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火薬と米――。なんとも不穏なそれに蒼も僅かに眉根を寄せる。戦の準備をしていると考えるのが普通であろうその二つに湊が感じた嫌なものを蒼も感じ取るが、生憎と蒼もそう内情に詳しいわけではない。野菜を運ぶのに領主の屋敷へ赴くこともあるが、流石に蒼に聞こえるような場所で重要なことを話してしまうような口の軽い者はおらず、真偽も定かでない噂を耳にするのがせいぜいだ。
「湊~、今日は早めに届けるって約束してたから野菜詰めてもらって良い?」
いつものようにニコニコと微笑みながらそんなことを言った蒼は、素早く湊の耳元に顔を近づけた。
「雪ちゃんに伝えた方が良いと思うから、親父が帰ってきたら一緒に庵に行こう」
ずっと弥生と共にいた雪也ならば何か知っているか、あるいは何も知らずとも必要だと判断すれば弥生に報告するだけの術は持っているだろう。早口で告げられたそれに湊はしっかりと頷くと、周に渡す分の野菜を籠に詰め始めた。
昼過ぎにようやく帰ってきた蒼の父にすべてを任せて、二人は籠を背負うと店を出た。
早く早くと気は急くが、走っては無駄に目立つ。いつも通り、いつも通りに振る舞えと自分に言い聞かせて、二人は穏やかに話ながら庵へ向かった。
しかし蒼と湊が庵に着いた時、雪也は呉服問屋に呼ばれて食事処へと向かっており不在だった。
「湊~、今日は早めに届けるって約束してたから野菜詰めてもらって良い?」
いつものようにニコニコと微笑みながらそんなことを言った蒼は、素早く湊の耳元に顔を近づけた。
「雪ちゃんに伝えた方が良いと思うから、親父が帰ってきたら一緒に庵に行こう」
ずっと弥生と共にいた雪也ならば何か知っているか、あるいは何も知らずとも必要だと判断すれば弥生に報告するだけの術は持っているだろう。早口で告げられたそれに湊はしっかりと頷くと、周に渡す分の野菜を籠に詰め始めた。
昼過ぎにようやく帰ってきた蒼の父にすべてを任せて、二人は籠を背負うと店を出た。
早く早くと気は急くが、走っては無駄に目立つ。いつも通り、いつも通りに振る舞えと自分に言い聞かせて、二人は穏やかに話ながら庵へ向かった。
しかし蒼と湊が庵に着いた時、雪也は呉服問屋に呼ばれて食事処へと向かっており不在だった。
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