死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

8-断罪者ラルク･フォンルージュ

僕がルークになってから2日程経った頃。
ルークである記憶がないため、この2日で父上の執事に叩き込まれていた。


僕はルーク･フォンルージュ。公爵令息。
父はサラッと言っていたが、この世界はBLアニメの世界なので、男だろうが道具を使えば子どもを孕めるようになっているトンデモ世界らしい。


僕の役割は王子の跡継ぎを産むこと。
出来れば3人欲しいらしい。誰が産むか。


コンコン


｢ルーク様、旦那様がお呼びです｣


メイドさんがノックをしてドアを開ける。


出たよ。愛しの父上クソ親父。
またどうせ僕にとっては良くない事を命令するのだろう。ルークはルークで可哀想な人物だな。こんな家に生まれて。


ルークはフォンルージュ公爵家にとってただの道具でしかない。アニメで詳しい背景までなかった気もするが、この家だからこそ、悪役にまでなったのかもしれない。


僕は父上のものへ向かった。


ーーー



｢ルーク。お前に弟ができる。名はラルク。私の兄弟の子どもだ｣


父上の手を握り僕をオドオドと見る子ども。
暗めの灰色の髪に青い目。どうやらフォンルージュ家の家系は青い目が特徴らしい。
僕は今13歳、ラルクの容姿は小さく、僕よりも少し発育が悪い気もするが、恐らく2個か1個下。

そしてラルクはアニメの主要キャラ。
ラルクはルークに虐げられる。弟とは言うが、扱いとしては使用人以下の扱いで、主人公への虐めも加担させられていた被害者。

ルークに対しての恨みは積もりに積もり、そしてついに僕の悪行を全てアーノルド王子に打ち明け、断罪へのストーリーは加速する。


要は僕が死ぬ為に必要不可欠な存在。


僕は綺麗な笑顔で彼に手を差し出す。


｢初めまして。俺はルーク･フォンルージュ。今日から君の兄だ。よろしくね、ラルク｣


僕が死ぬまで。