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【ディアンside】ファーレン家の次女2
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思春期に差し掛かったディアンにとって、息もかかる程の距離でララと過ごすことは、自分の心臓の音が聞こえそうな程、ドキドキして落ち着かない時間でもあった。
ララは12歳であったが、段々と幼さが抜け始め、伏せた睫や心地の良い声を発する唇、膨らみかけの胸や真っ白な首筋が妙に艶かしく感じることがあり、ディアンは彼女に見惚れてしまい、ララの話をまともに聞けていないことがよくあった。
早い段階から、ディアンにとってララは、友達ではなく性の対象であったが、そのことをララに気付かれるわけにはいかなかった。幼く純粋な女の子に不埒な気持ちを抱くことは罪だし、そもそもディアンは、ララの姉ダリアの婚約者だ。ダリアに特別な感情はないが、一国の王子としての責任感と使命はある。自分の不用意な行いで、周囲を振り回したり、心配させたりすることは自分のやるべきことではないという思いが常にあった。ララはあくまでも、ディアンにとって心の中だけの想い人でなければならない。
そう思っていたディアンだったが、ララの自分への態度が、明らかに異性に対するものになったことで、さらに気持ちを揺さぶられることになった。ずっと友達だと見てくれていた方が良かったのにと思う残念な気持ちと、男として見られて嬉しいという自分の素直な欲望が混ざり合い、収拾がつかなくなっていた。
ある日、ララが着ていたワンピースから出た膝小僧がひどく擦りむけているのが見えた。珍しいことだったので理由を聞くと、学園で転んだと言うのだ。よくよく詳細を聞いていくと、中等部にいつもララにイタズラをする男子生徒がおり、その生徒に足を引っ掛けられてこかされたと聞いた。こかされたのも痛かったが、こけた時にスカートが捲れ上がり、周囲に下着を見られ笑われたことがひどく恥ずかしかったと涙目になりながら話していた。
その話を聞いたディアンは、足を引っ掛けた男子生徒や周りで笑って見ていた奴らをひどい目に合わせてやりたくなった。良くないことだと思いつつも、生徒の名前をララに尋ねてしまった。しかし、ララは生徒の名前は分からないと答えた為、それ以上追及することを止めた。
その男子生徒もララの気を引きたくて嫌がることをやっているだろうに、名前も覚えられていないとは気の毒なものだと内心笑ってしまった。
ある時を境に、ララのディアンへの好意が手に取るように分かるようになった。気の毒な程顔を赤くし、目を合わせられないような様子であった。ディアンからすればララからの好意は嬉しかったが、以前のように普通の会話ができなくなり、寂しいような感覚を覚えた。
そして、とうとう秘密基地にララは来なくなり、ディアンと顔を合わせても、話しかけてくることもなくなった。ひどく歯痒かったが、これ以上ララと距離が近付くことは、ディアン自身も危険なことである気がしていた。ディアンがダリアを差し置いてララを選んであげることはできないし、下手に手を出して、傷付けることなどもってのほかだ。そもそも、王宮は裏で陰謀が渦巻き、人が蹴落とし合い、一瞬の油断が命取りになるような血生臭い場所だ。ララのような純粋無垢な人間がいられるような場所ではない。そのことが分かっていたディアンは、ララに対して友人以上の関係になるつもりはなかった。
婚約が決まったことで、ファーレン家に足を運ぶ回数は少しずつ減っていった。ダリアの方が王宮を訪れることが多くなったが、ディアンは変わらずララの様子が気になっていた。話すことも姿を見ることもできず、恋しいというのもあったが、ララがあの屋敷でひどい扱いを受けているのではないかという心配もあった。ディアンは今は他人であるし、ララの待遇について口を出したところで、むしろララの立場がさらに悪くなることも考えられた。
ダリアとの結婚が決まれば、ファーレン家は王族と繋がりのある家系ということになり、ララは義理の妹ということになる。何か理由をつけて、あの屋敷からララを出し、ディアンの目の届くところにいて欲しいというのが本音だった。
