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〚第一章〛〜祈り村編〜
〚5話〛「心霊現象Ⅲ」
しおりを挟むとりあえず近くに一本だけ落ちていた腕に触れてみる。
ひんやりと冷たく肌触りはサラサラと、美しい女性を思わせる繊細な腕だった。
握手をしても握り返すような様子は見られない。なので生えている方の腕を一本一本触ってみる、そして握ったり抜いたりしてみたが反応が無かったので取り敢えず集めてみようかと思った瞬間、少女…幼女…?ロリババア…?のような声が聞こえてきた。
「おぬし…さっきからなに人の腕で遊んでおる…せめてもうちょっと優しくせんか…」
「……そろそろ眠くなってきたし帰ろうかな」
手に持っていた腕は一応持って帰ることにして、家に向かって歩き始める。
「おぬし聞こえているじゃろ!無視するでない!あとなにしれっと腕持って帰ろうとしておるんじゃ!」
………。
「はぁ…なんでしょうか……」
「やはり聞こえていたんじゃな…、……まぁそれは置いといて、ちと頼みたい事があるんじゃが」
頼みたい事とは何かと手元の指を弄っていると
「………」
「……………?聞いてくれるのか??」
あ、返事を待っていたようだ。
「いいですよ…?」
「…、ではまず何から話そうか…」
話した内容は今までの起こした心霊現象はすべて自分がやったと言うことと、今回も驚かそうとしていた事だった。
「帰りますね、おやすみなさい」
「え?ちょ、ま、す‥すまんかったから、この通りじゃ!許してくれ!」
振り返ってみると、いつの間にか姿を現した少女が謝る時の最終奥義の姿勢を…しているわけもなく、再び帰ろうと足を進めると。
「た、頼む!待ってくれ…姿を出せないのはワケがあるんじゃ!今からそのことについて頼みたい事があったんじゃ」
「……」
「も、もう脅かしたりしないからお願いじゃ…」
「…わかりました」
話を聞いてみると、脅かすために腕に変質させ分裂していたら制御が効かなくなってしまい、動かしたりもとに戻れなくなってしまったらしい。
あっさり心霊現象の元凶が現れたのだった。しかもこんな状態で。
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