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息を切らせながら西にある領主邸へ向かっていた蒼と由弦は、近づくにつれ強くなる煙の臭いに嫌な予感が膨らみ、心臓が早鐘を打つ。震えてもつれそうになる足を必死に動かして辿り着いたそこは辺りの空気すら熱を孕んで肌を焦がしそうであるのに、異常なほどに人が少なかった。
城下町の領主邸が次々と放火されていると団子屋の主人が言っていたから、人手がバラけているというのだろうか。こんなにも大きな屋敷が燃え盛っているというのに、火消しに走り回っている役人はすぐに数えられる程度しかいない。それに、蒼の父も含め多くの者達が納品に駆り出されているはずなのに、屋敷の側には逃げのびたのだろうほんの数人がいるばかりで、蒼が把握している人数には到底足りなかった。だというのに、屋敷の中からは声すら聞こえない。
炎の勢いが強くて聞こえないだけか? そう思い込もうとするものの、恐ろしい予感が膨らんで離れてくれず、押しつぶされてしまいそうだ。
蒼は恐ろしいそれを振り払うように煤汚れた者達に走り寄り、顔見知りの男の肩を掴んだ。
城下町の領主邸が次々と放火されていると団子屋の主人が言っていたから、人手がバラけているというのだろうか。こんなにも大きな屋敷が燃え盛っているというのに、火消しに走り回っている役人はすぐに数えられる程度しかいない。それに、蒼の父も含め多くの者達が納品に駆り出されているはずなのに、屋敷の側には逃げのびたのだろうほんの数人がいるばかりで、蒼が把握している人数には到底足りなかった。だというのに、屋敷の中からは声すら聞こえない。
炎の勢いが強くて聞こえないだけか? そう思い込もうとするものの、恐ろしい予感が膨らんで離れてくれず、押しつぶされてしまいそうだ。
蒼は恐ろしいそれを振り払うように煤汚れた者達に走り寄り、顔見知りの男の肩を掴んだ。
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