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748、隠居はしません
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なるほど、クリアしないとランク据え置きってことか。
でもこれ、素地は出来てる依頼だから、大変なのは魔大陸素材を集めるだけかも。だって俺、魔物倒せないから。魔大陸の魔物なんて、死に戻れって言われてるようなもんだし。
例えば魔物素材じゃなくても、通常の所よりもエンカウント率のかなり高い魔大陸でなんて、素材を採取している間に魔物に挽かれるのがオチだしな。
ここは素直にクラッシュに手伝ってもらうほうがいいのかな。
依頼書とクエスト内容が完全一致してるのをちょっとだけ面白いと思いながら顔を上げると、すでにクラッシュは外に行くために外套を羽織っていた。気が早すぎでしょ。
「今から行くの?」
「だって素材採取でしょ。まだ時間あるなら早いうちに取って来た方がいいじゃん。今お客いないし」
「そう……なんだけどね。店は」
「大丈夫大丈夫。ここのアイテムはお金を払えば手に入るように魔法陣をセットしてるから普通に誰もいなくても店は機能するんだよ。それに、面倒だからこの村にも各街のギルドに置いてあるのと同じ魔法陣をセットしたから、誰もいなかったら他の支店に跳ぶでしょ」
「うわあ、セットしたって、クラッシュが?」
「そうだよ。ケインから習ったんだ。魔法陣魔法、大分使えるようになったよ」
「うわあ……」
固定の魔法陣まで自分で描けるようになったんだ、と感心してクラッシュを見ると、腰には滅茶苦茶性能のよさそうな剣がぶら下がっていた。そうだよ。剣も今はトップランカーにも引けを取らないくらい使えるようになったし、魔力も増えたから、魔法攻撃とかも出来るようになったんだった。何気クラッシュってハイスペックだよね。顔もいいし、性格も……イイ性格をしてる。
「こういうのをオールマイティっていうのかな」
「それ悪口?」
「違うよ。なんでも出来てすごいなって」
素直に吐露したら、クラッシュが呆れた顔をしてこれ見よがしに溜め息を吐いた。
「なんでもなんて出来るわけないじゃん。俺、調薬とかできないし。錬金釜も俺の場合うんともすんとも言わなかったし。それにね、全てを平均で出来るよりは、何かに突出して特技がある方がさ、全然いいと思うんだよね。マックみたいに。確かにマックは戦闘はダメダメだけど。それが逆にいいんじゃないのかなあ。マックの味じゃん。俺、マックが嬉々として魔物をザクザク切って回ってたらきっとドン引きすると思うし、調薬も天才的でしかも強かったら、きっと嫉妬すると思うよ」
「そんな、魔物をザクザク倒すのは無理だけどさ。ええともしかして褒められてる?」
「この上なく褒めてる。それにマックが戦えたら、ヴィデロが立つ瀬なくなるんじゃないかな。ヴィデロ、戦闘特化だし」
「え、ヴィデロさん、語学とか滅茶苦茶出来るよ。頭良すぎだよ。剣が使えて戦えて頭もいいとか、ヴィデロさんほんと最強だよね」
「え、ヴィデロそんなに頭いいの? っていうか惚気?」
「だってアリッサさんの息子だよ。それにヴィルさんの弟だし。それに惚気るならもっと盛大に惚気る。あの筋肉とか顔とか声とか性格とかもうさいこ……」
「ああ、納得……確かにあの女史はヤバいほど頭の回転が速かった……その息子かあ。あ、でもマックの言うオールマイティっていうのは逆にヴィルみたいなやつのことを言うんじゃないかな。最近顔を出さないけど。最近全然一緒に気になるところ巡りしてないけど!」
俺の言葉を遮ってブツブツと呟いたクラッシュは、またも口を尖らせた。そんなにヴィルさんと遊ぶのが好きだったんだね、クラッシュ。それとなく伝えておくね。忙しくて無理だとは思うけど。俺も全然顔を見てないし。
ヴィルが来なくて暇だからマックに付き合うよ、と当てつけの様に強調して店を出るクラッシュに苦笑しながら、俺は依頼内容の魔大陸素材を20種類集めた。出てきた魔物を難なく一人で倒すクラッシュは、本当に腕を上げていて、なんだかちょっと羨ましくなったけれど、さっきの「マックの味」というクラッシュの言葉が頭を過って、ふと笑いが浮かんでくる。俺は戦闘は専門じゃないからいいのかな。でもたまに、もっと強ければヴィデロさんを俺が護ることも出来るんじゃないかな、なんてことは思う。護られるだけじゃなくて。
