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対決。〜鯉太郎 視点~
しおりを挟む奇妙な 緊張をしていた。
隣りに目を向けると、オイさんも 同じような顔をして泳いでいる。
結局 良い案は、全然 思い浮かばず、
当たって砕けろ!
結局、やみくもに直接対決することになった。
とりあえず 行ってしまえば、なんとかなるだろうと 軽く考え、おじさんの家に 向かう。
++++++++++++++
昨日は、突然 打ちあけられた昔話に引きこまれ、
きっと そのせいで追い出されたのだろうと、一度は納得したのだが、一晩寝たら キレイにリセットされた。
…本当かな?
本当におじさんは、ぼくに怒ってるんじゃないの?
やっぱり 本当は、
ぼく…悪い子だから【おじさんに呆れられた】っていうのが、真実なんじゃないのかな?
もう一度 (本当は一度きりじゃ、足りないけど…)
おじさんに 会いたくて オイさんに 従って泳ぎながら、頭の中では、そんなことばかりを考えていた。
++++++++++++++
ほどなく おじさんの家に到着した。
最初は、怪訝な様子で対応していた おじさんだったけど、
最終的に 室内に ぼくたちを入れてくれた。
思ったより、すんなりと 通してくれたなと 考えていたら、
オイさんの後ろからついてきた ぼくを見て、
おじさんは コレでもかというくらい、瞳を大きくさせた。
実は その瞬間、作戦の第一段 クリアを予想して、
ぼくは 心の中でひそかに ガッツポーズしていた。
なぜなら、【ドア越しのやりとり】では、ぼくが居ることまでは わからない。だから、あえて 声をひそめているように指示されていたのだ。
はじめは、「おじさんを騙すみたいでイヤだ」 と反発したのだけれど、
二人して家の中に入るためには コレしか方法がないのだと…特に、ぼくが入るのが難しいのだと説明され、しぶしぶ頷いた。。
「オマエ!なんで鯉太郎連れてんだよ!」
今にも掴みかかりそうな勢いで、オイさんに つめよるおじさん。
その怒気を含んだ声色に、
『やっぱり、ぼく、嫌われえるんだ…』
じわり…目頭が熱くなる。
ところが、オイさんは
「悪いか? 仲良くなったんだよな!
だから、オマエに許可もらおうと思って連れてきた。
やっぱ、こうゆうのって、保護者の許可 必要だろ!」
飄々と受け流し、ぼくにふり返る。
そこで、目ざとく ぼくの異変に気づいたオイさんは、すかさず おじさんに反撃した。
「ゼベット‼
オマエ!ナニ、鯉太郎泣かせてんだよ‼」
おじさんは その声に促され あらためて ぼくを見て。
「悪い…」 短く 謝り、
プイ!と、ぼくから 視線をはずしてしまった。
++++++++++++++
そして ぼくらは、部屋の中央まで進み、腰を落ち着ける。それを待って おじさんは、もう一度 質問した。
「で、本当はなんの用だ?
二人揃って、ご機嫌伺いってわけでもないだろ⁉」
その声色は、ヒヤリとする程 冷たいものだったが…オイさんは、あえて それに気づかないふりで口を開く。
「オイオイ、だから…許可もらいに…「いい加減にしろ‼」
尚も 先ほどのの小芝居を続けようとしていた オイさんを、おじさんが叱りつけた。
「いつまで、漫才やってるつもりなんだ!…早く本題に入れ‼」
わずかにトーンを落としたものの、相変わらず ぼくを見ようとしない おじさん。
おじさんの叱責に 少し固まっていたオイさんだったが、
「そう…だな。
オレも そろそろ、本当の用事 言わせてもらうわ!」
覚悟したように 言い放つと、言葉を続けた。
「オマエも もう察してるだろうけど、実はコイツのことできたんんだわ」
言葉と同時に ポンと 頭の上に手が乗せられた。
反射的に ふり仰ぐと、オイさんと視線が絡む。
「なんで捨てた?
嵐の中 わざわざ助けておいて…。
なんで 今になって追い出したんだ?」
オイさんの追求に おじさんは そのまま黙りこんでしまった。
同時に 顔も俯かせてしまい、どんな表情をしているのか?さえ、知ることができない。
「まさかとは思うけど、
まだ あの時のこと 引きずってるワケじゃないよな?
あれから ずいぶんと 経つんだぞ」
辺りに はびこり続けていた重い空気を吹き飛ばそうとしていたのか?
オイさんは、懲りもせず 軽い調子で 話を締めくくる。
ダンッ!!!!!
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