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ままならない関係(1)

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「納得いかない……」
 『野人時代』編集部があるフロア片隅のミーティングスペースで、早坂から見せられた色校を一目見るなりぶっすっとテーブルに顎を乗せて松苗女史は呟き、その言葉を聞いて、ええっと声を上げて椅子から腰を浮かせた早坂を上目に見た。
「どこ、だめですかっ!? すみません、僕にはさっぱりっ」
 この年頃の仕事出来る子ってなんていうかもっと根拠のない生意気さあるものなんだけど、高学歴のインテリ男ならなおさら。
 はあっ……と松苗女史は新人の頃から目をかけている後輩編集者の青年の慌てた様子を眺め、そう胸の内でひとりごちる。
 早坂の美点は物怖じしなさと謙遜にならない謙虚さだ。根拠を持って話す時は誰が相手でも結構はっきり主張するし、しつこいと思うくらい食い下がる。しかし、自分の判断が及ばない部分に関して意地を張ることはあまりない。特に自分より経験値の高い相手に対しては意見を求めることが多い、聞く耳を持つとでもいうのか……。
 だから編集長の日下部さんはじめ、年輩者キラーなのよねぇ。
 どうにも絶妙に彼らの、「俺らもあの頃若かったな」懐古心をくすぐるらしい。
 まあそれはそれとして、松苗女史が納得がいかないのは早坂が思っているような納得のいかなさではなかった。
「違う、逆。良すぎて納得いかない。思い出してもみてよ、一体、いつ、どこで、この二人がこんなすれ違いの人待ち切なさシーンみたいになってたっての?!」
 松苗女史が手を伸ばした頁は、対談のタイトルページで皇居を臨む歴史ある高級ホテルのエントランスロビーからラウンジへの境の柱それぞれに寄りかかるように佇む二人のロングショット。
 手前にロビー奥のガラスの張りの壁の外へとどこか切なげにも見える伏し目がちな顔を向けて柱の真ん中に寄りかかるように立っている塔子のニーショット、それより入口に近い柱から出て柱の影に隠れている塔子がそこにいると知っているかのように立っている上津原かみつはらのフルショットが周囲の照明の光にやや滲んだように写っている。
 それだけを切り取ってみれば、映画にでもありそうな男女の風景。
 たしかに弓月が早坂に意見した通りに、二人は見映えがする。
 けれどここでは、ほとんど二人は小競り合いのようなやりとりしかしていない。
 上津原はファンらしきちょっと優雅なお茶を楽しみに来た女性に囲まれ、さらには女性達が塔子に聞こえるようにやっかみ半分の話をしながら通り過ぎたものだから、とてもじゃないがこんなシーンには程遠かったのだ。
「ですねえ」
