22 / 85
第一章 伝説の水魔法使い
22 職人街
しおりを挟む
リザに連れられて、職人街に来た。ここは日本で言う、オランダのような街並みだ。レンガ造りの家々が並び、すごく風情のある街並みだ。まるでファンタジー映画の中にいるような感じなのに、ものすごく臭い。
カイトの街に入って感じてはいたが、ここはかなり臭い。下水施設が整っていないからだろう。そこらじゅうに糞尿と、工業用水が撒かれている。
村では肥溜めなどの処理があったし、自然に近い感じで処理できた。だから村では匂いに関してあまり気にしなかった。しかし、レンガ造りが並ぶ街では、下水が無ければ最悪である。職人街に期待してきたのに、この匂いはひどすぎる。
俺は鼻をつまんで職人街を歩く。
「どう? アオ君。ここが職人街だよ。いろんな職人の店があるんだ」
リザに聞かれるが、俺はそれどころではない。
「臭すぎる。早く買い物をして出よう」
「そう? 私は慣れてしまったよ。どの街もこんなだしね」
リザは俺の手をつないで、離さない。彼女の手が温かすぎて、火傷しそうだ。出会って数日だが、ものすごく彼女になつかれてしまった。
「そういえばアオ君はお日様の匂いがするね。すごくいい匂いだ。あぁそうだ。アオ君の髪を切る鋏を買わないとだね」
リザは言いながら、俺の頭の匂いをクンカクンカと嗅ぐ。
「やめろ。匂いを嗅ぐな。というか、俺は水が使えるから、毎日体を洗っているだけだ」
「そうか。いいなぁ」
「何言ってるんだ。リザにも水は分け与えてるだろう」
「あれはいざと言う時の為に取って置いてる」
「やめろ。すぐ使え」
「今までが水不足だったからな。高級な水を毎日ジャブジャブ使うのは性に合わないんだ。貧乏性だからね」
臭いとかは彼女にとって慣れっこなのだろう。今までは、水で体を洗うこともほとんど出来なかったはずだからな。
今度から、何が何でもリザの体を清潔にしよう。俺の力があれば可能だ。病気になられてからでは遅い。
そんな旅に関係ないことも考えつつ、見つけた店に入った。一番初めに入った店は荷車や馬車などを作る店。木材などが大量に置いてある、工務店のような店だ。
リザはその店に入ると、頑固そうな親父と何か話しを始めた。親父は叫ぶように話をしていて、なんだかうるさい。頑固な職人だから、ヒステリックなのだろうか?
俺は子供なので、出来るだけ話し合いには混ざらず、買う時だけ口を出すようにする。「あれが欲しい!」と、子供っぽく演技するだけでいい。そうすればリザが職人と話を付けてくれるはずだ。
店の奥は倉庫になっており、商品が乱雑に置かれている。一人用の手押し車から、リヤカーみたいなもの。貴族用の馬車も置いてあった。
今回買うのは、商人用の幌付き牛車だ。それなりにしっかりとした物で、大きさで言えば2トントラックに相当する。今は牛二頭しかいないので、その牛車を引っ張るには重すぎる。牛はあとで買い足すことになった。
「それじゃ、アオ君。明日牛を連れて取りに来ることになったから、お金出して」
俺はリザに金を2万シリル渡す。一気に金が無くなったが、仕方あるまい。
俺たちはそれからさまざまな店を一気に回る。ポーションなどを売っている薬屋。鍋や包丁、生活に必要な道具を売っている雑貨屋。必要なものを買いそろえる。牧草や野菜なども買っておいたが、手に持てない大きさだったので、出発するときまで店で保管してもらうことになった。
「アオ君。大体買い物は終わりそうだね。後は武器屋くらいかな?」
「そうだな。それは明日にしよう」
俺とリザは日が暮れそうになった職人街を後にし、食べ物を買って教会に戻った。
カイトの街に入って感じてはいたが、ここはかなり臭い。下水施設が整っていないからだろう。そこらじゅうに糞尿と、工業用水が撒かれている。
村では肥溜めなどの処理があったし、自然に近い感じで処理できた。だから村では匂いに関してあまり気にしなかった。しかし、レンガ造りが並ぶ街では、下水が無ければ最悪である。職人街に期待してきたのに、この匂いはひどすぎる。
俺は鼻をつまんで職人街を歩く。
「どう? アオ君。ここが職人街だよ。いろんな職人の店があるんだ」
リザに聞かれるが、俺はそれどころではない。
「臭すぎる。早く買い物をして出よう」
「そう? 私は慣れてしまったよ。どの街もこんなだしね」
リザは俺の手をつないで、離さない。彼女の手が温かすぎて、火傷しそうだ。出会って数日だが、ものすごく彼女になつかれてしまった。
「そういえばアオ君はお日様の匂いがするね。すごくいい匂いだ。あぁそうだ。アオ君の髪を切る鋏を買わないとだね」
リザは言いながら、俺の頭の匂いをクンカクンカと嗅ぐ。
「やめろ。匂いを嗅ぐな。というか、俺は水が使えるから、毎日体を洗っているだけだ」
「そうか。いいなぁ」
「何言ってるんだ。リザにも水は分け与えてるだろう」
「あれはいざと言う時の為に取って置いてる」
「やめろ。すぐ使え」
「今までが水不足だったからな。高級な水を毎日ジャブジャブ使うのは性に合わないんだ。貧乏性だからね」
臭いとかは彼女にとって慣れっこなのだろう。今までは、水で体を洗うこともほとんど出来なかったはずだからな。
今度から、何が何でもリザの体を清潔にしよう。俺の力があれば可能だ。病気になられてからでは遅い。
そんな旅に関係ないことも考えつつ、見つけた店に入った。一番初めに入った店は荷車や馬車などを作る店。木材などが大量に置いてある、工務店のような店だ。
リザはその店に入ると、頑固そうな親父と何か話しを始めた。親父は叫ぶように話をしていて、なんだかうるさい。頑固な職人だから、ヒステリックなのだろうか?
