どこかに愛情を

今日から閻魔

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愛の労働

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 就活中、愛情を説いた事ありませんか?
 僕は昨年がちょうど就活の年で、何回か自分の思う愛情についてお話ししました。お話をした何社かの企業の中には、実際に就職はしませんでしたが非常に褒めてくださるところもありました。そもそも何故、愛情について語ったのか。それは最近、企業側の広報が「効率至上主義」などブラックを匂わす言葉は言わず時代の流れに乗って「仕事とプライベートの両立」のような宣伝ばかりに感じたからです。要するに実際のところどうなのかを確かめたかったわけです。
 ちなみに僕の愛情についてのお話というのは仕事をするモチベーションの話です。
突然だれかに何のために仕事をしていますか?と尋ねたら、答えが基本的には「やりがい」や「収入」に落ち着くと思います。しかし、僕はここに「愛情」という選択肢があると考えてます。あくまで個人的な考えですが、誰でも誰かを好きです。誰かのために何かしようという気持ちが生活のどこかにあります。仕事でそれを実現する人もいれば、仕事で得た収入によってそれを実現する人もいるでしょう。そういう意味で僕は、どんな人も誰かのため、突き詰めては愛情のために仕事をしていると考えています。
 ですから、僕の就活の軸として企業に入る条件に社員が自分の愛情を守れるのかというのがありました。だから仕事場で親切心や絆が無いのはもちろんNGですが、仕事場の深い絆を頼りに社員に家庭などのプライベートなコンテンツでしわ寄せをさせるのもNGです。仕事場に集団としての規律があり、お互いに仕事やお客さんや同僚を好きになれる姿勢があること、プライベートの小さな行事のために予定を調整する事が可能な福利厚生が定まっていることなどが実現されていれば、それは僕の思う理想の会社でした。
 ところが就活をする中でだんだんと気づいたのは、そんな会社が日本ではほとんど無いという事でした。それは数値や先輩の話など一般的な就活の情報収集の時点でも明白でしたが面接ではより深く感じました。
 あくまで僕の感覚ですが、面接で愛情についてのお話をすると反応は大体2つに分かれます。
 1つ目は、「あー、うん。そうだね。」って反応です。人事や役員の方もそういうことが今の理想であること、ある程度発展した国で大多数が目指す幸せの姿であることを認識されているんです。にも関わらずこういう反応になるのは、愛情を守れるような環境を実現することが非常に難しいからでした。一定の利益がなければ社員を働かせるしかありません。社員もスーパーマンというわけではありませんし、利益というのは減ることすら多かれど増えることは少ないものです。ただそういうことを目指す、と話すところまでしか実情は進展しないのが現状なのでしょう。
 2つ目は、「君は何を言っているの?」というニュアンスの反応です。だいたいこの反応をする方には、仕事をしてなんぼだろう結果を出してこそかっこいいじゃないかという高度経済成長時代の男気が垣間見えます。夢=出世、物量的な豊かさといった概念です。この類の企業に勤めれる若者は、減少気味でしょう。なんでも現代の若者の中で、夢と仕事が一致していない人はもう少なくありません。趣味などに夢を見ることが認められる世の中になったからです。僕も仕事と夢が完全一致というタイプでは無いので、多分この手の会社は敬遠するはずです。
 僕の理想とする企業像がもっと日本で実現されるには、どうするべきなのでしょうか。僕の中には究極的な解決法が1つだけあります。みんな同じように思うことです、考えることです。だって思いませんか?自分だけでなく全員そう思っていれば実現できない理由はきっと無いはずです。もし、街の美容院が福利厚生の向上をしますと叫んで月曜休みから月木休みになっても激怒する人はきっといないと思うんです。結局は収入と人手の問題なんです。
 僕もあなたも誰もが、仕事の日に誰かのために10分くらいを尽くして、休みの日に少しだけ多くお金を払う覚悟を持てれば良いだけだと思うんです。全員がそうであれば、きっと仕事もプライベートも周りの人を今までより大切にできます、好きになれます。自分の生活に愛情を感じられるでしょう。
 みなさんは、何のために働いていきますか?
 
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