必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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(優さま――)
 この場にいるのが己ではなく優であったなら、この少年は助かるのだろうか? この恐ろしいまでに溢れ続ける血を止めることができるのだろうか? しかし今この場には少年と雪也しかいない。馬ならいざ知らず走るとあっては屋敷は少し遠く、往復している間も少年の血が流れ続けていたらと考えると、迂闊に動くこともできない。
(どうしよう……、どうしたら……)
 何か、何かいい方法はないか。他に何も手はないのか。焦る頭を必死に動かしていた時、カタッと庵の扉が音を立てた。
「雪ちゃんいる~? ちょっとお薬もらいたい……どうしたの!?」
 扉を開けて入ってきたのは八百屋の息子である蒼だった。横になってピクリとも動かない少年と手や着物を血で真っ赤にした雪也を見て、蒼は目を見開き駆け寄ってくる。そんな蒼の姿に、雪也は一筋の光を見たような気がした。
「蒼、その薬、急ぎかな? ちょっと、お願いしたいことが――」
「大丈夫! 予備の薬が無くなったからお願いしに来ただけ。何をしたらいいの?」
 手を貸すことが当たり前であるように言う蒼に、雪也は泣きそうになった。熱を孕む声で懇願する。どうか助けて、と。
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