そして、好機は意外な所から舞い込んできた。
国王の側室であるアリソンという女性が、以前ファーレン家を訪れた際、栗色の髪の少女を見かけた。アリソンは元々平民で、夫と子どもがいる普通の女性だったが、偶然国王に見初められたことで、側室となった変わった経歴を持つ人物だった。アリソンには夫に託した子どもがおり、その子どもと、ファーレン家で見かけた少女があまりにもそっくりだった為驚いたという。
その少女というのがララであったのだが、アリソンがいくらファーレン婦人に少女のことを聞いても、使用人の子どもが遊びに来ていたのだろう、全く知らない子だと言い張り、娘だと認めなかったらしい。
ディアンは幼い頃より、側室であるアリソンに可愛がってもらっていた。母である王妃よりも、アリソンに対しての親愛の情が強い。普通、正妃との子どもなど可愛がりたくもないだろうが、アリソンは権力争いとは真逆にいる人物で、この王宮にはふさわしくない程温かい人だった。
ディアンが、ファーレン家のダリアと正式に婚約しているという話をすると、アリソンは目を輝かせてディアンの手を取った。
「ファーレン家に行ったことがあるの!?では、王子は栗色の巻き毛の女の子を知っていますか?誰も教えてくれないんだけど·····私、どうしてもその子に会いたいのよ。」
「········その子なら知っています。ララといって、ファーレン家の次女です。少し変わっているので、家族は存在を隠したがっているのでしょう。社交界デビューもしておらず、家に匿われているような状況です。」
「そうなの··········一度会ってみたいわ。あなたから話をしてみてくれない?」
アリソンの切実な目をみると、彼女の境遇にディアンは同情してしまった。実の娘に会いたくても、今後二度と会わないという約束の元、側室に入ったのだろう。赤の他人であるララの姿と、幼い日の自分の娘を重ね合わせ、会いたいと懇願するアリソンの姿が痛々しかった。
このことが、ララが王宮を訪れるきっかけになればいいのにと考えていたディアンだったが、現実はそう甘くなかった。
屋敷の外にほとんど出たことがなく、自尊心が低いララは、人前に出ることを極端に恐れているようだった。アリソンの願いは断られ、それ以降、ディアンはララと全く会えないまま、結婚式を迎えることとなった。
ララは12歳であったが、段々と幼さが抜け始め、伏せた睫や心地の良い声を発する唇、膨らみかけの胸や真っ白な首筋が妙に艶かしく感じることがあり、ディアンは彼女に見惚れてしまい、ララの話をまともに聞けていないことがよくあった。
早い段階から、ディアンにとってララは、友達ではなく性の対象であったが、そのことをララに気付かれるわけにはいかなかった。幼く純粋な女の子に不埒な気持ちを抱くことは罪だし、そもそもディアンは、ララの姉ダリアの婚約者だ。ダリアに特別な感情はないが、一国の王子としての責任感と使命はある。自分の不用意な行いで、周囲を振り回したり、心配させたりすることは自分のやるべきことではないという思いが常にあった。ララはあくまでも、ディアンにとって心の中だけの想い人でなければならない。
そう思っていたディアンだったが、ララの自分への態度が、明らかに異性に対するものになったことで、さらに気持ちを揺さぶられることになった。ずっと友達だと見てくれていた方が良かったのにと思う残念な気持ちと、男として見られて嬉しいという自分の素直な欲望が混ざり合い、収拾がつかなくなっていた。
ある日、ララが着ていたワンピースから出た膝小僧がひどく擦りむけているのが見えた。珍しいことだったので理由を聞くと、学園で転んだと言うのだ。よくよく詳細を聞いていくと、中等部にいつもララにイタズラをする男子生徒がおり、その生徒に足を引っ掛けられてこかされたと聞いた。こかされたのも痛かったが、こけた時にスカートが捲れ上がり、周囲に下着を見られ笑われたことがひどく恥ずかしかったと涙目になりながら話していた。
その話を聞いたディアンは、足を引っ掛けた男子生徒や周りで笑って見ていた奴らをひどい目に合わせてやりたくなった。良くないことだと思いつつも、生徒の名前をララに尋ねてしまった。しかし、ララは生徒の名前は分からないと答えた為、それ以上追及することを止めた。
