ことは理解していて、ララの王宮での騒ぎが原因の一端になってしまったと思い悩んでいた。絵を描いたり、本を読むことも、虫を観察することもしなくなり、ただ部屋で膝を抱え、窓の外を眺めていることが多くなった。
その日、いつものように3人は食堂にいて、無言で夕食を取っていた。
「あーもう!!この空気うんざりなんだよ!母さんもララも!!」
ここ最近の屋敷内の暗い雰囲気に耐えかねたレックスは声をあげた。
「母さん、俺、ララを連れて家を出るよ。当分は王宮から離れたところで暮らした方がいい。ここにいたら、ずーっとごちゃごちゃ考えちゃうだろ?母さんも一緒に来るか?」
「────そうね。私もそれがいいと思う。でも、私は残るわ。王妃の最後を·········見届ける。」
母には母のけじめがあるのだろう。レックスは、そんなアリソンに理解を示し、反対はしなかった。
数日後、宣言通り、レックスはララを連れて屋敷を去っていった。
◇
王妃の処刑の日、処刑場には民衆が押し掛け、悪名高き王妃の最後を一目見ようと、会場は重苦しい熱気に包まれていた。
ディアンやアリソン、イリオも会場に集まっていた。
白装束で現れた王妃は、怯える様子もなく毅然とした態度をしていた。
このような場においても、王妃としての尊厳は失ってはいなかった。
首に縄をかけられる直前、王妃は誰かを探すような素振りを見せた。
人混みの中にいた息子と目が合い、王妃は息子に向かってほんの僅かに微笑んだ。
その直後足場が開き、王妃の体が宙に浮いた。数十秒後、王妃は完全に動かなくなった。
王妃との因縁が深かったアリソンは、かつては王妃を憎んだ。しかし、いざ王妃の最後の姿を見たとき、言い様のない虚しさと寂しさで胸が締め付けられた。前方に立っていた王妃の息子の後ろ姿が、とても悲しく弱々しく見え、彼に寄り添ってあげたくなった。真っ直ぐに前を向いて微動だにしないディアンに身を寄せ、後ろから抱き締めた。
ディアンはアリソンに抱き締められながら、動かなくなった母の姿をただただじっと見つめていた。母は自分に固執していたが、母としての愛情を受けたことはなかった。しかし、恨む気になどなれなかった。ララが現れるまで、ディアンの世界は王妃ただ一人だった。王妃もきっと同じだったのだろう。しかし王妃の期待には応えられず、最後は彼女を裏切ってしまった自分は親不孝者だ。きっと一生許されないだろう。権力を持っていても、最後まで王妃の味方になった人間はいなかった。そんな母が哀れで悲しかった。一度でいいから抱き締めてほしかった。もう二度と叶うことのない恋しさを募らせながら、ディアンは初めて母を想って涙を流した。
〈~それから7年後~〉
とある海辺の町。
「ただいま。」
今年6歳になる少女、ライラは、3日ぶりに出張から帰宅したばかりの父親に文句を言った。
「お父さん!お母さんったらね、まだ帰ってこないんだよ!私が学校から帰る頃にはお家で待っててくれるって約束したのに!帰ったら一緒にお絵描きしようねって······お母さんは、私との約束なんてどうでもいいんだ。」
「ライラ、そうじゃない。お母さんは、夢中になると時間を忘れてしまうんだ。ライラとの約束を忘れた訳じゃない。」
大好きな父親から頭を撫でられたライラは、幾分機嫌が直り、涙を手の甲で拭いた。
「お母さんを迎えに行こうか。」
「········うん!どうせいつもの場所だよ。」
外に出ると、辺りは薄暗くなっていた。
海岸沿いを歩いていくと、1人石段に座り静かに絵を描いている母親の姿が見えた。
「お母さーん!!」
ライラが叫ぶと、母親のララははっと顔を上げ、2人の姿を見つけるととびきりの笑顔になった。
「ライラ、お父さん。·······あっ約束······!」
遅くなってしまったことに気が付き、ララは声をあげた。
「ララ。暗くなる前に帰るように言っただろ?この辺り観光客が多くて危ないんだから·······そこに置いてあるの何?」
「ああ!お菓子と、お花と······あとは分からないわ。ここに来た人達がくれたの。」
