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第一部 婚約と攻防

05.王妃の侍女

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 王宮の温室オランジェリーはなかなか立派だ。
 元々は寒さに弱い柑橘類の木を越冬させるためのものだけれど、東屋のようなものではなく少し小ぶりな一棟の建物といってよかった。
 レンガの壁に南向きに陽の光をよく取り込むよう大きな硝子窓が水晶細工のように嵌め込まれている。
 もちろん窓からの光だけでは冬の寒さはしのげないから、冬場は設えられている暖炉に火を入れ室内を暖める。
 園芸が趣味の一つである王妃様の鉢植えは温室の南の一画にあり、ハーブやバラの鉢が大半で少し珍しい百合の花などもある。

「ここ数日なんとなく見ていましたが、驚いた。あなた、“緑の指”の持ち主なんですねえ」

 建物は広々としていて、特にこれからの季節ここはちょっとした社交場サロンとなる。
 お茶を楽しむための白いテーブルセットや休憩のための寝椅子カウチなどもあり、背後から話しかけてくる声の主は、王宮の使用人に軽食とお茶の用意をさせて白いテーブルセットでお寛ぎの最中だった。

 もちろんわたしは仕事中だ。
 王妃様の鉢植えのお世話はわたしの仕事の一つで、王妃様がわたしの仕事ぶりでさすがねと褒めてくださることの一つでもあった。
 まあ農耕地である故郷で領内の人々を手伝ったり彼等から教わったりで身についた技能が、まさか王宮のお勤めに役に立つとは思ってもいなかったのだけれど。

「農耕地を治める領主の娘ですから、こうしたことに慣れているだけです。そんな大層なものじゃ」

 話しかけてくるのを無視し続ければ余計に面倒なことになるのは、ここ数日でうんざりするほど経験し、適当に応じることを覚えた。

「いや、なかなか大層なものですよ。お世辞じゃなく」

 例えばその右隅の鉢……とローブの袖を垂らして彼は一つのバラの鉢を指差した。

「咲かせる以前に育てること自体が難しい。寒さに弱くすぐ病や虫がつく。それほど綺麗に育っている苗は市場でもそうは見ません」

 仕事ぶりをほめられて悪い気はしない。
 それが悪徳魔術師であっても。

「ハーブと香辛料を浸した水を霧吹きでかけるんです。虫は嫌がって近づかなくなるし、病気になるのもいくらか抑えられます」
「なるほど。それは是非その配合をご教授頂きたいものですね。私の屋敷にも薬草園があるので」

 最強の魔術師の薬草園。
 それはちょっと見てみたい。きっと珍しい薬草もあるに違いない。

「興味ありますか?」

 カップを持ち上げ、にっこりと目を細めてこちらを見た彼に、はっとして、いいえと返事して土の弱った鉢に貝殻を砕いた粉を振りかける作業に戻った。

「遠慮なさらなくてもいいですよ。あなたならいつでもお招きします」
「だからけっ……行きませんから」

 結構ですと言いかけたのを、とっさに言い換えた。
 なんといっても悪徳魔術師、どんな言葉をどう取り上げるかわかったものじゃない。
 結構です。そうですか結構ならば行きましょうなどと、彼なら言い出しかねない。

「ふむ、そういったあなたの用心深いところ嫌いじゃありませんよ、マリーベル」
「……やっぱり」
「そんななんでもかんでも揚げ足とったりしませんから、少しは警戒を緩めてくれませんか」
「人を警戒させるようなことばかりなさる方にそれは無理な相談です。休憩ならここでなくてもいいでしょうっ」

 王妃様の鉢の世話をするのが毎日の仕事の一つと知られてから、わたしが仕事でここを訪れる時間に合わせて彼はここにやってきてお茶を嗜みながら寛いだり、寝椅子カウチに横になって本を読んでいたりする。

 丁度、ひと段落してここに休憩しにいく時間帯がたまたま重なるだけですと言うけれど、彼がいるおかげでわたしにとっては以前からの仕事の場所だというのに、すっかりここで婚約中の恋人とささやかな逢瀬をといった噂が王宮中に広まってしまっている。

 同僚には冷やかされ、顔馴染みの貴族からはからかわれ……王宮中の関係者に妙に微笑ましい目で見守られているような雰囲気が感じられて。
 毎日が、つらい――。

「ここは日光浴も出来て、緑も多くて快適ですからねえ。これからの季節は特に」
「日光浴って……」

 袖も裾も長くたっぷりした布のローブに全身包んでいるような人がなにを言っているのだか。
 人を馬鹿にするのもいい加減にしてほしい。
 本当に寛ぎに来ているのかもしれないけれどこの悪徳魔術師のことだ、王宮に噂を立てて外堀を埋めよりわたしが断りにくくなるような策略も兼ねてのような気がしてならない。

「それにしても、あなたのお父上殿はどういった方なんでしょう」
「はい?」
「田舎領主の娘などとあなたは仰いますが、いくら行儀見習いといったって王宮に誰でもかれでも上がれるわけではないし、王都に住まう貴族の娘だって難しいこともある。地方の方ならなおのこと、普通はその地域で力のある貴族のお屋敷のお世話になるでしょう?」

 また婚約結婚絡みでなにかと一瞬身構えたわたしは、ああ、なんだそんなことかと今日の鉢植えの世話を終えて立ち上がった。
 まあたしかにこの人の言う通りではある。
 実際、王妃様と出会った時にもあらまあそんな遠いところからお嬢さんがみえるのは珍しいわねと言われたし。

