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7話 新婚生活
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新婚の2人は初夜から1週間、ウォンボーン公爵家の別邸ですごしてから、王都の新居へと移った。
ベルナール様のお飾りの妻になるのだと、覚悟して嫁いできたはずなのに… 結婚生活を初めてみると、なぜか夫に溺愛されていた。
見ていて惚れぼれとする美男子は、正装姿に着替えながら私に言った。
「レオニーは社交活動が苦手だろう?」
「ええ…」
「だから君はこれからも、無理して夜会に出なくても良いよ。 社交は私1人でじゅうぶんだから」
「はい」
それは助かるわ。 だって… こんなに美男子のベルナール様の隣に、妻として立つ勇気が私には無いから。
ホッ… とため息をつくと、チラリッ… とベルナール様が私に視線を向けてくる。
「私の相手で疲れてしまった?」
ベルナール様は苦笑いを浮かべた。
「………いえ」
ベルナール様の相手? …ベッドでのことを言っているのかしら? 確かに疲れているかもしれない。
夜明けまで続いた前夜の情事を思い出し、カッ…! と頬が熱くなった。
「社交活動はしなくても、レオニーはもっとオシャレを楽しむと良い。 そうだ! 今度、一緒にドレスや宝石を買いに行こう」
ベルナール様は思案顔でふむ… ふむ… と自分の顎を指でなでる。
「い… いいえ、ベルナール様。 私はおしゃれよりも本に囲まれて、読書をするほうが好きですから」
…と言うか、結婚前に用意して下さった支度金の一部で、お母様と一緒にドレスは必要なだけそろえたし。
宝石だってベルナール様が気をきかせて、私に贈ってくれた物がたくさんある。
「そう? だったら好きなだけ、本を買いに行こうか?」
ベルナール様は買い物を断られて、残念そうな顔をした。
「ありがとうございます、ベルナール様。 でも、本は買うより王立図書館で借りた方が良いので……」
ベルナール様の善意を断るのは気まずいけれど… 贅沢が好きな女性だと、私に関する間違った印象を持ってほしくないわ。
「レオニーは欲が無いね?」
「そんなことないわ……」
ベルナール様は上着を着ると、鏡の前で衿をピシッ… と綺麗にととのえた。
そして振り返ると、使用人が見ている前で私の唇にキスをする。
「ベルナール様は私を甘やかしすぎです」
毎晩、情熱的に求められて… 立派なお飾り妻になるという自信が、少しずつ揺らいできている。
一生、『白い結婚で構わない』と思っていたのに。
直接、たずねたことは無いけれど… たぶん、私に子供を産ませたいのだろう。
子供を産むのは妻の義務だから。 お飾り妻の私でも夫が望むなら拒んだりしない。
意外だったのは、ベルナール様が私との情事を楽しんでいることだ。
熱烈に愛し合う夫婦のように私は腰を抱かれ、2人並んで階段を下りて玄関ホールまで行く。
ベルナール様のお飾りの妻になるのだと、覚悟して嫁いできたはずなのに… 結婚生活を初めてみると、なぜか夫に溺愛されていた。
見ていて惚れぼれとする美男子は、正装姿に着替えながら私に言った。
「レオニーは社交活動が苦手だろう?」
「ええ…」
「だから君はこれからも、無理して夜会に出なくても良いよ。 社交は私1人でじゅうぶんだから」
「はい」
それは助かるわ。 だって… こんなに美男子のベルナール様の隣に、妻として立つ勇気が私には無いから。
ホッ… とため息をつくと、チラリッ… とベルナール様が私に視線を向けてくる。
「私の相手で疲れてしまった?」
ベルナール様は苦笑いを浮かべた。
「………いえ」
ベルナール様の相手? …ベッドでのことを言っているのかしら? 確かに疲れているかもしれない。
夜明けまで続いた前夜の情事を思い出し、カッ…! と頬が熱くなった。
「社交活動はしなくても、レオニーはもっとオシャレを楽しむと良い。 そうだ! 今度、一緒にドレスや宝石を買いに行こう」
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「い… いいえ、ベルナール様。 私はおしゃれよりも本に囲まれて、読書をするほうが好きですから」
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宝石だってベルナール様が気をきかせて、私に贈ってくれた物がたくさんある。
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「ありがとうございます、ベルナール様。 でも、本は買うより王立図書館で借りた方が良いので……」
ベルナール様の善意を断るのは気まずいけれど… 贅沢が好きな女性だと、私に関する間違った印象を持ってほしくないわ。
「レオニーは欲が無いね?」
「そんなことないわ……」
ベルナール様は上着を着ると、鏡の前で衿をピシッ… と綺麗にととのえた。
そして振り返ると、使用人が見ている前で私の唇にキスをする。
「ベルナール様は私を甘やかしすぎです」
毎晩、情熱的に求められて… 立派なお飾り妻になるという自信が、少しずつ揺らいできている。
一生、『白い結婚で構わない』と思っていたのに。
直接、たずねたことは無いけれど… たぶん、私に子供を産ませたいのだろう。
子供を産むのは妻の義務だから。 お飾り妻の私でも夫が望むなら拒んだりしない。
意外だったのは、ベルナール様が私との情事を楽しんでいることだ。
熱烈に愛し合う夫婦のように私は腰を抱かれ、2人並んで階段を下りて玄関ホールまで行く。
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