でもヴィデロさんの親友でもあるクラッシュは、俺とヴィデロさんの両方を見てくれていて、持つべきものは親友だな、なんて嬉しくなる。
早くランクを上げて余ってる素材を買い取れば、クラッシュは喜んでくれるのかな。そう思うとちょっとだけ気が楽になった。
集めた素材を、ディスペルポーションで洗い流す。ついでにディスペルポーションレシピを書いて、素材とディスペルポーションとレシピをクラッシュに納品する。クラッシュが依頼完了のハンコを押すと同時に、ピロンと通知音が響いた。
ギルドカードをクラッシュに渡して、クラッシュがそれを魔道具にかざすと、俺のギルドカードには燦然と輝く「A」の文字が現れていた。やった。
「それにしても、魔物討伐をまったくこなさないAランクギルド員なんて、なかなかお目にかかれないよ」
カードを俺に渡しながら、クラッシュがくくくと笑ってそんなことを言う。確かにね。ギルドの依頼には討伐がほとんどだし、かといって採取だとランク低い所にしか貼ってないし。
とにかくおめでと、とクラッシュはおざなりなお祝いの言葉を述べて、ドン、とカウンターにデカい箱を置いた。
中には雑多な魔物素材が所狭しと詰め込まれている。
「まだまだあるけど、マックはどれくらい欲しい? ここ一応トレの雑貨屋の系列支店だから、あっちの店と同等の割引できるからさ。沢山買ってよ」
山積みの素材は、全て汚れ切ったようなどことなく薄汚れてるように見える。ぱっと見ゴミに見えなくもない素材は、鑑定眼を使ってみると、極上の素材の山だった。防御力とか付随する属性耐性とかが、半端ない。すごくいい防具を作れそうな物だった。かといって毛皮とかは俺使わないんだよなあ。
錬金と調薬に使えそうな素材を選んで山のように買い取ると、クラッシュは元気よく「毎度アリ!」といい笑顔を見せた。
ちなみに、提出したレシピの使用料は、ギルドの俺の口座に入るようになるらしい。働かなくても暮らしていけるんじゃ、なんて呟いたら、クラッシュにすごい顔ですごまれてしまった。働かないなんて言ってないから。俺も調薬とか大好きだし! だから真顔ですごまないで欲しいんだけど。結構怖いよ。
でもこれ、素地は出来てる依頼だから、大変なのは魔大陸素材を集めるだけかも。だって俺、魔物倒せないから。魔大陸の魔物なんて、死に戻れって言われてるようなもんだし。
例えば魔物素材じゃなくても、通常の所よりもエンカウント率のかなり高い魔大陸でなんて、素材を採取している間に魔物に挽かれるのがオチだしな。
ここは素直にクラッシュに手伝ってもらうほうがいいのかな。
依頼書とクエスト内容が完全一致してるのをちょっとだけ面白いと思いながら顔を上げると、すでにクラッシュは外に行くために外套を羽織っていた。気が早すぎでしょ。
「今から行くの?」
「だって素材採取でしょ。まだ時間あるなら早いうちに取って来た方がいいじゃん。今お客いないし」
「そう……なんだけどね。店は」
「大丈夫大丈夫。ここのアイテムはお金を払えば手に入るように魔法陣をセットしてるから普通に誰もいなくても店は機能するんだよ。それに、面倒だからこの村にも各街のギルドに置いてあるのと同じ魔法陣をセットしたから、誰もいなかったら他の支店に跳ぶでしょ」
「うわあ、セットしたって、クラッシュが?」
「そうだよ。ケインから習ったんだ。魔法陣魔法、大分使えるようになったよ」
「うわあ……」
固定の魔法陣まで自分で描けるようになったんだ、と感心してクラッシュを見ると、腰には滅茶苦茶性能のよさそうな剣がぶら下がっていた。そうだよ。剣も今はトップランカーにも引けを取らないくらい使えるようになったし、魔力も増えたから、魔法攻撃とかも出来るようになったんだった。何気クラッシュってハイスペックだよね。顔もいいし、性格も……イイ性格をしてる。
「こういうのをオールマイティっていうのかな」
「それ悪口?」
「違うよ。なんでも出来てすごいなって」
素直に吐露したら、クラッシュが呆れた顔をしてこれ見よがしに溜め息を吐いた。
