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23、好き
しおりを挟む排泄する機能ないのに孔なんてあるのかな、という俺の疑問は、即解消された。
ヴィデロさんの指が、孔らしきところを撫でている。
たまにくっと力が入るから、たぶんある、孔。
やっぱり俺がオンナノコになるんだな、なんて、諦めにも似たドキドキ気分を味わいながら、ヴィデロさんの舌を軽く噛んでみた。
俺の精液舐めた口でキスするんですよこの人。興奮するだろ。
図らずも、精液の味を知ってしまった。
うん、なんでこれを美味いと言えるのか疑問だ。
差し込まれた舌に、少しだけ顔をゆがめた俺を見て、ヴィデロさんはちょっとだけ目を細めた。あ、これ、絶対俺の反応を楽しんでる。
「ふ……、ん」
ヴィデロさんの指は、いきなり差し込まれることもなく、俺の尻の谷間を撫でている。
それが妙に気持ちよくて、しっかり勃ち上がってる俺のナニは、ナニもされてないのになんか液体を零して腹を濡らしている。
時折その腹を指が撫でていくから、きっとその液体で俺の、尻の孔を、濡らして……。
「ヴィデロさ……、あの、ちょっと待って」
ちょっとログインしてないときネットで調べたんだけど。
男同士でするのって、濡らさないとそもそも挿らないって、実体験をした人がブログに書いてた、はず。
もしかして、俺が零したこの恥ずかしい液体で濡らすの?
それだったら、傷が深くならないうちに、と俺は手を宙に這わせた。
「マック……?」
口を離して、ちょっとだけ不思議そうな顔をして、ヴィデロさんが見下ろしてくる。
「俺の、カバン取って……」
中には各種液体が入ってるから。
何がいいのかはわからないから、そこはそれ、経験値高そうなヴィデロさんに選んでもらおう。
名残惜しそうに身体を離すと、ヴィデロさんがベッドから降りて、机の上に置いてあった俺のカバンを持ってきてくれた。
起き上がってカバンを漁る。
取り出したのは、すべて俺作のハイポーション、マジックポーション、スタミナポーション、キュアポーション。あとは錬金で作った物数点。
それをずらっと並べて、ヴィデロさんに進呈した。
「どれを使えばいいかわからないから、ヴィデロさんが選んで、これで、俺のを解して……」
言ってて恥ずかしくなってきた。自分から開発してって言ってるようなもんだろこれ。
ヴィデロさんは真剣な顔をして並んだ液体を見ていたけれど、一つ手に取ると、残りは俺のカバンにしまってくれた。
「これ、マックが作ったのか?」
「うん。……それ、使う?」
手に持っていたのは、『ホットゼリー』とかいう名前が付いた、錬金素材。
そのままでも素材としても使える、スライムの核と火薬草とかを使って作るゼリーだった。
そのまま塗ると、寒さが軽減される優れもの。素材として防具に使うと『寒さ軽減』が付加された防具が出来上がる。その代り耐久値は減っちゃうけど。
肌に直接塗っても、基本寒くなくなる程度だから、全然使えるんだけどね。塗る場所が塗る場所だから、少しだけドキドキする。
「ああ、ありがたく使わせてもらう」
ヴィデロさんは、俺のカバンをもう一度机に置いてくると、ギシ……とベッドに上ってきた。
ぬるり、とゼリーが塗られていく。
塗られたところが、だんだんとぽかぽかしてくる。
ヴィデロさんは、俺の尻の間だけじゃなくて、ナニにも腹にも丁寧にそれを塗ったくった。
あ、なんか、あったかくて、気持ちいい。っていうか、ゼリーのたっぷりついた手でナニを扱かれるの、熱い。
さっきよりもずっと下半身の反応が良くなってる気がする。
「あ、あぁ……」
熱くてよくて声にも熱がこもっていく。
ヴィデロさんは首とか胸とかに唇を這わせながら、俺のモノを扱いては、俺の声に目を細めている。
乳首を軽く噛まれて、ピクンと身体が跳ねる。
わき腹を撫でられて、あまりの良さに身体が捩れる。