俺は子供なので、出来るだけ話し合いには混ざらず、買う時だけ口を出すようにする。「あれが欲しい!」と、子供っぽく演技するだけでいい。そうすればリザが職人と話を付けてくれるはずだ。
店の奥は倉庫になっており、商品が乱雑に置かれている。一人用の手押し車から、リヤカーみたいなもの。貴族用の馬車も置いてあった。
今回買うのは、商人用の幌付き牛車だ。それなりにしっかりとした物で、大きさで言えば2トントラックに相当する。今は牛二頭しかいないので、その牛車を引っ張るには重すぎる。牛はあとで買い足すことになった。
「それじゃ、アオ君。明日牛を連れて取りに来ることになったから、お金出して」
俺はリザに金を2万シリル渡す。一気に金が無くなったが、仕方あるまい。
俺たちはそれからさまざまな店を一気に回る。ポーションなどを売っている薬屋。鍋や包丁、生活に必要な道具を売っている雑貨屋。必要なものを買いそろえる。牧草や野菜なども買っておいたが、手に持てない大きさだったので、出発するときまで店で保管してもらうことになった。
「アオ君。大体買い物は終わりそうだね。後は武器屋くらいかな?」
「そうだな。それは明日にしよう」
俺とリザは日が暮れそうになった職人街を後にし、食べ物を買って教会に戻った。
0
お気に入りに追加
2,739
あなたにおすすめの小説
筑豊国伝奇~転生した和風世界で国造り~
九尾の猫
ファンタジー
亡くなった祖父の後を継いで、半農半猟の生活を送る主人公。
ある日の事故がきっかけで、違う世界に転生する。
そこは中世日本の面影が色濃い和風世界。
しかも精霊の力に満たされた異世界。
さて…主人公の人生はどうなることやら。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
幸運の最強錬金術士 - 幸運を極めた真の最強錬金術師は雑草からでもポーションを作る!
かわち乃梵天丸
ファンタジー
事故で親を失ったアーキは親代わりのギルド長から酷い扱いを受けていた。
アーキは日没寸前にもかかわらず薬草を採ってこいと言われ森に入るが迷ってしまう。
夜の森で見かけたのは幸運が100倍になる輝く果実『幸運の実』であった。
果実を食べ幸運の上がりまくったアーキは錬金を成功しまくり一流の錬金術士に成長し、ギルド長に鉄槌を下す。
だが、使ってはいけない隠しレシピで錬金をしているのが国にバレ、衛兵に捕まってしまい……。
これは後に最強賢者と呼ばれる錬金術士がご都合展開などと呼ぶのは甘っちょろい、幸運の連続により成り上がる物語である。
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
祖母の家の倉庫が異世界に通じているので異世界間貿易を行うことにしました。
rijisei
ファンタジー
偶然祖母の倉庫の奥に異世界へと通じるドアを見つけてしまった、祖母は他界しており、詳しい事情を教えてくれる人は居ない、自分の目と足で調べていくしかない、中々信じられない機会を無駄にしない為に異世界と現代を行き来奔走しながら、お互いの世界で必要なものを融通し合い、貿易生活をしていく、ご都合主義は当たり前、後付け設定も当たり前、よくある設定ではありますが、軽いです、更新はなるべく頑張ります。1話短めです、2000文字程度にしております、誤字は多めで初投稿で読みにくい部分も多々あるかと思いますがご容赦ください、更新は1日1話はします、多ければ5話ぐらいさくさくとしていきます、そんな興味をそそるようなタイトルを付けてはいないので期待せずに読んでいただけたらと思います、暗い話はないです、時間の無駄になってしまったらご勘弁を
巻き込まれて気づけば異世界 ~その配達員器用貧乏にて~
細波
ファンタジー
(3月27日変更)
仕事中に異世界転移へ巻き込まれたオッサン。神様からチートもらってやりたいように生きる…
と思ってたけど、人から頼まれる。神から頼まれる。自分から首をつっこむ!
「前の世界より黒くないし、社畜感無いから余裕っすね」
周りの人も神も黒い!
「人なんてそんなもんでしょ? 俺だって黒い方だと思うし」
そんな元オッサンは今日も行く!
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
転生貴族の異世界無双生活
guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。
彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。
その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか!
ハーレム弱めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる