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〚第五章〛〜不幸な少女の”日常”編〜

〚172話〛「魔導ミスリルのレイピア」

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 「紅葉の前でそんな話するな…」
 
 「ひっ………もう訳ありません…」
 
 「気に食わないわ」
 
 そこで今まで口を開かなかった女が口を開いた。
 
 「ギルドマスターに何て口の聞き方してるの?どうせ噂なんでしょう、街を幾つも滅ぼした…なんて、皆の噂に乗せられて調子乗ってるんじゃ無いわよ」
 
 女の目付きが更に鋭くなり僕を睨んでくる。
 
 「よさんか…」
 
 「ギルドマスター、コイツと勝負させてください、コイツの甘ったれた考えを…」
 
 「無理に決まって…」
 
 ぁあ…ヤバい…狂乱が発動したかも。
 
 「良いんだけど条件付きだ」
 
 「なっ…」
 
 「条件…?」
 
 「僕が勝ったら…」
 
 殺気を乗せる。
 
 「もう家に来るな…もし来たら問答無用で殺す、まああんた等の街を襲うつもりはない…家に来れば別だが」
 
 「まるで勝つのが決まったような口ぶりね…」
 
 「余裕で勝つからな」
 
 「ッ…!言わせておけば!」
 
 女が剣を抜く。
 
 殺しちゃいけないんだったな…紅葉との約束だ、守らないと。
 
 「開始でいいのか?男」
 
 「え!ああ、いいと…思います」
 
 僕は魔導ミスリルでレイピアを二本創り出す。
 
 「二刀流…ふざけてるの?」
 
 「あ?」
 
 ノーモーションの転移で肉薄し、レイピアを首に添えた。
 
 「ふざけてるのか?」
 
 「…ッ!?」
 
 ガキンッ!
 
 僕の剣を弾き、女がバックステップで後ろに下がった。
 
 「せめて反応ぐらいしてくれよ、これなら予備用のナイフ一本で十分だぞ?」
 
 「くッ…舐めないで!!」
 
 女は僕の方まで一気に迫ると、細剣を前に突き出した。
 
 なので僕も【無風纏】を発動させながら、突き返した。
 
 そして…。
 凄まじい騒音と共に女の細剣は粉々に粉砕された。
 
 「………ぁ………っ………ぁああぁあ!!」
 
 女は僕のレイピアスレスレで手を引っ込めると奇声を上げた。
 
 「私の…竜殼の細剣がぁあ!!」
 
 当たり前だ、硬度はこちらの剣の方が上だからな。
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