どこかに愛情を

今日から閻魔

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小さな理想の父親

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 みなさんにとって理想のプライベートって何ですか?僕、好きな人と過ごせることです。時間を積む事は非常に重みのあることだと思うので。
 その1つの姿として将来なりたいなと思うものがあります。これが言葉にしてみるとスケールが小さくて恥ずかしいのですが、僕の将来的な理想のプライベートは子供のサッカーを見に行く父親です。子供の好きなものを共有して支えられる親になりたいと思ってます。・・・まだ独身ですが。余談ですが、そのために就活の間、土日休みとか休日日数とか有給の取得状況などを入念に調べていました。
 僕自身、下手くそでしたがサッカーを小1~高3までしました。大学でもサークル程度の活動はしていたくらいサッカーが好きです。でもそのことを親目線で考えたことはあまりありません。スポーツを習ったことのある人はもちろん、習う子供の親を経験した方は分かると思いますが、子供1人でスポーツの習い事って出来ないんですよね。環境を整えるためには確実に大人の助けが必要です。送り迎え、道具の購入、保険などの準備と、実は周りが助けなければいけないことが割とあります。
 高校生くらいになると、こういった支えを子供側も認識していて感謝している場合は少なくありません。僕が高校生の時は、リーマンショックの中小企業への煽りが絶頂期とも言える時期でしたから、本当に親には感謝していました。サッカーってスパイクだけで年に4~5足は必要で1足7,000~12,000円くらいで大体買いますから。しんどかったんじゃないかなとひたすら感謝です。親の年収が半分近くまで減っていて色々な面で瀬戸際だったのを20歳になってから知り、頭が上がりませんでした。一方で子供が子供である事に無垢な悪のようなものを感じました。
 ただこういった感情も大体は高校生からです。小学生ぐらいでたどり着けるものではありません。身勝手に送り迎えを要求し、新しいスパイクや好きなチームのユニフォームを欲しがるのが年相応でしょう。この悪気ない身勝手に付き合える親かどうか、その身勝手をいつか自覚できる子供なのかどうか。その辺りがその家庭の幸せを雰囲気を作っていく要素なのかなと思います。僕の親は送り迎えだけは忙しくてもどうにかしてくれました。それだけでも実はすごいことです。社会人って土日も予定がありがちですから。
 今になって責める気は全くありませんが、親に感謝する一方で心残りになっていることもあります。それは、僕の親が僕のサッカーをしている姿を見ることは周りの熱心な親より少なかったことです。
 実のところ僕は最初から下手だったわけではありません。最初の方は周りよりむしろ少し優秀でした。だから親には自分がうまいことを知って欲しかったし、見て欲しかったんですね。まぁ小学生なりに親から褒めて欲しい気持ちがたくさんあったわけです。これが成長するにつれて、周りと比べると僕は足が遅く瞬発力に欠けるプレイヤーになりました。頭が回る予測の良いタイプではありましたが、だんだん負ける事は増えてしまって。試合にも出れなくなっていきました。その頃は、心底誰かに鼓舞して欲しい時期でした。自分の特徴や現状、チーム内でのポジションの経緯を理解した上で。でも残念ながら僕の親は、内情に関してはほとんど知らず、サッカーの経験も無いので表面的な会話しかできませんでした。そのせいだけではありませんが、一時期はサッカーに寂しさを感じていました。中学校では、幽霊部員という形を選ぶくらいに。高校になる少し前から、しょうもない姿勢が嫌で真剣にはなりましたが実力の埋め合わせは叶いませんでした。やさぐれ始めたあの時期にどうか救いを差し伸べられる親になりたいと思います。
 複雑な話では無いんです。ただ土日試合なら土曜日くらい全部観れる父親。もちろんその送り迎えをする父親。試合の少し前に頑張れよってスパイクを新しくしてあげれるような父親。試合に負けてボロ泣きの息子の頭を黙って撫でられる父親。勝っても負けても息子の良いところを褒めながら焼肉に連れて行く父親。そういうちょっとした何かの積み重ねでなれるはずです。全部じゃなくて構わないでしょう。いくらかをずっとし続けられる父親になりたい。愛すべき子供の頑張りたいことをなるべく横から同じ目線で見ていられること。家に帰って話を聞きながら想像でかける言葉ではなく、その場で何も言えなくても抱きしめる方がきっと愛情を伝えられるはずです。温かいものを子供の真ん中に絶やさずに注げる気がするんです。
 そういう父親になれる企業が溢れればきっと最高です。それだけで足りるとは言いませんが、「何月何日はうちの子供の大事な日なんじゃ!勘弁してくれい!」って有給の取れる企業が愛情を大切にしていると胸張っていける一歩かもしれません。子供の大事な日のためにそれ以外の日を全力でこなせる親は、きっと子供の中で一生の誇りになります。そういう思いを掲げれる社員が真剣に働いているとしたら、どんな小さな企業であれ賞賛されるべき職場ではないでしょうか。
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