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① おじいさん…ダレ?
しおりを挟むモクモク…モク、モク…
白い煙がはれると…そこに見知らぬ老人が立っていた。
真っ白な…何もない空間に リンと立つ その人は、一目 で おじいさん とわかる姿 をしていた。
頭と口元の毛は、白に変わってしまっており、無数にコブのついた杖を 手にしていた。
完全に 煙が無くなると、おじいさんは、ボクに 何かを語 りかける。
しかしその声は、小さいうえにモゴモゴと口ごもっていて とても聞き取りづらいものだった。
ボクは、仕方なく 近づくことにした。話の内容を聞き取るために。
正直にいうと、あまり関わり合いに なりたくは無い 感じだった。
しかし、ボクの中のなけなしの良心が、【お年よりには 親切にするべき】 と、警告してきたのだ。
「おじいさん、今、なんて言ったの?」
ボクが顔を見上げながら たずねると、おじいさんは目を細め しわくちゃの顔をほころばせた。
「りょうた、大きくなったのぅー」
シミジミと口にしながら、手を伸ばして ボクの頭をなであげた。
「もうすぐ、りょうたの誕生日じゃから、プレゼントを届けにきたんじゃ」 と続ける。
「プレゼント?⁇………ボク、そんなの いらないよ」
プレゼントの言葉に |一瞬《イッシュン 心がおどった。
しかし、ボクはそこで ハタと気づいてしまったのだ。
得体の知れない人からもらうプレゼントだ。良いものであるはずがない ということに。
今までの行動から推察すると、自分の祖父という可能性が浮上してくる。
だが、あいにくというか? 幸いなのか?
両親の親、いわゆる祖父は、双方とも健在なのである。
となると 【これはいったいダレ?⁇】 という結論にいたる
そんなボクの疑心など、どこ吹く風のような涼しい顔で
「りょうたは、ずいぶんと謙虚 なんじゃなぁー。
感心感心…」
にこにこ顔でうなづきながら、手では 長いあごヒゲを 上下に しごきあげていた。
「じゃが、魔法が使えるとしたらどうする?」
ところが、それまでの 穏やかさがウソのように
突然、ボクの心を ゆさぶってきた。
「えっ⁉ 魔法…使えるの?」 例外なく ボクは、食いついた。
おじいさんは、そんなボクを 満足そうに見やり、
コクン とうなずく。
それを確認して ボクの体の熱は、一気に 沸騰する。 ほおは赤らみ、胸は、ドクドクと心音を高ぶらせてくる。
「ただし、一度だけじゃ。
一度だけしか使えない 強い魔法なのじゃ。
特に りょうたは 普通の人間じゃから、ただの一回 使用するだけでも 大きく 体力が削られてしまう。
じゃから、一度しか使えないのじゃ」
いろいろと説明してくれたが、一度 舞い上がってしまった
ボクの耳には、そんな事がら 入ってくるはずもなく。
「じゃから…よく考えてえて使うのじゃよ」
気づくと、それだけを言い残し…おじいさんの姿は消えていた。
+++++
気づくと ぼくは…布団の上にいた。
自宅の…自分のベッドの上で、体を横たえていた。
「全部 ユメだった…のカナ⁇」
つぶやいた ひとりごと は、真っ白な壁に
あっけなく 吸い込まれていった。
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