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②えっ? なんで⁉︎
しおりを挟む次の日。
パチリ‼
まだ、目覚ましも鳴っていなかったのに、しぜんと 目を覚ました。
なんだ、か、いつもより体が熱い気がする。
『風邪でも ひいたかな?』
起きてすぐに 気づいた違和感。
何気なく おでこに手をとして…
『えっ‼…ナニ……コレ…?』 とたんにフリーズした。
ぼくの腕が…毛むくじゃら なんだ。
『何か…ヘンなもの…でも、食べたかな?』
不意にうかんだワードを 頭でかみくだきながら、ヨロヨロ…と、ベッドから はい出そうとした。
そこで、さらなる異変におそわれた。
『アレ? こんなにベッドって、大きかったっけ?』
ナニカがオカシイ…と、首をひねりながら床におり立ち、ソレを確信することになった。
だって…四つ足だったんだ。
まるで、ハイハイでも しているみたいに…。
普通に…いつもと同じに、立ち上がったつもりだったの…。
足と手で、しっかりと床を ふみしめていた。
とつぜん、オオカミにでも なってしまった自分を想像してしまい…
ブルル…と、身ぶるいした。
ソレを振り払おうと
『えっ…と 昨日、何してたっけ?』
けんめいに 昨日のことを思い出そうとする。
しかし、そんなことで 元に戻れるはずがないと。
なんの問題解決にも ならない。と、わかっている。
わかっているから、それを 一度は手放した。
しかし、すぐにまた
『何か…何がいけなかったなのだろう?』 と、もどってしまう思考。
何も 原因が判明していない というのに、
頭に こびりついて はなれようとしない後悔の数々。
それらに頭を乗っ取られ…さまざまに思考を巡らせてるうちに…
ドンドンむなしく 時だけが、通りすぎてゆく。
パンっ‼
実際には、パスン 何かが潰れたような 寂しい音だったかもしれない。
仕切り直しするように 両手を打ち鳴らし
『もぉーとにかく‼ 』
こびりついてしまった思考を ムリヤリ引きはがすように 頭を軽くふった。
『この部屋から出て、洗面所で鏡を見てみよう!』
少しは前向きになれた思考にしたがい、ヨロヨロと おぼつかない足どりで 部屋のドアへと近づく。
そのまま 首だけを、ドアの外へと おし出し
キョロキョロと あたりを見わたす。
さいわい 廊下に人影は見えず、
ぼくは、おそるおそる足を踏み出し、部屋からの脱出に成功した。
そのまま わきめもふらず 洗面所を目指す。
『とりあえず、今の姿を 見てみたい‼』 そその一心だった。
四足歩行の動物が、次々と頭に、思いうかぶ。
ライオン、トラ…オオカミ…。
++++++++++++++
そして 数分後。
まだ、朝も時間が早いせいか、シーンと静まりかえった廊下を ぼくは、トボトボと歩いていた。
『やっぱり 見るんじゃなかった…』
鏡に写ったぼくは、猫だった。
まだ猫で… トラとか、オオカミとか凶暴な動物でなくて良かった。と思う反面、おだやかすぎて…イマイチ喜ぶ気にはなれそうにない
そんなぼくを
ヒョイっ!
誰かに 首根っこをつかまれ、フイに体が浮き上がる。
手足をバタつかせ、それに あらがっていると
「アリャー、ネコちゃん? どこから入ったの?」
頭上から 聞き覚えのある声がふってきた。
『母さんかな?』
予想していると、直後、声の主が、姿を見せた。
それは、思った通り 母さんのものだった。
たぶん? これからパートに行くところなのだろう?
薄水色の作業服を着ていた。
「とりあえず、いっしょに ご飯でも食べようか!」
そう言いながら ぼくを抱き直し、台所へと歩き出した。。
+++++++++++++
「ウーン、なんだろう?」
台所に着いて、ぼくを下ろした母さんは、一人 頭を悩ませていた
「やっぱり…ねこまんま かなー?」
なんのことはない。
ぼくの朝ごはんのことである。
いっしょに…と、さそっては見たものの、どうやら何をあげるかまでは考えていなかったらしい。
「ごめんねぇー、おばあちゃんに聞けば わかるんだろうけど。 まだ朝早いから、起こしたくなくて」なくて。」
ネコである ぼくを相手にペコリと頭を下げる。
「あっ! ツナ缶あったから、それで大丈夫かなー⁉」
ガサゴソ せわしなく動いていた手を止め、だれにかけたのか分からない問いを 口から吐き出す。
やがて
ホカホカご飯に乗せられたシーチキンと 冷たい牛乳が、目の前に差し出された。
++++++++++++++
母さんが出してくれた 朝ごはんのおかげで、
お腹がいぱいになった ぼくは、
つい、いつものつもりで 自分の部屋に戻ろうとした。
ただ、お腹が苦しいから ベッドの上でゴロゴロしようと思っただけである。
ところが
「あっ、ネコちゃん!
そこは 謙信お兄ちゃんの部屋だから、入っちゃダメよ!」
言葉と同時に優しく抱き上げ たしなめられる。
そして
「やっぱり ネコちゃん。
私といっしょに お外に行こうか」
母さんの出勤に合わせて、ぼくは 家の外に つれ出された。
++++++++++++++
その後 仕方なく、公園のベンチ下で 寝ころがっていたら、
学校を サボったらしい不良たちが、近づいてきた。
そして、タバコの火を ぼくに、押しつけようとしてくる。もちろん、それに気づいたぼくは、必死になって逃げ出した。
ほかにも、警官に捕まったら 『保健所に連れていかれちゃうかも⁉』と パトカーから 逃げまわったり…
他のネコたちとの ナワバリ争いにまきこまれそうになったり…と、
どこに行っても 落ちついていられなくて…。
けっきょく 最終的にたどり着いたのは、ぼくの家だった。
『ゆっくりできるのが 結果的に 【自宅】って、
どんな皮肉だよ』 って、自分自身にツッコミを入れながら 敷地へと 足を伸ばした。
『しっかし…どこ 行っても暑いなぁー』
何度目になるか わからない 単語が、しぜんと こぼれ落ちる。
もちろん、家の中に 入ることはできないから
『ドコに いようかな?』 と頭を 悩ませていた。
昨日、見かけたネコみたいに 『植木の影にでも 座っているしかないか…
とりあえず、母さんが帰ってくるまで』
ぶらりと、その場所に 身を寄せようとした時、
ちょうど、ろうかを通りかかった じいちゃんが、こっちを見て、大きく 目を見開いた。
その瞳には、 ぼくの姿が 写っていた。
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