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〚第四章〛〜絶望の底編〜

〚120話〛「捨て去っていくモノ」

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 如意輪観音の階層から2階層目に着いていた。
 
 そこには変わらず虫を基礎とした形の異形達がかなりの頻度で会うぐらいに居たが、姿が少し人に近づいたといえばいいのか攻撃方法に人の部位を使うようになったと言えばいいのか、攻撃の際に背中や脚として使っている人型の腕や脚が何本も重なり合い伸びて来るようになっていた。
 
 そしてその分動きも予測しづらく未来視の連続で、何度か食らうような戦いが続いている。
 
 まるで触手のように動く腕や脚の塊は、関節や骨の動きを無視したかのような動きで迫ってくる。
 それを何度も避け、隙があれば攻撃に移る、そんな戦いを何度も繰り返していた。攻撃を喰らえばステータスが殆ど役に立っていない紙防御力じゃほぼ動けなくなるレベルまでダメージが入ってしまう、もしそんな事があれば異形はチャンスとばかりにとどめを刺してくる。それをされれば暫くは動けなくなる、何度もそんな事が続けば………。
 
 お母さんとの約束がどんどん遠ざかってゆく。
 
 そんな油断出来ない戦いが続くと声を出す事も考えることも少なくなっていった。
 
 そして如意輪観音の階層から9階層目。
 
 次の階層にもしかしたら本当の最終階層ボスがいるかもしれない。正直、如意輪観音がボスだと思っていた…あれ以上に強いボスがいると思うと気分が鬱蒼となる。
 
 そして十階層目、変わらず異形達の巣窟だった。十五階層目、二十階層目と。
 
 十階層毎にボスの可能性があり僕は毎回あの絶望と対する時が嫌で嫌で仕方が無かった。
 ただ…その絶望と対する他無いと言うことは分かっている。お母さんと会える唯一の方法だって分かっている。
 
 だから…
 
 僕は自分の気持ちを捨て去っていた。
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