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マルフィに起きた大異変
71話 野田周と荒川恵美の再会
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アリシャ視点
「へ?? い、いえ、私の名前はアリシャですが.....」
目の前の青い眼をした男性がこっちにフラフラ歩みよってきた。
そのまま抱きしめられそうな勢いだったから、焦って、人違いである事を示してしまった。
セビュラという女性によほどの思い入れがあるのか、目の前の男性は涙している。
「............そうですか。人違いだったようで申し訳ございません。私はモロゾフと申します。それにしても危ない所でしたね。 なぜ、あんな所で白蛇に襲われていたんですか?」
人違いであるのをあっさり納得してくれた。良かった~。
モロゾフさんはいつ出したのか、ハンカチで涙を拭っている。
「助けて頂き本当にありがとうございました!今も背中におぶさっているこの男の子を、マルフィにいるという家族に会わせてあげるために、グランディからマルフィに通じる洞窟に入った所、色々な魔物に襲われた次第です......」
「ほら、ムスカリ君もご挨拶して!............ぶは!?」
何か、ムスカリ君の容姿がだいぶ変わっているような。
「分かった.......
助けて頂き本当にありがとうございました。お陰でアリシャ...さんも僕も命を落とさずに済みました。おじさ.....いえ、お兄さんが転移で助け出してくれたのですか?」
ムスカリ君は慣れた様子で助けてくれた御礼を言った。
発言も大人っぽくなり、背丈が明らかに20センチぐらい伸びている。小学5年生ぐらいの身長だ。
服装も一枚の布で出来たような服装から、カッコイイ黒と白の洗練された現代的な服装になってる。ただ、どこか戦えそうな戦士っぽいデザインな気がする。
※真相界においては服装は精神と一体であるため、個人の性質に沿ったものが具現化していく。具現化できる服装は個人の性質に沿った範囲で可能だが、変身魔法の使い手は例外。
「いえいえ礼には及びません。所で、君の家族はマルフィにいるって本当ですか?ぜひ、私にも探す手伝いをさせてもらいたいのだが......」
それを聴くと、ムスカリ君はなぜか頭を掻きながら困った顔をした。
「ここまで連れてきてくれたアリシャ....さんの前で言いにくいのですが.......僕の家族はマルフィにはいません」
「ええぇええええええーーーー!!!」
あたしは両手で頬を挟みながら絶叫した。
図らずも、ム〇クも真っ青の叫びを披露してしまった。
「あの光の巨人が現れた時、なぜか僕の過去を思い出したのと共に、輪廻の仕組みを少し理解できました。僕の家族はすでに真相界にはいません。仮相界のどこかへ転生し、新たな人生を始めています」
激変したムスカリ君に戸惑いつつも質問する。
「な、なぜ、そんな事が分かるの?」
「どうやら、アースでの家族は僕の魂の欠片とも呼べる存在だから、その動向が僕には手に取るように分かる。みんな順調に進歩しているから心配いらないよ」
「そ....そうなの......」
あたしは今までの危険な道のりが壮大な空回りだった事に衝撃を受けつつ呟く。
一体どうなってんの!?周さん!!
すると、心の内から.....
”まさかこの展開は予想してなかった....だけど、ムスカリ君が目覚めて家族の事を知れたなら結果オーライ!!”
といった思いが湧いてきた。
うんうん、そうだよねー。
え?いやいやいや、そんなバカなぁー!!?
--------------------------
野田周視点
怒涛の展開で俺の理解が追いつけない。
ニンファルで出会った超絶美女がアリシャを助けてくれた。
この広大な世界で、しかも、あのタイミングで出会うってどんな偶然だよ。
ただ、あのチワワ蛇がラスボスっぽい光の巨人を召喚して、危うく、全員がやられちまうかと思った。
しかし、さらに驚いたのは、全員助かる方法を模索してたら、突然、俺の心に
”あんた本当に情けないわね......あたしが何とかしてあげる”
という声が響いて、アリシャが闇魔法みたいなのを発動した。
異界転送とか呟いていたような。
その直後、また危うい場面であの青い眼の悪魔が転移してきて、助けてくれた。
助かったと思ったら、ムスカリ君が何かのきっかけで精神を成長させたのか、家族に関する情報も得られたらしい。
この流れ.....何か人為的な物を感じるが、まあ、ムスカリ君にとって納得いく結果になったことは良かった。名画のような叫びを披露したアリシャには悪いけど.....
