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学園入学編

66‐社交会

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学園の社交会が始まった。

お金持ち学校なことだけあり、豪華絢爛なホールで高そうな料理が並んでいる。


「…やだなぁ」


ボソッと呟いてしまう。

目の前には人、人人人…

フォンルージュ家にいた時も社交会やパーティは何回かあったけど毎度慣れない。

ラルクに手を引かれ何とか会場に入るもすぐに出たくなる。


「兄上、俺がいるから。緊張しなくていい」


ラルクに見透かされてる。

散歩から帰りたくない犬ばりにいやいやになりながらも挨拶回りをして行った。


「フォンルージュ様、お久しゅうございます」


「あ、ああ。こちらこそ、お久しぶりです」


「フォンルージュ様、相変わらずの美貌で…」


「どうも、ありがとうございます」


「フォンルージュ様」


「フォンルージュ様」



「……」



もう勘弁してくれ。来ないでくれ。
どうせ学校で喋るんだからいいだろ。

執事長に叩き込まれたフォンルージュスマイルもどんどん引きつってくる。

早く終わってくれ…

そんな事を思いながら適当に挨拶を返している時だった。


「ルーク。そんな顔しちゃ失礼だろ?

僕の婚約者なんだから、将来の妃としてしっかりして貰わないと」


ゾワッ


いつの間にか僕の隣に来たアーノルドに背後から腰を抱かれて耳元で囁かれる。

吐息が耳に入り背中にゾワゾワと背中に鳥肌が立つ。


「ひっ…」


「王子様!」


「なんと麗しい」


アーノルドと婚約者のルークと言うセットが揃った事で更に人がワラワラと集まってくる。

身体が逃げようと動こうとするも、アーノルドにがっしり腰を掴まれて動けない。

そんな僕を横目にアーノルドがいつものポーカーフェイスで腰から僕の肩に手を置いて綺麗な笑顔で高らかに宣言する。


「将来僕の妃になるルークだ。皆、僕と共に改めてよろしく頼むよ」


な に い っ て ん だ 。こ い つ 。


なに公開処刑してんだ。やめろ。

顔が一気に熱くなるのを感じる。


皆何故かパチパチと拍手してる。

恥ずかしい…!やめて…!ラルクたすけて!


ラルクを探すが、奥の方で料理を取りに行っていたラルクがアーノルドを見てブチ切れて殴りかかろうとしているのを、周りの生徒に羽交い締めにされて止められていた。

終わった。


ガヤが「王子様ー!」「素敵な夫婦」「この国も安泰だ」だのトンチキなことばかり言ってる。

何処が安泰なんだ。目おかしいよ。
こんなヤンデレホモが王様で、後で人を虐めて断罪され処刑される王妃の国の何処が安泰なんだ?気の迷いも大概にしろ。


そんな悪態を心の中でついていると、グイッと急にアーノルドに顎をを捕まれ、前よりも身長が伸びたアーノルドの顔を見るように上に向かされ、唇を食べられる。


「んむっ!?」


ありえない!!周りみて!人いるから!
やめてって!!おい!!


手でバンバンとアーノルドの体を離そうと叩くも、その手すら取られてしまい、何も出来なくなる。


「ん゛ーーーッ!!!んっちゅ…やぁっ!むぷぁッんんッ、ん」


ディープキスされた事への驚きと沢山の人に見られているという羞恥心で耳まで熱くなって、もはや茹でダコであろう僕はもう抵抗する気すら酸欠によって頭にもやがかかり、無くなりかけていた。


「ぇふっ、んぅぢゅるっ、ん~…ぷはぁっ

っ…はぁっ…はぁ、はっ…」


「っは……」


口の中を太い舌で蹂躙されやっと解放された。息を整えると酸素が入り頭が冷静になってきたからか、周囲の反応が視界に入ってくる。

口を両手で隠し、顔を赤くしている者。
欲情した顔で見ている者。
何故か下半身を隠している者。
隣と赤い顔をしながらニコニコと喋っている者。


やばい、耐えられない!今すぐ走って逃げたい。
誰か僕を殺してくれ…っ!!


「皆僕のルークだから。手は出しちゃダメだよ」


もう喋るなアーノルド…!やめてくれ…。


恥ずかしくて周囲を見れなくて顔を両手で隠した僕はアーノルドに肩を抱かれたまま、場所を移動し一緒に食事をとることになった。

止めていた生徒を振りほどいたラルクとアーノルドが揉めている間にこっそりとトイレに逃げる。




トイレの大きな洗面台の前で一息つく。


洗面台にある大きな鏡に映る自分を見るとげっそりとやつれていた。きっとさっき心拍数が急激に上がった反動だ。


「…も…まじ…むり…」


どこぞのギャルよろしく鏡の前でため息をついている時だった。


「…あのぉ…」


「っ…?!」


人がいると思ってなかった中話しかけられ、ビクリと体が跳ねる。


「あっ、ごめんなさいっ!驚かせるつもりはなくて…っ」


「ぁ…」


声の主の方を見る。

トイレの入口にはアレンが立っていた。
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