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第一章 伝説の水魔法使い

20 大金を手に入れ、職人街へ

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 ライドに水を売りつけることに成功した。牛が運んできた、樽の水も買い取ってくれることになった。

 樽の水だが、さすがに売るとなって躊躇した。なにせ、死体が浮いていた水だ。俺の魔法で浄化したと言っても、不安は残る。ライドへ渡す前に再度浄化をしておいた。

 念のためライドに聞いてみたが、細菌や重金属も含まれていない、綺麗な水とのことだ。ライドはリトマス試験紙以外にも、水を検査する薬品を持っていた。検査したところ、樽の水は完璧な水質とのことだ。どうやら俺の浄化魔法は最強らしい。

 しかも18リットル入りの樽を四つ売ったので、4万シリン以上になった。細かい金額は省くが、とにかく、一気に金持ちになった。

「ライド、その水、どこに売りつける気だ?」

 リザは販売経路を聞くが、ライドは当然喋るわけがない。

「安心しろ。足はつかないように売るさ」

 俺は思う。安心など出来るわけがない。俺はライドを少しも信用していない。必要な物資を購入したら、早めにこの町を出るべきだ。ライド経由で、俺たちに魔の手が迫るかもしれない。

 リザもそれは感じたのか、金を現金でもらうと、すぐにライドと別れることにした。

「また入手したら売ってくれ。その時は大金を用意しておく」

 ライドは不気味な笑みを浮かべていたが、もう二度と会いたくないと思った。


★★★



「リザ。ライドはどんな男なんだ?」

「私も詳しくは分からない。ただ、一匹オオカミの商人なんだ。個人の冒険者にも水を売ってくれるし、私的には重宝していた商人だよ。だけど、闇の組織ともつながりがあるみたいだ。実際、あいつも冒険者で、ゴールドランクだよ」

 なんと。ゴールドランク? それはリザよりも強いのか?

「戦闘力は私より低いよ。あいつは偵察の依頼とか、そんなのばかりこなしてランクを上げてるんだ」

 ほう。ランクだけが強さじゃないんだな。

「アオ君。そんなことよりも、必要なものを買って、明日にはここを出よう。今日中に出たいけど、全部の店を回れそうにない」

「分かった。でも、この街を出るのはいいけど、オアシスの場所はわかるのか?」

「砂漠のどこかにあるみたいだが、定かじゃない。私に言わせれば、アオ君がオアシスそのものだから、アオ君の行きたいところに付いていくよ」

 俺がオアシスだと? そんなことを言われてもな。こんな安定していないオアシスなんて嫌じゃないか? ずっと追われ続けるようなオアシスなんて、オアシスと言わないぞ。どうにかして、俺だけの楽園を手に入れる必要があるな。

「とりあえず、オルフェや牛たちの餌を買おう。牛に引かせる荷車も買うんだ」

「分かった。ここからだと職人街が近い。そこで必要な物資がそろうはずだ」

 職人街? なんだかおもしろそうな場所だな。異世界の剣や銃器には、俺も興味がある。牧草を買うついでに見て回るか。 

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