いや、本当にごめん。
ただ、ムスカリ君が目覚めた姿は、魔神ベルギウスの印象と少し違うのが気になる。
やっぱり、このムスカリ君は魔神ベルギウスの悪性を中和できるだけの、他の違う存在なのだろうか?
とはいえ、元のムスカリ君の純粋さとは違う、少しすれた感じがする。
アリシャの事を呼び捨てにしそうになり、後から、さんを付け足していた。
魔神というわけでは無いが、どこかデンジャーな香りがするな。
輪廻転生の仕組みをよく知っていそうだが.......
--------------------------
「エルトロンって名前の男性をご存じですか?私の知る限り、その彼は天使なんですけど.....あっ、自己紹介がまだでしたね。ごめんなさい。私はユリアナと申します。そっちの女性がマルシャです」
ふと、ユリアナと名乗る女性があたしに質問する。
彼女にとって重要な質問らしく、緊張しているのが感じられる。
「天使......ですか、エルトロンさんに関しては分からないのですが、野田周さんという天使?には出会いました。ムスカリ君も周さんから任せられたんです。たぶん、今も周さんはあたしを通じて見ていると思いますが......」
それを聴いた直後、ユリアナさんが驚愕の表情を浮かべた。
目を見開き口に両手を当て、驚きを全身で現している。
「ほ、ほんとに!?..........ぐす.....うぅ..ぐす....」
次は目の前の女性が泣き出してしまった。
どうしたんだろう?
「ご.....ごめんなさい.....野田周さんは前世で.....職場の同僚だった男性なの。やっと会えた.....。今もアリシャさんの守護を通じて、見ているのね。
私は前世で荒川恵美だったの。野田君、前世では.....酷い事ばかりして本当にごめんなさい!!」
驚く事に、ユリアナさんは美しいサファイアブルーの頭を下げ、謝った。
野田周さんに謝罪しているのだと分かりつつ、あたしに頭を下げられるのは妙な気持ちだ。
すると、心の内側に
”別に主任は悪いことしてないから謝らないでほしい。俺も会えて本当に嬉しいよ。マルフィじゃない所で、実際に会えるかな?”
という思いが湧いてきた。
そのままの事をユリアナさんに伝えてみた。
すると、ユリアナさんは嬉しいような、戸惑うような顔を見せた。
そして、なぜか、意味ありげに、モロゾフさんの方をチラリと見た。
「................もうこうなっては仕方ありませんね。いや、私がユリアナにエルトロンを探知してもらおうと画策した時には、すでに覚悟をしてたのかもしれません。 ご自由にどうぞ......愛する人との時間はかけがえのないものです」
モロゾフさんは窓の外の眼下に広がる美しい街にチラリと目を向け、そう言った。
「ユリアナ、良かったね!!」
マルシャさんがユリアナさんの肩に手を置き、声をかける。
「う....うん」
素直に喜べない様子で言うユリアナさん。
「でも、どうやって周さんの元へ帰りましょう」
あたしは首を傾げて言う。
あの洞窟はもう通りたくない。
「それだったら、ユリアナと私の飛翔魔法で周さんの所まで行けるよ」
「天使の飛翔魔法は少し時間がかかりますし......目立ちますので、私がお連れしましょう」親切にもモロゾフさんがそう言ってくれた。青い眼で少し怖いけど、優しい人なのね。
「アリシャさん。野田周さんは今はお一人でしょうか?どこの界におられますか?」
「ええと、グランディでアガパンサさんと言う女性と、ルーティアさんと言う女性が一緒だったと思います。今もそうなのかな......あ、どうやらそうみたいです」
心の内側から”今も洞窟の近くにいる”という思いが湧いてきた。
「アガパンサさん.....ですか.....ふぅ」
なぜか、ため息を吐くモロゾフさん。
「まあいいでしょう。では、アリシャさん、周さんの居場所をイメージしてください。私が転移を発動しますので」
「はい!分かりました!本当にありがとうございます」
あたしがイメージした直後、モロゾフさんを中心に私達全員の足元まで魔法陣が広がり......
