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明るくて、優しい感情だけを抱けたら良いのにと、確かに思う。だが、生きている以上何かを望むことはあるし、それに伴って嫉妬や羨望も抱くだろう。
負の感情を抱きたいと思う者は少ないだろう。出来るならば穏やかでありたいし、優しくしたい。それが大切な人なら尚更に。けれど、負の感情を抱くというのは、生きているということだ。生きて、幸せになりたいと願っているからだ。由弦がそう思えたことを、紫呉は嬉しくさえ思う。
「モヤモヤして相手を攻撃したら、そりゃ駄目だろうがな。でも、モヤモヤするくらい誰にだってあるし、俺も経験はある。モヤモヤしたからって、最低とか人間失格とか思う必要はねぇよ」
綺麗に鳥を捌き終えて、手を水で洗った紫呉はチラと由弦に視線を向ける。由弦は何かを考えるようにキョロキョロと視線を彷徨わせていたが、ギュっと袴を握っていた手からゆるゆると力が抜け、ほんの少し口元が緩んだ。
「そっか。よかった……」
ホッしたのだろう、いつものように太陽のような笑顔を見せる由弦に、紫呉も安堵の笑みを浮かべる。そんな二人の様子に気づいたのだろう、足元で大人しくしていたサクラが由弦の足に頭を擦りつけた。
負の感情を抱きたいと思う者は少ないだろう。出来るならば穏やかでありたいし、優しくしたい。それが大切な人なら尚更に。けれど、負の感情を抱くというのは、生きているということだ。生きて、幸せになりたいと願っているからだ。由弦がそう思えたことを、紫呉は嬉しくさえ思う。
「モヤモヤして相手を攻撃したら、そりゃ駄目だろうがな。でも、モヤモヤするくらい誰にだってあるし、俺も経験はある。モヤモヤしたからって、最低とか人間失格とか思う必要はねぇよ」
綺麗に鳥を捌き終えて、手を水で洗った紫呉はチラと由弦に視線を向ける。由弦は何かを考えるようにキョロキョロと視線を彷徨わせていたが、ギュっと袴を握っていた手からゆるゆると力が抜け、ほんの少し口元が緩んだ。
「そっか。よかった……」
ホッしたのだろう、いつものように太陽のような笑顔を見せる由弦に、紫呉も安堵の笑みを浮かべる。そんな二人の様子に気づいたのだろう、足元で大人しくしていたサクラが由弦の足に頭を擦りつけた。
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