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15話 話し合い2
しおりを挟む突然立ち上がると、学園の食堂中にひびきわたる声で、『かわいそうなパトリシア――ッ!!』 …とミレイユがさけび出し、誰もがギョッ… とした表情をうかべる。
「?!!」
「…っ?!!!」
向かいがわに座っていた、パトリシアとクレマンも例外ではなかった。
普段は怒った姿などほとんど見たことの無い、物静かなミレイユが… 悪魔のような顔でパトリシアをにらみつけ激怒する姿を、パトリシアとクレマンはぼうぜんとして見あげる。
「あなたが元婚約者のシャルル様を、どれだけ愛していたか知っているわぁ―――っ!! だって純潔を捧げたんですものねぇ?!!!」
もう、頭にきたわ!! 私からクレマンを取り上げようと、私を侮辱し続ける人の、体面なんて私が守ってあげる義理なんて無いわ!!
ミレイユの頭の中で… 前日、兄ルドヴィクから聞いた、パトリシアと元婚約者シャルルが引き起こした、他人に大迷惑な淫らな行動についての話が、次々と脳裏に浮かぶ。
『我々、王立騎士団の騎士たちのあいだでは有名なんだ』
『結婚前に婚約者が妊娠したとしても、私は驚かないだろうね…』
「……なっ… なにを言っているの? 私はそんな…っ!」
辛うじてパトリシアが我にかえり、ミレイユに対抗しようと椅子から立ち上がる。
ミレイユはパトリシアの言葉を遮るように、大声で言葉をかさねた。
「シャルル様の子どもを、妊娠してしまったのに、本当にかわいそうだわぁ―――っ!!」
「なっ……?!」
真っ青になったパトリシアが絶句し… クレマンもパトリシアを支えるように立ち上がる。
「ミレイユ、なぜ君がそれを知っているんだ?!」
「えっ…?!」
クレマンにたずねられ、ミレイユは思わずさけぶのを止めて、クレマンの顔を、まじまじと見た。
「ミレイユ… なぜパトリシアが妊娠していると、君が知っているんだ?!」
「それは… お兄様が…」
ああ… クレマンはパトリシアが… とてもふしだらな娘だと知っているのね? やっぱり、パトリシアと浮気をしているの?! あなたも淫らな行動を……?!
クレマンにもう一度、たずねられ… ミレイユは答えようとする。
だが、クレマンに支えられたパトリシアが、ミレイユに負けないかん高い大声でさけんだ……
「クレマンの子よ―――っ!!!」
パトリシアのさけび声に反応し、食堂中が一瞬で、しーん… と静まり返る。
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