「別の次元の世界でも撮ってんじゃないの、あの腹黒カメラマン」
「言われてみれば、これまでのも上津原先生ほぼ素の状態なのに、写真はちゃんとイケメン獣医ですからねぇ。甘糟さんもひたむきさのある可憐な女流作家って感じだし」
 おまけになんとなく二人の間に相通じるものがありそうな雰囲気まであるように見える。実際には二人して喚いてるか、一方がむっすり黙ってて一方がおどおど萎縮しているかなのに、松苗女史の言う通り早坂も弓月の目には人とは違う世界が見えているとしか思えない。
 おまけにこんな場所あったっけ、となるようなちょっとしたスペースや大学内の風景まで撮ってて広告出稿してなくてもいい大学の宣伝よ、あれはと口元尖らせた松苗女史に早坂は苦笑する。
「色々ムカつくけど、ただ綺麗に撮るだけじゃないから余計ムカつく」
「要するに大満足の出来というわけですね」
 松苗さん途中で帰ったし、初めて外部で撮った頁で緊張してたからよかったぁ……などと言って胸を撫で下ろしている早坂に、暢気な子と松苗女史は頭を持ち上げて頬杖をついた。
「あんた、まだまだ修行が足りない」
「ええっ」
「こっちに来なさいよ」
「何度も言ってますけど来なさいよで行けるもんじゃないでしょう。それに文芸誌、結構性に合ってるんですよ」
「つまーんなーい子ーっ」
「そんなことばかり言ってるとデートにでも誘いますよ」
 さらっと思いがけない忠犬の一言に、思わず松苗女史は目を見開いて、背筋もまっすぐに座って彼女がばらした色校をまとめ直して順序と端を揃えている早坂を見上げる。
「へえ、あんたが? 言うようになったもんね」
「そ、そりゃ給料一ヶ月分も散財させられたら……多少は、生意気にもなるってもんです」
「うるさいっ」
「ええ、その一言で済ますの、いくらなんでも酷すぎませんか先輩っ」
「じゃああんたから巻き上げた賭け金でテートパレスディナーってのはどう?」
 松苗女史としてはちょっと揶揄うつもりで、見映えのする二人の背景となったロケの場所を挙げれば早坂は露骨に嫌そうな顔をして、嫌ですと断った。
「は? あんた人に言うだけいって――」
「行くなら休日ランチです。夜の松苗先輩じゃ、分が悪すぎです」
 言葉を途中で遮った早坂の言葉に、え、ちょっとなに言ってんのこの子と松苗女史は内心狼狽した。
 おそらく早坂のことだ、なにも考えず、無茶振りしがちな自分に対するいつもの微妙に気弱な皮肉や嫌味のつもりだろうけど。
 ちょっと一瞬どきっとしちゃったじゃないの、早坂相手に。
「あんた、最近ちょっと本当に生意気よ」
「す、すみませんっ」
 軽くにらめば、すかさず謝った早坂に、なんとなく安堵したようなため息を松苗女史は吐いていいけどと応じ、再び目に入った早坂が手にした原稿に目を細める。
 本当、この対談の男どもムカつく。