目の前には、黄色と朱色の葉っぱをつけた木々の光景が広がった。
そこに、嬉しそうな顔の周さんがいる。
「へ?? い、いえ、私の名前はアリシャですが.....」
目の前の青い眼をした男性がこっちにフラフラ歩みよってきた。
そのまま抱きしめられそうな勢いだったから、焦って、人違いである事を示してしまった。
セビュラという女性によほどの思い入れがあるのか、目の前の男性は涙している。
「............そうですか。人違いだったようで申し訳ございません。私はモロゾフと申します。それにしても危ない所でしたね。 なぜ、あんな所で白蛇に襲われていたんですか?」
人違いであるのをあっさり納得してくれた。良かった~。
モロゾフさんはいつ出したのか、ハンカチで涙を拭っている。
「助けて頂き本当にありがとうございました!今も背中におぶさっているこの男の子を、マルフィにいるという家族に会わせてあげるために、グランディからマルフィに通じる洞窟に入った所、色々な魔物に襲われた次第です......」
「ほら、ムスカリ君もご挨拶して!............ぶは!?」
何か、ムスカリ君の容姿がだいぶ変わっているような。
「分かった.......
助けて頂き本当にありがとうございました。お陰でアリシャ...さんも僕も命を落とさずに済みました。おじさ.....いえ、お兄さんが転移で助け出してくれたのですか?」
ムスカリ君は慣れた様子で助けてくれた御礼を言った。
発言も大人っぽくなり、背丈が明らかに20センチぐらい伸びている。小学5年生ぐらいの身長だ。
服装も一枚の布で出来たような服装から、カッコイイ黒と白の洗練された現代的な服装になってる。ただ、どこか戦えそうな戦士っぽいデザインな気がする。
※真相界においては服装は精神と一体であるため、個人の性質に沿ったものが具現化していく。具現化できる服装は個人の性質に沿った範囲で可能だが、変身魔法の使い手は例外。
「いえいえ礼には及びません。所で、君の家族はマルフィにいるって本当ですか?ぜひ、私にも探す手伝いをさせてもらいたいのだが......」
それを聴くと、ムスカリ君はなぜか頭を掻きながら困った顔をした。
「ここまで連れてきてくれたアリシャ....さんの前で言いにくいのですが.......僕の家族はマルフィにはいません」
「ええぇええええええーーーー!!!」
あたしは両手で頬を挟みながら絶叫した。
図らずも、ム〇クも真っ青の叫びを披露してしまった。
「あの光の巨人が現れた時、なぜか僕の過去を思い出したのと共に、輪廻の仕組みを少し理解できました。僕の家族はすでに真相界にはいません。仮相界のどこかへ転生し、新たな人生を始めています」
激変したムスカリ君に戸惑いつつも質問する。
「な、なぜ、そんな事が分かるの?」
「どうやら、アースでの家族は僕の魂の欠片とも呼べる存在だから、その動向が僕には手に取るように分かる。みんな順調に進歩しているから心配いらないよ」
「そ....そうなの......」
あたしは今までの危険な道のりが壮大な空回りだった事に衝撃を受けつつ呟く。
一体どうなってんの!?周さん!!
すると、心の内から.....
”まさかこの展開は予想してなかった....だけど、ムスカリ君が目覚めて家族の事を知れたなら結果オーライ!!”
といった思いが湧いてきた。
うんうん、そうだよねー。
え?いやいやいや、そんなバカなぁー!!?
--------------------------
野田周視点
怒涛の展開で俺の理解が追いつけない。
ニンファルで出会った超絶美女がアリシャを助けてくれた。
この広大な世界で、しかも、あのタイミングで出会うってどんな偶然だよ。
ただ、あのチワワ蛇がラスボスっぽい光の巨人を召喚して、危うく、全員がやられちまうかと思った。
しかし、さらに驚いたのは、全員助かる方法を模索してたら、突然、俺の心に
”あんた本当に情けないわね......あたしが何とかしてあげる”
という声が響いて、アリシャが闇魔法みたいなのを発動した。
異界転送とか呟いていたような。
その直後、また危うい場面であの青い眼の悪魔が転移してきて、助けてくれた。
助かったと思ったら、ムスカリ君が何かのきっかけで精神を成長させたのか、家族に関する情報も得られたらしい。
この流れ.....何か人為的な物を感じるが、まあ、ムスカリ君にとって納得いく結果になったことは良かった。名画のような叫びを披露したアリシャには悪いけど.....
