必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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 雪也の狙い通り、衛府の武官も尊皇の志士も突然運び込まれることなく、浩二郎も家に帰ったのか姿を見せることも無くなって、ただ薬を作りそれを売るという以前の生活が庵に戻ってきていた。
 周が食事を作って、由弦がサクラとはしゃぎながら薬草の手入れをして、ときおり蒼や湊が野菜を持って遊びに来る。そんな時は皆で温かな夕食を食べながら、穏やかな時間が流れた。
 何もかもが元通りで、誰もが願った通りになった。この時間を取り戻すために、皆が気を揉み、もどかしさを覚え、そして雪也がすべてを終わらせた。確かにやり方が良くなかったと皆は雪也を怒ったが、それでももう、誰もそれを引きずったりしていない。雪也も反省し、気にしていないと微笑み続けた。しかし、誰も見ていない場所で雪也は煽る薬の量を増やし、ゴッソリと感情が抜け落ちたかのような無表情を浮かべ、ボォーっとしている。薬には睡眠作用もあるはずであるのに、眠る気にもならない。
 何をたった一度皆に怒られただけで落ち込んでいるのかと自分でも鼻で嗤ってしまうが、どうにも雪也は雪也自身を上手く扱うことができなかった。
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