 *****

 対談連載初の外部撮影の場所は、皇居を臨む都内屈指の高級ホテル・テートパレス。
 ラウンジに午後二時集合。けれど塔子がホテルに到着したのはさらにその一時間前だ。 
 今回は衣装タイアップを付けているとかでホテル側が用意した控え室で支度のためであった。 
 エントランスからもうすでに老舗五つ星ホテルの貫禄を見せる建物と、煌びやかさを誇示するようものではない、上品で落ち着いた優雅さのある内装に気後れしながらホテルスタッフの案内で控え室に入れば、すでに松苗女史と衣装協力先のプレスの女性がいて、まるでファッション誌のページそのものな光景にさらにくらくらしたのであった。
 今回、複数のタイアップをまとめたのは松苗女史らしい。
「ホテルと話まとめたのは弓月さんなんだけどねー、広告代理店時代にここの仕事請け負ってて、写真の方でも一時期バイトしてたんだって」
「へえ」 
 そこからはほぼ二人の言いなりで着替え、約束の時間に合わせて約束の場所へ着いてみれば……。
「おう! きたか、失踪女――!」
 背が高くて目立つ上津原が手を挙げて、そのよく通る声でそう呼んだため、塔子は「本当にこの人……こんな場所でも」とラウンジの入口で床にくずおれた。
 気を取り直して彼に近づいた塔子だったが、上津原はどこにいても上津原だ。
「しかし、女ってのは化けるねぇ。とてもちょっと前まで男っ気ゼロだった喪女には見えねぇな。どこのお嬢だよ?」
 丁度ランチタイム後ティータイム前で人はまばらなものの、それでも周囲の耳目が撮影用に装った上津原の姿へ集中する中、いつも通りの失礼さで塔子を揶揄い、仕立ての良さが一目でわかるシルバーグレイのスーツのパンツのポケットへ無造作に手を突っ込んで、ふひひひひと柄の悪い笑い声を立てた。
 そんな上津原に、塔子は比喩ではなくぐらぐらと目眩を覚えて額に手を当てよろける。
「――っと、相変わらず足元おぼつかねえ女だな……ったく」
 細く高いヒールの先が床に敷かれた毛足の長いカーペットに取られてバランスを崩したところを上津原の片手に手首の下を鷲掴みに上に引き上げられて、塔子はすみませんと謝りかけてはっとほぼ背後に立つ彼を振り仰いだ。
「か、上津原さんのせいでしょうっっ!」
「あぁ?! 倒れかけたの防いでやったのになんだその言い草は。まともに立てもしないヒール履いてきてんじゃねぇよっ!」
「し、仕方ないじゃないですか、用意されてたものだし」
 交差した紐を結ぶタイプのヒールで固定はしているが、足のサイズより少しゆるい。
「サイズ合わないんなら別に自分のでいいだろ、まさか裸足で来てるわけでもなし」
「え、どうしてわかったんですか? サイズ合ってないって」
「蹄鉄合わねぇ馬みたいな違和感だからよ」
「馬……いや、でも組み合わせというものもあるのでは?」
「別にあんた女優やモデルじゃねぇし、それぐらい弓月さんならうまいこと撮ってくれんだろ」
 たしかに。
 上津原の言葉に、少し塔子の心が揺れた。
 実際履きなれない高さのヒールは歩くのが怖いし、ああ、でもだめだ……松苗さんがいる。
 そのために来たのではないかと思えるほど、プレスの方と一緒になってのはしゃぎようを考えると諦めるしかないとゆるく塔子は首を振った。
 ホテルの美容室から派遣された美容師がややラフに緩くまとめた黒髪が揺れる。
 塔子はやや赤味の強い紫色のシルクのワンピースを着ていた。落ち着いた光沢をもったとろりと柔らかで重量感を持った布地は、鮮やかでいながらシックで落ち着いた色味のものだった。
 飾り気のないシンプルなボックスラインのシルエットに少しボリュームのある袖のあるデザインが華奢な少女めいたイメージが強い塔子を大人の女性らしく見せ、また色の白さを引き立ててもいる。