ララは毎日のようにこの場所へ来ては絵を描いているので、近隣では少しだけ有名だった。食べ物を差し入れしに来る者、絵を描くのを黙って見てはしばらくして帰る者、話しかけてくる観光客もいた。
「お母さんって猫みたい。皆餌付けしたくなっちゃうのかな?あ!私が好きなお菓子だ~~!お父さん、帰ってから食べてもいい?」
「お菓子は夕食の後でな。」
ライラは不服そうに「はぁ~い。」と返事をすると、たたっと走って先に家に帰っていった。
「········3日ぶりだねララ。ライラと2人で大丈夫だった?」
「おかえりなさい!うん。ライラにたくさん怒られたわ。ライラのお気に入りの服を私の赤い下ろし立てのワンピースと一緒に洗濯しちゃってね、駄目だって何回言えば分かるのって·········」
ララの夫は愛おしそうにララの話を聞いた後、画材道具を持ち、ララの手を引いた。
「ララ、家に帰ろう。」
家に帰り、夕食の後入浴を済ませたライラは、学校での疲れもあり、早々に子供部屋に行きベッドに入った。
入浴後、ララは髪が濡れたまま、リビングのソファでゴロゴロしていた。
「ララ、髪が濡れたまま寝たら風邪引くよ。」
そう夫に声をかけられ、長い髪を丁寧にタオルで拭かれた。
「ありがとう。」
ララが微笑むと、夫はララの頬を優しく触り、そっと唇を重ねてきた。
「············大好き。」
ララは夫の首に腕を回し、柔らかな後ろ髪を触った。
3日ぶりの互いの体温に、感情は高ぶり熱さを確かめ合いたくなった。
ソファの上で愛し合っていると、部屋のチャイムが鳴った。
ララは、はだけた寝巻きのボタンを留め、ハッと起き上がると、パタパタと玄関の方へ走っていった。
「また来たのか·········」
いつも夫婦のいいところで空気を読まずに訪ねてくる来訪者に少々うんざりし、夫は溜め息をついた。
王妃とアリソンは因縁が深く、王妃の処刑が決まってからは、アリソンは暗い表情で考え事をすることが多くなった。
ララは、『ディアンは王様になる資格が無くなった』『ディアンとダリアはもう夫婦じゃない』ことは理解していて、ララの王宮での騒ぎが原因の一端になってしまったと思い悩んでいた。絵を描いたり、本を読むことも、虫を観察することもしなくなり、ただ部屋で膝を抱え、窓の外を眺めていることが多くなった。
その日、いつものように3人は食堂にいて、無言で夕食を取っていた。
「あーもう!!この空気うんざりなんだよ!母さんもララも!!」
ここ最近の屋敷内の暗い雰囲気に耐えかねたレックスは声をあげた。
「母さん、俺、ララを連れて家を出るよ。当分は王宮から離れたところで暮らした方がいい。ここにいたら、ずーっとごちゃごちゃ考えちゃうだろ?母さんも一緒に来るか?」
「────そうね。私もそれがいいと思う。でも、私は残るわ。王妃の最後を·········見届ける。」
母には母のけじめがあるのだろう。レックスは、そんなアリソンに理解を示し、反対はしなかった。
数日後、宣言通り、レックスはララを連れて屋敷を去っていった。
◇
王妃の処刑の日、処刑場には民衆が押し掛け、悪名高き王妃の最後を一目見ようと、会場は重苦しい熱気に包まれていた。
ディアンやアリソン、イリオも会場に集まっていた。
白装束で現れた王妃は、怯える様子もなく毅然とした態度をしていた。
このような場においても、王妃としての尊厳は失ってはいなかった。
首に縄をかけられる直前、王妃は誰かを探すような素振りを見せた。
人混みの中にいた息子と目が合い、王妃は息子に向かってほんの僅かに微笑んだ。
その直後足場が開き、王妃の体が宙に浮いた。数十秒後、王妃は完全に動かなくなった。
王妃との因縁が深かったアリソンは、かつては王妃を憎んだ。しかし、いざ王妃の最後の姿を見たとき、言い様のない虚しさと寂しさで胸が締め付けられた。前方に立っていた王妃の息子の後ろ姿が、とても悲しく弱々しく見え、彼に寄り添ってあげたくなった。真っ直ぐに前を向いて微動だにしないディアンに身を寄せ、後ろから抱き締めた。