いや、本当にごめん。
ただ、ムスカリ君が目覚めた姿は、魔神ベルギウスの印象と少し違うのが気になる。
やっぱり、このムスカリ君は魔神ベルギウスの悪性を中和できるだけの、他の違う存在なのだろうか?
とはいえ、元のムスカリ君の純粋さとは違う、少しすれた感じがする。
アリシャの事を呼び捨てにしそうになり、後から、さんを付け足していた。
魔神というわけでは無いが、どこかデンジャーな香りがするな。
輪廻転生の仕組みをよく知っていそうだが.......
--------------------------
「エルトロンって名前の男性をご存じですか?私の知る限り、その彼は天使なんですけど.....あっ、自己紹介がまだでしたね。ごめんなさい。私はユリアナと申します。そっちの女性がマルシャです」
ふと、ユリアナと名乗る女性があたしに質問する。
彼女にとって重要な質問らしく、緊張しているのが感じられる。
「天使......ですか、エルトロンさんに関しては分からないのですが、野田周さんという天使?には出会いました。ムスカリ君も周さんから任せられたんです。たぶん、今も周さんはあたしを通じて見ていると思いますが......」
それを聴いた直後、ユリアナさんが驚愕の表情を浮かべた。
目を見開き口に両手を当て、驚きを全身で現している。
「ほ、ほんとに!?..........ぐす.....うぅ..ぐす....」
次は目の前の女性が泣き出してしまった。
どうしたんだろう?
「ご.....ごめんなさい.....野田周さんは前世で.....職場の同僚だった男性なの。やっと会えた.....。今もアリシャさんの守護を通じて、見ているのね。
私は前世で荒川恵美だったの。野田君、前世では.....酷い事ばかりして本当にごめんなさい!!」
驚く事に、ユリアナさんは美しいサファイアブルーの頭を下げ、謝った。
野田周さんに謝罪しているのだと分かりつつ、あたしに頭を下げられるのは妙な気持ちだ。
すると、心の内側に
”別に主任は悪いことしてないから謝らないでほしい。俺も会えて本当に嬉しいよ。マルフィじゃない所で、実際に会えるかな?”
という思いが湧いてきた。
そのままの事をユリアナさんに伝えてみた。
すると、ユリアナさんは嬉しいような、戸惑うような顔を見せた。
そして、なぜか、意味ありげに、モロゾフさんの方をチラリと見た。
「................もうこうなっては仕方ありませんね。いや、私がユリアナにエルトロンを探知してもらおうと画策した時には、すでに覚悟をしてたのかもしれません。 ご自由にどうぞ......愛する人との時間はかけがえのないものです」
モロゾフさんは窓の外の眼下に広がる美しい街にチラリと目を向け、そう言った。
「ユリアナ、良かったね!!」
マルシャさんがユリアナさんの肩に手を置き、声をかける。
「う....うん」
素直に喜べない様子で言うユリアナさん。
「でも、どうやって周さんの元へ帰りましょう」
あたしは首を傾げて言う。
あの洞窟はもう通りたくない。
「それだったら、ユリアナと私の飛翔魔法で周さんの所まで行けるよ」
「天使の飛翔魔法は少し時間がかかりますし......目立ちますので、私がお連れしましょう」親切にもモロゾフさんがそう言ってくれた。青い眼で少し怖いけど、優しい人なのね。
「アリシャさん。野田周さんは今はお一人でしょうか?どこの界におられますか?」
「ええと、グランディでアガパンサさんと言う女性と、ルーティアさんと言う女性が一緒だったと思います。今もそうなのかな......あ、どうやらそうみたいです」
心の内側から”今も洞窟の近くにいる”という思いが湧いてきた。
「アガパンサさん.....ですか.....ふぅ」
なぜか、ため息を吐くモロゾフさん。
「まあいいでしょう。では、アリシャさん、周さんの居場所をイメージしてください。私が転移を発動しますので」
「はい!分かりました!本当にありがとうございます」
あたしがイメージした直後、モロゾフさんを中心に私達全員の足元まで魔法陣が広がり......
目の前には、黄色と朱色の葉っぱをつけた木々の光景が広がった。
そこに、嬉しそうな顔の周さんがいる。
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