「なんでもなんて出来るわけないじゃん。俺、調薬とかできないし。錬金釜も俺の場合うんともすんとも言わなかったし。それにね、全てを平均で出来るよりは、何かに突出して特技がある方がさ、全然いいと思うんだよね。マックみたいに。確かにマックは戦闘はダメダメだけど。それが逆にいいんじゃないのかなあ。マックの味じゃん。俺、マックが嬉々として魔物をザクザク切って回ってたらきっとドン引きすると思うし、調薬も天才的でしかも強かったら、きっと嫉妬すると思うよ」
「そんな、魔物をザクザク倒すのは無理だけどさ。ええともしかして褒められてる?」
「この上なく褒めてる。それにマックが戦えたら、ヴィデロが立つ瀬なくなるんじゃないかな。ヴィデロ、戦闘特化だし」
「え、ヴィデロさん、語学とか滅茶苦茶出来るよ。頭良すぎだよ。剣が使えて戦えて頭もいいとか、ヴィデロさんほんと最強だよね」
「え、ヴィデロそんなに頭いいの? っていうか惚気?」
「だってアリッサさんの息子だよ。それにヴィルさんの弟だし。それに惚気るならもっと盛大に惚気る。あの筋肉とか顔とか声とか性格とかもうさいこ……」
「ああ、納得……確かにあの女史はヤバいほど頭の回転が速かった……その息子かあ。あ、でもマックの言うオールマイティっていうのは逆にヴィルみたいなやつのことを言うんじゃないかな。最近顔を出さないけど。最近全然一緒に気になるところ巡りしてないけど!」
俺の言葉を遮ってブツブツと呟いたクラッシュは、またも口を尖らせた。そんなにヴィルさんと遊ぶのが好きだったんだね、クラッシュ。それとなく伝えておくね。忙しくて無理だとは思うけど。俺も全然顔を見てないし。
ヴィルが来なくて暇だからマックに付き合うよ、と当てつけの様に強調して店を出るクラッシュに苦笑しながら、俺は依頼内容の魔大陸素材を20種類集めた。出てきた魔物を難なく一人で倒すクラッシュは、本当に腕を上げていて、なんだかちょっと羨ましくなったけれど、さっきの「マックの味」というクラッシュの言葉が頭を過って、ふと笑いが浮かんでくる。俺は戦闘は専門じゃないからいいのかな。でもたまに、もっと強ければヴィデロさんを俺が護ることも出来るんじゃないかな、なんてことは思う。護られるだけじゃなくて。
でもヴィデロさんの親友でもあるクラッシュは、俺とヴィデロさんの両方を見てくれていて、持つべきものは親友だな、なんて嬉しくなる。
早くランクを上げて余ってる素材を買い取れば、クラッシュは喜んでくれるのかな。そう思うとちょっとだけ気が楽になった。
集めた素材を、ディスペルポーションで洗い流す。ついでにディスペルポーションレシピを書いて、素材とディスペルポーションとレシピをクラッシュに納品する。クラッシュが依頼完了のハンコを押すと同時に、ピロンと通知音が響いた。
ギルドカードをクラッシュに渡して、クラッシュがそれを魔道具にかざすと、俺のギルドカードには燦然と輝く「A」の文字が現れていた。やった。
「それにしても、魔物討伐をまったくこなさないAランクギルド員なんて、なかなかお目にかかれないよ」
カードを俺に渡しながら、クラッシュがくくくと笑ってそんなことを言う。確かにね。ギルドの依頼には討伐がほとんどだし、かといって採取だとランク低い所にしか貼ってないし。
とにかくおめでと、とクラッシュはおざなりなお祝いの言葉を述べて、ドン、とカウンターにデカい箱を置いた。
中には雑多な魔物素材が所狭しと詰め込まれている。
「まだまだあるけど、マックはどれくらい欲しい? ここ一応トレの雑貨屋の系列支店だから、あっちの店と同等の割引できるからさ。沢山買ってよ」
山積みの素材は、全て汚れ切ったようなどことなく薄汚れてるように見える。ぱっと見ゴミに見えなくもない素材は、鑑定眼を使ってみると、極上の素材の山だった。防御力とか付随する属性耐性とかが、半端ない。すごくいい防具を作れそうな物だった。かといって毛皮とかは俺使わないんだよなあ。
錬金と調薬に使えそうな素材を選んで山のように買い取ると、クラッシュは元気よく「毎度アリ!」といい笑顔を見せた。
ちなみに、提出したレシピの使用料は、ギルドの俺の口座に入るようになるらしい。働かなくても暮らしていけるんじゃ、なんて呟いたら、クラッシュにすごい顔ですごまれてしまった。働かないなんて言ってないから。俺も調薬とか大好きだし! だから真顔ですごまないで欲しいんだけど。結構怖いよ。
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