ディアンはアリソンに抱き締められながら、動かなくなった母の姿をただただじっと見つめていた。母は自分に固執していたが、母としての愛情を受けたことはなかった。しかし、恨む気になどなれなかった。ララが現れるまで、ディアンの世界は王妃ただ一人だった。王妃もきっと同じだったのだろう。しかし王妃の期待には応えられず、最後は彼女を裏切ってしまった自分は親不孝者だ。きっと一生許されないだろう。権力を持っていても、最後まで王妃の味方になった人間はいなかった。そんな母が哀れで悲しかった。一度でいいから抱き締めてほしかった。もう二度と叶うことのない恋しさを募らせながら、ディアンは初めて母を想って涙を流した。
〈~それから7年後~〉
とある海辺の町。
「ただいま。」
今年6歳になる少女、ライラは、3日ぶりに出張から帰宅したばかりの父親に文句を言った。
「お父さん!お母さんったらね、まだ帰ってこないんだよ!私が学校から帰る頃にはお家で待っててくれるって約束したのに!帰ったら一緒にお絵描きしようねって······お母さんは、私との約束なんてどうでもいいんだ。」
「ライラ、そうじゃない。お母さんは、夢中になると時間を忘れてしまうんだ。ライラとの約束を忘れた訳じゃない。」
大好きな父親から頭を撫でられたライラは、幾分機嫌が直り、涙を手の甲で拭いた。
「お母さんを迎えに行こうか。」
「········うん!どうせいつもの場所だよ。」
外に出ると、辺りは薄暗くなっていた。
海岸沿いを歩いていくと、1人石段に座り静かに絵を描いている母親の姿が見えた。
「お母さーん!!」
ライラが叫ぶと、母親のララははっと顔を上げ、2人の姿を見つけるととびきりの笑顔になった。
「ライラ、お父さん。·······あっ約束······!」
遅くなってしまったことに気が付き、ララは声をあげた。
「ララ。暗くなる前に帰るように言っただろ?この辺り観光客が多くて危ないんだから·······そこに置いてあるの何?」
「ああ!お菓子と、お花と······あとは分からないわ。ここに来た人達がくれたの。」
ララは毎日のようにこの場所へ来ては絵を描いているので、近隣では少しだけ有名だった。食べ物を差し入れしに来る者、絵を描くのを黙って見てはしばらくして帰る者、話しかけてくる観光客もいた。
「お母さんって猫みたい。皆餌付けしたくなっちゃうのかな?あ!私が好きなお菓子だ~~!お父さん、帰ってから食べてもいい?」
「お菓子は夕食の後でな。」
ライラは不服そうに「はぁ~い。」と返事をすると、たたっと走って先に家に帰っていった。
「········3日ぶりだねララ。ライラと2人で大丈夫だった?」
「おかえりなさい!うん。ライラにたくさん怒られたわ。ライラのお気に入りの服を私の赤い下ろし立てのワンピースと一緒に洗濯しちゃってね、駄目だって何回言えば分かるのって·········」
ララの夫は愛おしそうにララの話を聞いた後、画材道具を持ち、ララの手を引いた。
「ララ、家に帰ろう。」
家に帰り、夕食の後入浴を済ませたライラは、学校での疲れもあり、早々に子供部屋に行きベッドに入った。
入浴後、ララは髪が濡れたまま、リビングのソファでゴロゴロしていた。
「ララ、髪が濡れたまま寝たら風邪引くよ。」
そう夫に声をかけられ、長い髪を丁寧にタオルで拭かれた。
「ありがとう。」
ララが微笑むと、夫はララの頬を優しく触り、そっと唇を重ねてきた。
「············大好き。」
ララは夫の首に腕を回し、柔らかな後ろ髪を触った。
3日ぶりの互いの体温に、感情は高ぶり熱さを確かめ合いたくなった。
ソファの上で愛し合っていると、部屋のチャイムが鳴った。
ララは、はだけた寝巻きのボタンを留め、ハッと起き上がると、パタパタと玄関の方へ走っていった。
「また来たのか·········」
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