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後悔

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後悔は、している。
しない訳がない。

死にそうなほどに泣きわめくお嬢様を前にして、後悔しない訳がない。「なんで!」「どうして!」と取り乱して。泣き疲れて眠って。起きたらまた泣いて。そのまま後を追ってしまうのではないかと、何度も不安にかられた。

埋葬後は、魂が抜けたようにぼうっとしていることが多くなった。無理やり食事を摂らせて、なんとか命を繋いでいる。そんな状態だった。

けれど、お嬢様の不幸はご両親の死だけでは終わらなかった。
…俺が、終わらせなかった。

まず、婚約の話が流れた。
最後の一人にまで絞られていたなら話は違ったのだろうけれど、まだ最終候補の数名にようやく絞れたところだった。そんな段階では、結婚してその相手に頼ることもできなかった。

そして、分家の親戚達が、暫定的に当主となったお嬢様に近づいてきた。今までロクに交流もなかったような連中だ。当然、お嬢様を助けるためではなかった。

当主としての教育など受けてこなかったお嬢様は、いいように誘導され伯爵家の領地や利権、代々伝わる家宝まで、少しずつ、しかしあっというまに手放していった。
お嬢様は、そうと気づいてもご両親を亡くしたショックからか、大して抵抗もせずに言われるがままに頷いた。

最初はお嬢様を支えようとしていた使用人達も、そんな様子を見て伯爵家の行く末に不安を抱いたのか、優秀な者から一人、また一人と辞めていった。
俺以外に残ったのは、歳を取りすぎて次の勤め先を見つけられない者か、ツテもなく新しい勤め先を見つけられないような者がほとんどだった。

みるみる落ちぶれていく伯爵家や、笑顔を失ったお嬢様を見ているのは俺だって辛かった。自分がそう仕向けたことだとしても。いや自分がこの状況を引き起こした張本人だからこそ。

毎日、無理にお茶の時間を設けてはみたけれど、お嬢様は脇に立って話しかける俺にろくに返事もせずに、ずっとぼんやりしているだけだった。
くるくると表情を変えて、笑ったりむくれたりしていたお嬢様は、もうこの世から消えてしまったかのようだった。


でもたとえ、やり直しの機会を与えられたとしても、俺は同じ選択をするだろう。

もう俺は、何を犠牲にしてでもお嬢様のことがーー

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