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 その日も、ルイは抵抗虚しく茶会に連れられ、ルイと同じように親に連れられて来た子供たちが楽しそうに庭を走り回って遊んでいるのを静かに眺めていた。
 フードを被って顔を隠し続けるルイは子供たちの輪に入ることはできず、だからといって親たちの茶会に交じれば嫌味や嘲笑を向けられる。彼らは父に対しては何も言わず、むしろ媚びへつらいすらするが、父の目を盗んでルイを傷つけることには執拗で容赦がない。おそらくは継母が男児を産めば、彼女の性格からルイを適当な理由をつけて放り出し、我が子に公爵位を継がせるだろうことは想像に難くないため、ルイが公爵位を継ぐとは微塵も思わないから恨みをかったところで何も問題はないという考えなのだろう。事実、ルイもそうなるだろうという理由なき確信があった。
 茶会に連れられたところでルイの居場所などない。結局は逃れるように庭木の影に隠れるようにして座り込み、ただただこの面倒で居づらい茶会が終わることを願った。
 どれほどそうしていただろう、すべてを拒絶するように身体を丸めて膝に顔を埋めていたルイの耳に、ガサガサと葉が擦れ合う音が聞こえた。〝フィアナ!〟と誰かを呼ぶ声も近づいてきてルイはそっと顔を上げる。すると目の前に桃色のドレスを着た、可愛らしい女の子が現れた。
「フィアナ! あんまり走っちゃ駄目だ!」
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