その男子生徒もララの気を引きたくて嫌がることをやっているだろうに、名前も覚えられていないとは気の毒なものだと内心笑ってしまった。
ある時を境に、ララのディアンへの好意が手に取るように分かるようになった。気の毒な程顔を赤くし、目を合わせられないような様子であった。ディアンからすればララからの好意は嬉しかったが、以前のように普通の会話ができなくなり、寂しいような感覚を覚えた。
そして、とうとう秘密基地にララは来なくなり、ディアンと顔を合わせても、話しかけてくることもなくなった。ひどく歯痒かったが、これ以上ララと距離が近付くことは、ディアン自身も危険なことである気がしていた。ディアンがダリアを差し置いてララを選んであげることはできないし、下手に手を出して、傷付けることなどもってのほかだ。そもそも、王宮は裏で陰謀が渦巻き、人が蹴落とし合い、一瞬の油断が命取りになるような血生臭い場所だ。ララのような純粋無垢な人間がいられるような場所ではない。そのことが分かっていたディアンは、ララに対して友人以上の関係になるつもりはなかった。
婚約が決まったことで、ファーレン家に足を運ぶ回数は少しずつ減っていった。ダリアの方が王宮を訪れることが多くなったが、ディアンは変わらずララの様子が気になっていた。話すことも姿を見ることもできず、恋しいというのもあったが、ララがあの屋敷でひどい扱いを受けているのではないかという心配もあった。ディアンは今は他人であるし、ララの待遇について口を出したところで、むしろララの立場がさらに悪くなることも考えられた。
ダリアとの結婚が決まれば、ファーレン家は王族と繋がりのある家系ということになり、ララは義理の妹ということになる。何か理由をつけて、あの屋敷からララを出し、ディアンの目の届くところにいて欲しいというのが本音だった。
そして、好機は意外な所から舞い込んできた。
国王の側室であるアリソンという女性が、以前ファーレン家を訪れた際、栗色の髪の少女を見かけた。アリソンは元々平民で、夫と子どもがいる普通の女性だったが、偶然国王に見初められたことで、側室となった変わった経歴を持つ人物だった。アリソンには夫に託した子どもがおり、その子どもと、ファーレン家で見かけた少女があまりにもそっくりだった為驚いたという。
その少女というのがララであったのだが、アリソンがいくらファーレン婦人に少女のことを聞いても、使用人の子どもが遊びに来ていたのだろう、全く知らない子だと言い張り、娘だと認めなかったらしい。
ディアンは幼い頃より、側室であるアリソンに可愛がってもらっていた。母である王妃よりも、アリソンに対しての親愛の情が強い。普通、正妃との子どもなど可愛がりたくもないだろうが、アリソンは権力争いとは真逆にいる人物で、この王宮にはふさわしくない程温かい人だった。
ディアンが、ファーレン家のダリアと正式に婚約しているという話をすると、アリソンは目を輝かせてディアンの手を取った。
「ファーレン家に行ったことがあるの!?では、王子は栗色の巻き毛の女の子を知っていますか?誰も教えてくれないんだけど·····私、どうしてもその子に会いたいのよ。」
「········その子なら知っています。ララといって、ファーレン家の次女です。少し変わっているので、家族は存在を隠したがっているのでしょう。社交界デビューもしておらず、家に匿われているような状況です。」
「そうなの··········一度会ってみたいわ。あなたから話をしてみてくれない?」
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このことが、ララが王宮を訪れるきっかけになればいいのにと考えていたディアンだったが、現実はそう甘くなかった。
屋敷の外にほとんど出たことがなく、自尊心が低いララは、人前に出ることを極端に恐れているようだった。アリソンの願いは断られ、それ以降、ディアンはララと全く会えないまま、結婚式を迎えることとなった。
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