 それに同系色の甲の部分が細い紐で編み上げになったピンヒールの靴を履いていた。
「……そういえば、弓月さんと早坂さんは?」
「バックヤードでホテルの広報担当者と話してるよ。松苗女史は?」
「松苗さんも……控え室でプレスの方と話してて」
「ったく、どいつもこいつも時間通りで動けよ。おい、そこの空いてるとこで座って待つぞ」
「はい」
 上津原に促され、高い天井に大きく取られたガラス張りの壁で明るくどこかクラシカルな雰囲気も漂うラウンジのソファの席に塔子は彼と斜向かいに腰掛け、細い足を揃えて傾け、その膝の上に両手を重ねて置いた。
「あんたなんかお稽古事でもやってたのか?」
 軽く組んだ脚の上に組んだ両手を置いて、退屈そうにそんなことを尋ねてきた上津原に、いいえと塔子は答えれば、ふうんと上津原は相槌を打った。
「いや、時々、やけに所作がきれいだからよ」
「はあ、両親から、陰気だからせめて恥ずかしくないような行儀良さでいろとは……」
「ああ、その名残ってわけか」
「たぶん」
 そ、それにしても。
 こうしてあらためて見ると――。
「おせーなー早坂さん」
 などとぼやきながら、おそらく早坂達がいる方向なのだろう顔を横向け、ゆったりと一人がけのソファの背もたれに身を預けている上津原の姿を塔子は眺める。
 明るい色味の正統派なスーツにやや派手なストライプのシャツと柄のネクタイを締め、襟足まで伸びかけている少しうねりのついた癖のある髪をオールバックに撫で付け整えている姿は確かに渋いイケメンといった世間の評通りで。背景が背景だけにヨーロッパ映画のスチールを思わせるほど絵になっている。
 これ、あの煙草とお酒と加齢臭で柄が悪くて目が鋭くて怖くて失礼な上津原さん?
 いや、きちんとしたらそうなるのは知ってはいるけど。でも、これはちょっと。
 普段と違いすぎでは!?
 思わず口の中で呟けば、即座に見知った不機嫌に目を細めた顔が塔子に向けられる。
「あ? 普段と違いすぎって……いくらなんでも中学生から妙齢の女に化けるほどじゃねぇし」
 聞こえてた!
「お、弓月さん。ようやく来たか……」
「あーごめんごめん。久しぶりだったからつい話こんじゃって……って、トーコちゃん」
 機材と共にやってきた弓月だったが、塔子を見るなり荷物を下ろしてそのまま彼女の足元に跪くように腰を落とし、えっと塔子がたじろげば、膝の上に重ねていた手を取られる。
「上津原センセーなんか置いて、また別室で撮影しない?」
「えっ、あの……えっと」
 目が、心なしか本気っぽいんですけど。
 そして、手……手を離して――。
 どう対応したものか困惑していると、すっと真上から差した影に塔子は上を見上げ、ひっと叫びそうになった声を飲み込む。
「ふざけてる暇あったら仕事しようぜ弓月さん……こっちはあんたの思いつきに付き合って喫煙禁止の場所でただでさえ気が立ってんだ」 
 お、鬼……渋いイケメンの皮をかぶった鬼――っ! 
「やだなぁ、ちょっとトーコちゃんにちょっかい出したからって怖い顔しちゃって」
「ゆ、弓月さん、たぶんそれ、かなり違うかと」
「そう? とりあえずエントランスロビー行こうか。タイトルページ向けに撮るから。あ、早坂さんは松苗女史のとこ、先進めてって」
「ったく、カドワカ連中は――」  
「え、エントランスですよね?」
 やっぱり渋いイケメンに見えても上津原さんだ。
 一人、さっさとエントランスロビーに向かう上津原の背を見ながら、塔子はそう内心ひとりごち、弓月の緩んだ手元からするりと手を抜いて立ち上がった。