「あなた言葉も王都生まれの上流家庭の娘さんのように綺麗ですからね。ご本人から聞かなければ田舎領主の娘だなんて言われてもちょっとすぐには信じられませんよ」

 なんだろう、今日は随分とほめ言葉が多い。なにを企んでいるのか。

「その、人を詐欺師を見るような目で見るのを止めてもらえませんか……仮にもあなたの婚約者ですよ私は」
「ほとんど詐欺同然で婚約を承諾させたのどこの誰ですか……確かに父は田舎領主ですが、祖父の方針で若い頃に王都で学問に出してもらった人なんです。それで学生時代の友人の伝手つてを頼って。その、法務大臣様が寄宿舎で同部屋だったとかで……」
「それはまた、随分と強力な伝手だ」
「それで王家の方々のお近くの女官に入れてくださったんです」
「なるほど。で、一体どんなきっかけで王妃の侍女に?」
「うっ……それは……」

 あまり言いたくないというか。

「なんです? 隠すようなことなんですか? まさか裏取引き……」
「馬鹿なこと言わないでっ!! ああ、もうっ……あれは、王妃様がお庭で茶会を開いた日で――」

 王宮にお戻りになった際、引き連れていらしたのは侍女やご友人の貴婦人やその侍女の方々だけではなかったようで……。

「その、虫……ちょっと大振りな芋虫がですね、王妃様のドレスの裾に」
「はあ、芋虫」
「王妃様は園芸がご趣味なだけあってきょとんと落ち着いたものだったんですけれど、それで貴婦人の方々だけでなく侍女の方々まで怖がって、もう大騒ぎになってしまって……わたしたまたま廊下の花瓶のお花の入れ替えで通りかかって、何事かと思ったらただの芋虫でしょう? わたし農耕地を治める領主の娘ですから、なんだと思って」
「ええ」
「まあ一応、刺されたら嫌だしハンカチは使ったのですけど、ちょっと摘んで手近な窓から逃がしてあげて……そうしたら、それでまた皆様大騒ぎしたものですから」
「ん?」

 ――王宮にいらっしゃるような方々が、揃いも揃って芋虫一匹にうろたえてなんですかっ!!

「――と、一喝してしまいまして……」

 ぶっ……くくくっと笑い声を立てるだけでなく、その見目麗しさに反し、飲みかけていたお茶に盛大にむせて、その咳き込む声になお笑い声を滲ませている彼に、だから言いたくなかったのよと、わたしは深い溜め息を吐いた。

「笑い事じゃっ」
「あ、ああ……申し訳ありません、マリーベル……想像していたより遥かに斜め上をいく経緯だったもので、つい」

 まだ、おさまらないらしい。
 いくらなんでも笑い過ぎだとそう彼に近づいて詰め寄れば、失礼、と言って口元に手をやり二、三度咳払いした。

「あのですねえっ……王妃様がお気を悪くされず、皆をとりなしてくださらなかったら、危うく王宮を出て行くことになるところだったんですからっ……ッ?!」

 らっ、と口を開けたところに、三段の菓子皿から取った小さなパイを詰められて、んーっとわたしは呻く。

「大変だったでしょうねとは思います、まあそう怒らず」
「ぅんん、っんんーんぅんー……」
「なにを仰っているのかさっぱりわかりません」

 あなた、一体なにを~っと、詰め込まれたパイをもぐもぐしながら抗議したつもりだったが口を塞がれたも一緒だったので、ぅう~っと口をもごもごと動かしながら彼を睨みつけたけれど効果なしだった。
 涼しい顔でいる彼を腹立たしく感じながら、無理やりパイを飲み込めば、今度は喉が詰まりかけた。
 わたしの様子に、静かにお茶を新たに注ぎ入れたカップを彼が差し出したので、指先に土や貝の粉がついているのも構わず慌ててお茶を流し込み、はあっと、深呼吸をひとつして、わたしは声を上げた。

「一体、なにしてくださるんですかっ!」
「ちょっと甘い物でも食べて気を鎮しずめてもらおうかと」
「気を鎮めるどころか、息の根静まるところでしたっ!」
「上手いこと言いますね」
「あなたねえっ」

 思わずテーブルに手をついて、彼とほぼ同じ目線の位置まで前のめりになれば両手で頬をぎゅっと挟まれた。

「ひぁっ!?」
「ですからまあそう怒らず。まあ怒っても可愛らしいですけどね、あなた」

 そういう歯の浮くような台詞、その顔でさらっと言わないでほしい。
 ぞわりと背筋に鳥肌がたつようなおぞけが走って、頬を挟まれたままふるふると頭を横に振る。 

「さて、そろそろ王のところへ出向かなければ。今日はなかなか楽しかったです」
「……わたしはあまり楽しくないです」

 手が離れて、立ち上がった彼にぼやくように呟けば、くすりと彼は目を細め、それにと静かな声で言ってわたしを見下ろした。

「あなたのことも少し知れました、ではまた明日。マリーベル」

 優しげな声音がいかにも似合う、それはそれは見目麗しい顔でそんな挨拶をして彼は温室を去っていったけれど。

「……また、明日?!」

 やっぱり思った通り、王宮中の噂が流れてわたしがますます断りづらくなるようにわたしの仕事に合わせて来てたんじゃないのと、わたしはまだ甘味の残る口の中で呟いて土や貝の粉が指先についた手をふるふると震わせながら握りしめた。
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