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〚第二章〛〜名無し編〜
〚37話〛「ゴブリン」
しおりを挟むダンジョンの内部は普通の洞窟のような感じだった。
洞窟なんて入ったことは、陽彩の時も詩亜瑠の時も無い。
ただの感覚だった。
しばらく進んでいると聞いたこともない鳴き声のようなものが聞こえてきた。
それが段々と近付いてくる。
しだいに足音が聞こえてくる。
そして姿を現したのは、薄緑色の肌色にゴツゴツした身体、そしてリアルに怖く醜い顔。
松明の光が映し出したのはゴブリンと言うらしい。
男が呟いていた。
ゴブリンはこちらを見ているが、何故か僕を見なかった。
「はッ、お前、ゴブリンより弱いのかよ」
そう鼻で嗤われる。
自分より弱い相手は見向きもしない…なんてことはなく、多分自分より強い相手が二人いるから僕を見る余裕が無いのかもしれない。
考えてるうちにいつの間にか男は剣を抜いていた。
「ぉらッ…!」
男は一気にゴブリンに近付くとひと振りで首が飛んだ。
生物の死体を見るのは初めてなので気持ちが悪い。
そして男のゴブリンへの詰め方が人間業じゃなかった…きっとスキルかステータスの力が関係していると考えておく。
男は僕を睨む。
?
何か僕がしたか分からなかった。
「おら!さっさと魔石を回収しやがれッ!!」
「魔石……?」
「はぁ~??魔石しらねぇのか??はぁ…ゴブリンの内蔵を漁りやがれ」
言われたとおりゴブリンの異様に膨らんだ腹に短剣を突き立てて…一気に刺し込んだ。
思っていたより肉を切る感触が気持ち悪くは無かった。
そして切り口に手を突っ込んで見る。
ゴブリンの鳩尾ら辺に硬いひし形の石のようなものが手に当たったので引き抜くと、紫色をした♢の形の石が取れた。
「それが魔石よ」
「さっさと仕舞って次行くぞ」
リュックの小さいポケットに仕舞い男達について行く。
ゴブリンの青い血を自分の服で拭う、ナイフも拭い逆手持ちに持ち替えリュックの紐を握るようにする。
これで肩にめり込んでいた紐の痛みは多少和らいだ。
ゴブリンや大きいフナムシみたいな奴を倒してるうちに小さいポケットがいっぱいになったのでどうすればいいか男に聞くと自分で考えろと蹴られたので、大きい普通のリュック内に放り込む事にした。
リュック中にはテントみたいなのがあったので血がつかないように服で綺麗に魔石を拭いてから放り込む。
そんな事を繰り返しているうちに4回目の下へと続く階段に辿り着いていた。
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