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〚第一章〛〜祈り村編〜

〚14話〛「幸せの終わり」

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 「は…?」
 
 家に着いた僕は母親からかけられた言葉に思わず聞き返すが、母親から声を掛けられることはなかった。
 
 ワケもわからずただ村人達に拘束されるのをまるで他人を見ているような感覚で、されるがままで。
 
 村人達が松明を持ちどこかに僕を連れて行くようで、折れるんじゃないかというぐらいに背中に曲げられた腕に意識を向けながら歩いていく。
 
 僕は…捨てられたのかな…?理由は…わからないけど…。
 
 暫く歩くとボロい小屋があり、扉が開かれる。
 
 「おら、入れ」
 「うっ…」
 
 唐突に男に背中を押され真っ黒く何かがごちゃごちゃとした床に倒れ込んでしまう。
 
 ビチャッと床が音を立てる。
 
 「うへぇ…こいつが可愛そうに感じますね」
 
 先頭を松明で照らしながら歩いていた男が、黒くドロドロしたものがついた僕を見て言う。
 
 「ああ?こいつが可愛そうってんなら一緒に入るか?まあ悪魔の子を庇ったって村長に言っといてやるよ」
 「じょ、冗談だよ…」
 
 悪魔の子やらと言っていた男が扉を閉めていく。
 
 『詩亜瑠!抑えんで良いのか!?』
 
 その様子をただ見ていた僕に向かって柚希が叫ぶ。
 
 「え…?あ、うんいいよ」
 
 少し”疲れた”からね。
 どうせ戻った所で帰る場所が無いだろうし。
 
 そう言って僕は服についた黒い汚れを少し払うと、部屋の端にあった木箱に腰をかける。
 
 「へっ、抵抗すらしねえのか、まあそのほうがラクなんだがな」
 
 扉が閉まり支え棒と鍵をかける音がする。
 ちゃんと閉まったか確認したあと男達は去っていった。
 
 『詩亜瑠……』
 
 取り敢えず小屋を見渡すが、小さな窓から僅かに差す月明かりでは殆ど見えず、今座っている木箱は横に3つほど並んでいるので、横になり膝を抱え小さく丸々と目を瞑った。
 
 体温が低いせいか身体が小刻みに震え、麻痺していた傷の痛みが戻り始めてジンジンと痛みが走る。
 
 
 
 
 
 今思い返すと6年間幸せという生活を送って来たが、落ち着かないし、自分じゃないみたいに気持ちが悪かった、前世で父親に強いられていた生活の方が落ち着いていたかもしれない。
 ラノベを読んでいたせいか死んだら異世界に行けるんだ、それまでの我慢だと思ってたからだけど。
 実際転生した世界は剣も魔法も無い世界だったけど…………
 
 
 
 
 
 
 …また、
 
 
 
 
 
 死のうかな…?なんて
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