 *****

 ――え、あれ誰……すごい渋いイケメン。
 ――やだっ、ほら……あの人こないだテレビに出てた……。
 ――あっ! 見た見た、あの獣医の。
 ――“上津原聡かみつはらさとし”じゃない!?

「へっ?」
 重なった黄色い声に一体なにと塔子がエントランスロビーに出れば、一足先にロビーに出ていた上津原が塔子と同年代の女性グループに囲まれていた。
 弓月は塔子の後ろにいるから、一人でいると思われたらしい。
 先日のドキュメンタリー見ました。
 どうしてこんなところに?
 わたし犬を飼ってて本持ってます。
 などと……話しかけられて上津原は、年の初めに塔子がテレビ局の控え室で見た時と同じ、いまとなっては胡散臭い笑みにしか見えない、広報宣伝用の当たり障りのない態度と作った笑みで対応している。
「あらら、人に仕事しようぜとかいって……羨ましい状態だ」
 塔子の後ろから、柱の陰にかくれる形で塔子の頭の上に腕を伸ばしてエントランスロビーを覗きこむようにしている弓月の声に塔子は振り返る。
「いや、あれはどう見ても」

 ――面倒くさいから、そんなとこ突っ立てないでさっさと来い殺すぞこの喪女っ!

「といった、目ではないかと……」 
「あはは、じゃあさっさと行かなきゃっ」
 えっ!?
 とんっと背中を弓月に両手で押され、塔子はふらりとエントランスロビーに躍り出る。
「わっ、や……っ」
 ただでさえ履きなれない高さのある細いヒールでしかも足に合っていないところを軽く突き飛ばされるようにされ、カッ、カッ、とヒールの音を立てて上津原の方向へ進めば、軽い舌打ちの音が女性達の声の中に混ざって聞こえて、弱い衝撃とよろけた自分の手が滑らかな布地を軽く叩いて滑った感触が塔子に伝わった。
「ったく、面倒な女だな……本当に」
「あ、すみません」
 パシャ――。
「あ、二人ともこっちは意識せずに。そこのお嬢さん方、申し訳ないけどちょっと撮影させてもらえませんか? あ、ラウンジはこちらね」
 弓月のにこやかだが、有無を言わせない押しの強さのある言葉通りにすっと女性達がラウンジへ向かって動く、すれ違いざま、なんだかチクチクと刺すような視線を感じて塔子は、な、なにと瞬きした。
「トーコちゃん、その服、背景によく映える」
 また、パシャりと弓月がシャッターを切る。

 ――誰、あの人……撮影って、モデルかなんか? 背、低くない?
 ――なんかどっかで見たことあるような……たまに雑誌とかで。
 ――あれ……作家じゃない? 作家の甘糟塔子あまかすとうこ
 ――ああっ、そうだ。へえ……まあ美人だけどさ、けどちょっと細すぎない? 胸もないし。

「ぶっ……くっくっ……! おい、いつまで引っ付いてんだよ」
 苦しそうに肩を震わせながらの上津原の言葉に、塔子は眉をひそめて静かに離れる。
「女って怖ぇ。くくくっ、まあ、たしかにあんた胸はねぇよな」
「放っといてっ」
「別にかまっちゃいねぇよ。しかし、なんで女はそんなのいちいち気にするかね。大きい小さい以前に、触れる乳だろうが……なあ弓月さん?」
「んー? 僕はそういうのどうでもいいから」
 あ、付き合いあるホテルん中だからって逃げやがったと上津原の呟きに、普通はそういったこと声に出して言わないんですっと塔子は声を張り上げる。
「最低っ! ああいった対応では当たり障りなく応じるのにっ」
「ああっ?! 仕方ないだろっ広告塔なんだからっ」
「だったらこれも同じじゃないですかっ!」
「原稿はあんたがうまいことやるだろうがっ」
「それがそもそも……こっちに丸投げするのおかしいですからっ」
「おい、下手に動くとまたバランス崩すぞ」
 まったくと上津原に踵を返して、腹立ち紛れにラウンジの方向へとかつかつと歩けば、そういった部分では気の回る上津原の注意の声が広々としたエントランスロビーに響く。
 響いて我に返った。
 こ、ここがっ、五つ星ホテルだってちょっと忘れてた――!
 よく考えたらこの場は自分たちだけではない、ホテルスタッフもあちこちに立っているし、他の利用客も数人弓月が誘導で少し距離を置いてで通り過ぎていった。
 さっきいた柱の陰に隠れるようにもたれて、顔を覆た塔子の耳に、なかなか姿を表さなかった二人の声が入ってくる。
「ね……早坂」
「なんですか? 松苗先輩」
「ここ……カドワカ出入り禁止になったりしないわよ、ね」
 うぅ……ご、ごめんなさい。松苗さん。
 ラウンジとの境にいるらしき二人の顔を見れない。
 これというのも、あの人が。
 柱の向こうに立っているだろう上津原を思いながら、明るい光が差し込んでいるガラス張りの壁に塔子は目を向けてふと何をやっているんだろうと思った。
 こんな場所で、こんな格好で。

『こっから先は擬似じゃない』
『あんたはそこそこいい女だ、色気はねぇけど興味深い。そういった女と出会うのは稀だ、たぶん愛せる』

 上津原の言葉が脳裏をよぎる。この対談が疑似恋愛的なもの狙ったものであることはわかっている。
 だったら最後までそうしておけばいいのに。
 ましてや自分は相手ではないなんて釘を刺すようなことまで。
 どうしてあんなこと。
 本当に、わからない。
 なんとなく釈然としない気分のなか、塔子は弓月に撮られる音を聞いていた。
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