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37話 淑女をやめる
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昼食を終え、それぞれの学舎へ戻ろうと食堂から出たところで、ミレイユはクレマンを呼び止めた。
「話したいことがあるの、クレマン…?」
「ミレイユ、何だい…?」
「すぐに終わるから、少しだけ良いかしら?」
「僕は別にかまわないよ」
チラリッ… とクレマンが友人のドミニクを見ると…
「クレマン、僕は先にもどるよ!」
「なら… 私も先に行くわね、ミレイユ」
ドミニクとネリーは、ミレイユとクレマンをその場に残し、廊下をまっすぐ進み、学舎へともどって行く。
「僕たちは少し大まわりして、外から戻ろうか?」
「ええ、そうねクレマン! 歩きながら話しましょう」
「うん」
学舎へ戻る1番の近道は、食堂がある建物の中の廊下を、ネリーとドミニクのようにまっすぐ進み、左右に分かれる渡り廊下から、それぞれの学舎へ戻る順路だが…
ミレイユとクレマンは、他人に話を聞かれたくなかったため、食堂近くの扉から裏庭に出て、少し大まわりをして建物にそって歩き、外から学舎へ向かう経路を選んだ。
周囲に人の気配が無いことを確認してから、ミレイユは口を開いた。
「あのね、クレマン… 私と2人っきりの時は、もっと私のことを考えてほしいの!」
一日、何時間もクレマンと私は、一緒にいるわけではないから… ほんの少しで良いの、私に気持ちを傾けて欲しいわ?!
「え?!」
「さっきのように、ドミニクやネリーが一緒の時は良いの… だけど私と2人だけの時に、論文や勉強のことばかりクレマンが考えていると… 私はとても寂しいし、つまらないから!」
我がままなのは、わかっているわ…? でも、ほんの少しで良いのよ。
私はもっと、私たちの話をしたいの!
ミレイユは腕組みをして、ムスッ… とした顔で、クレマンに不満をぶつけた。
「あっ…! ごめん、ミレイユ… そうか、そうだね?!」
「あなたがせっかく、私の家へ送りむかえをしてくれても… クレマンの心が、何処かに飛んで行ってしまっていては、私たちが一緒にいる意味がないでしょう?」
「そ… その通りだよ! ああ、ごめんよ… 論文や勉強のことばかりに夢中になったりして、僕がバカだったよ! これじゃぁ… ぜんぜん君のためにならないよね?! 君との婚約を守るために頑張ろうと決めたのに?!」
クレマンは顔を真っ赤にして、恥かしそうに頭をポリポリッ… とかきながら、ペコペコッ… とミレイユに頭を下げた。
「私の気持ちを理解してくれて、よかったわ…?! これ以上、あなたに無視されたら… 来月には私から婚約解消を進めて欲しいと、お父さまにお願いしていたかもしれないわ?」
「う゛う゛っ… 本当にミレイユ、ごめんよ?!」
「それとね、クレマン…? もう一つだけ、我がままを言うけれど、良いかしら?」
「えっ…?! 言って欲しいよミレイユ! 今のが我がままだなんて、思わないよ?! 僕を嫌わないでいてくれるなら、もっと聞かせてくれよ?!」
自分は本気だとクレマンは、ウンウン… とうなずきながら両手をにぎり合わせて、ミレイユに懇願する。
「私、淑女をやめようと思うの!」
「はっ?! ミレイユ、それは… どういう意味だい?!」
クレマンはピタリッ… と立ち止まってたずねた。
「話したいことがあるの、クレマン…?」
「ミレイユ、何だい…?」
「すぐに終わるから、少しだけ良いかしら?」
「僕は別にかまわないよ」
チラリッ… とクレマンが友人のドミニクを見ると…
「クレマン、僕は先にもどるよ!」
「なら… 私も先に行くわね、ミレイユ」
ドミニクとネリーは、ミレイユとクレマンをその場に残し、廊下をまっすぐ進み、学舎へともどって行く。
「僕たちは少し大まわりして、外から戻ろうか?」
「ええ、そうねクレマン! 歩きながら話しましょう」
「うん」
学舎へ戻る1番の近道は、食堂がある建物の中の廊下を、ネリーとドミニクのようにまっすぐ進み、左右に分かれる渡り廊下から、それぞれの学舎へ戻る順路だが…
ミレイユとクレマンは、他人に話を聞かれたくなかったため、食堂近くの扉から裏庭に出て、少し大まわりをして建物にそって歩き、外から学舎へ向かう経路を選んだ。
周囲に人の気配が無いことを確認してから、ミレイユは口を開いた。
「あのね、クレマン… 私と2人っきりの時は、もっと私のことを考えてほしいの!」
一日、何時間もクレマンと私は、一緒にいるわけではないから… ほんの少しで良いの、私に気持ちを傾けて欲しいわ?!
「え?!」
「さっきのように、ドミニクやネリーが一緒の時は良いの… だけど私と2人だけの時に、論文や勉強のことばかりクレマンが考えていると… 私はとても寂しいし、つまらないから!」
我がままなのは、わかっているわ…? でも、ほんの少しで良いのよ。
私はもっと、私たちの話をしたいの!
ミレイユは腕組みをして、ムスッ… とした顔で、クレマンに不満をぶつけた。
「あっ…! ごめん、ミレイユ… そうか、そうだね?!」
「あなたがせっかく、私の家へ送りむかえをしてくれても… クレマンの心が、何処かに飛んで行ってしまっていては、私たちが一緒にいる意味がないでしょう?」
「そ… その通りだよ! ああ、ごめんよ… 論文や勉強のことばかりに夢中になったりして、僕がバカだったよ! これじゃぁ… ぜんぜん君のためにならないよね?! 君との婚約を守るために頑張ろうと決めたのに?!」
クレマンは顔を真っ赤にして、恥かしそうに頭をポリポリッ… とかきながら、ペコペコッ… とミレイユに頭を下げた。
「私の気持ちを理解してくれて、よかったわ…?! これ以上、あなたに無視されたら… 来月には私から婚約解消を進めて欲しいと、お父さまにお願いしていたかもしれないわ?」
「う゛う゛っ… 本当にミレイユ、ごめんよ?!」
「それとね、クレマン…? もう一つだけ、我がままを言うけれど、良いかしら?」
「えっ…?! 言って欲しいよミレイユ! 今のが我がままだなんて、思わないよ?! 僕を嫌わないでいてくれるなら、もっと聞かせてくれよ?!」
自分は本気だとクレマンは、ウンウン… とうなずきながら両手をにぎり合わせて、ミレイユに懇願する。
「私、淑女をやめようと思うの!」
「はっ?! ミレイユ、それは… どういう意味だい?!」
クレマンはピタリッ… と立ち止まってたずねた。
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