ぬるりと扱かれて、思わず腰を自分で突き上げてしまう。
熱い。
「は、ン……ぅあ、ぁ」
喘ぐ声まで熱い。顔も、頭も沸騰してる。
撫でられ扱かれ、俺の足は自然と開いてヴィデロさんを歓迎してる。
ナニを扱いていたその手が、尻の間に滑り落ちていく。
さっきは撫でていただけのそこに、指が引っかかり、ぐい、と少しだけ押される。
「あ、あ……指が……っ」
ずる……と身体の中に、挿ってきた……。
ゼリーで滑りがいいのか、さほど抵抗なく指が挿し込まれてくる。
塗られたところが熱くなるのは、中も同じ。
指が動くたびに、腹の中が熱くなる。
あったかくなると、身体もほぐれるの早いよな。俺の尻も。
じわじわとあったかくなる腹の中の変化は、俺の脳内で快感として処理されてくみたいで、ヴィデロさんの指が通るところが蕩けていく。
「マック、辛くないか?」
「っ、全然辛くないのが辛い……っ、あっ……ぅん」
頭の中までゼリーを塗られたみたいだ。身体全体が熱い。
もう、この熱何とかして欲しい。腹の奥がグルグルしてる。
ヴィデロさんは、ゼリーを追加しつつ指を増やしたりもっと奥に差し込んだりして俺の中を解すと、「そろそろ大丈夫か?」って耳元で囁いてきた。
聞かないで――。わからないから。
あいまいに首を動かすと、そっとヴィデロさんの指が抜けていった。
手に残ったゼリーを太ももに塗りつつ、脚を開かれる。
ヴィデロさんが足の間に身体を進め、俺を見下ろす。
脳内まであったまった俺は、そんなヴィデロさんに見惚れていた。だってなんか、行動は淡々と俺を解していたくせに、顔だけは、ちらっと欲望が見えてて。たまに息が荒くなりそうなのを我慢してるところがまたセクシーで。
ちゃんとそういう行動が俺とつながりたいんだなってのがわかって。
俺は腕をヴィデロさんの肩に伸ばした。
腕はピンと伸びてるけど、少しでも触っていたかったんだ。
この胸と胸の隙間が少しだけ寂しいけれど、くっついちゃったらそれこそ下半身くっつくの辛そうだから、と見上げるだけで我慢する。
ゼリーはヴィデロさんのヴィデロさんにも塗り広げられて、それが今まで解してたところに添えられる。
俺の腹の表面とか、ナニとかすごく熱いから、きっとヴィデロさんも熱いはず。
ぐい、と腰が進められて、ヴィデロさんが俺の中に挿ってくる。
熱い、という言葉が身体中を巡っていく。
圧迫と熱と、愛しさと嬉しさがないまぜになる。
少しずつ少しずつ俺の中を侵食してくるヴィデロさんが嬉しくて、思わず口元を緩めると、上から吐息にも似た喘ぎが降ってきた。
ヴィデロさん、エロすぎか。
「あ……ん、すご、あつ……っ」
「……っく、マック……」
囁き声で呼ばれる名前に、どうしてヴィデロさんは俺を健吾って呼んでくれないんだろうなって少しだけ思ったけれど。
ぴたりと、尻とヴィデロさんの腰がくっつく。
奥まで挿入を果たしたヴィデロさんの口から、艶のある吐息が洩れる。
指が届かなかった奥まで何かが侵入している感覚に、ゼリーのせいだけじゃない熱さが胸にこみ上げた。
そして、ほんの少しの寂寥感。
ログアウトすれば、ヴィデロさんはまさに夢の人になるから。
「マック、辛くないか?」
「大丈夫、嬉しい」
「マック……これで、俺は、全部マックの物だから。愛しい、というこの感情も、ちゃんとマックの胸に刻みつけておいてくれないか」
ヴィデロさんも、少しだけ寂しそうな顔をした。
たぶん、ヴィデロさんも俺がプレイヤーだってわかってるんだ。
俺は、ん、と頷くと、掴んでいた肩を引き寄せた。
唇が重なる。
そのヴィデロさんの動きで、さらに奥に熱がこもり、俺の口から吐息が洩れる。
もう、胸の間の距離は0だ。寂しくない。
「ヴィデロさん、好き……」
俺は精一杯の気持ちを込めて呟いた。
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