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間話 或る生徒の妄想(会計×司)
幸薄オメガは会計に愛される2
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「死ぬつもり?」
フラフラと、生気を失った顔で柵に足をかけた司に、黙って見ていた五十嵐が声をかけた。
ゆっくりと振り向く、司。交差した視線。その瞬間、雷に打たれたような衝撃が走った。
ーーー今のは、何?
生まれて初めて味わう感覚に、その場にへたり込んだ。
頭の中が、目の前の男でいっぱいになる。
「あ~なるほど、これが運命の番ってやつか」
「何ですかそれ」
「運命の出会いを果たしちゃったらしい」
感想を声に出しながら読んでいると、風紀委員の一人、一年の御手洗くんが聞いてきた。
図体はでかいが、ワンコ系の可愛い後輩だ。風紀に出入りしているうちに、お茶を出してくれるようになった。
冒頭のオメガバースの説明にあった、運命の番。アルファとオメガの間だけに成立する、遺伝子的相性が最高に良い相手のことらしい。まさに運命、てやつだ。
「なんか、聞いてると少女漫画っぽいですね。運命って」
「お前少女漫画読むの?」
「姉貴が好きで、家に少女漫画ばっかあったんですよ」
「へー」
身長百九十超えの図体で少女漫画を読んでいる御手洗のことを想像して、なんかほっこりした。
確かに、昔からある御伽噺のような展開だ。遺伝子で定められた運命。俺としては、遺伝子なんかに支配されるのは真っ平御免だ。生き方や側にいたい人間ってのは、運命なんかじゃなくて自分で切り開いて選びとっていくものだろ。
「司先輩かっこいいっすね。なんかついて行きたくなる」
「わかる。最初は悪役令嬢なんてどんな高飛車系だと思ったけど、どっちかっていうと風紀寄りですよね」
「委員長と仲良いのも頷けます」
流石に昔同じ暴走族の、俺が総長でアイツが特攻隊長だったんです、なんて言えない。こいつらを信用していないわけじゃないが、もしもの場合に噂になったりしたら困るからだ。
ふむふむと読み進める。
五十嵐という運命の番に出会った俺は、そのまま五十嵐の部屋にお持ち帰りされた。手が早いなオイ。
「ッ、ふ、ぁっ……んっんっ」
部屋に入るなり、ドアに押し付けられて唇を重ね合った。薄く開かれた唇の隙間から、肉厚なアルファの舌が抉じ開けて入ってくる。何度も名前も知らない男たちに好き勝手された咥内は、運命の相手との触れ合いに悦んだ。
「オメガって割には、しっかり男の体してんだね」
普段であれば、軽薄そうな言い方に好意を抱くことなんてないと思っていたのに、彼に触られるだけで体が熱くなって、何も考えられなくなってくる。ただただ嬉しい、もっと触ってほしいと思うばかりで、思考が蕩けていくのがわかった。
発情期じゃないのに、どうしてしまったんだろう。怖い。この男に触れていると、自分がどんどん自分じゃなくなっていくような気すらした。
呼吸すらも出来ないほどの激しいキスを重ねて、やっと五十嵐の舌が離れていく。飲み込めない唾液が、涎のように滴り落ちた。
五十嵐の身体が離れた瞬間、かくんと身体がその場に落ちそうになった。
「もしかして、腰砕けちゃった?」
まだキスしかしてないのにね。と運命のアルファが嗤った。
フラフラと、生気を失った顔で柵に足をかけた司に、黙って見ていた五十嵐が声をかけた。
ゆっくりと振り向く、司。交差した視線。その瞬間、雷に打たれたような衝撃が走った。
ーーー今のは、何?
生まれて初めて味わう感覚に、その場にへたり込んだ。
頭の中が、目の前の男でいっぱいになる。
「あ~なるほど、これが運命の番ってやつか」
「何ですかそれ」
「運命の出会いを果たしちゃったらしい」
感想を声に出しながら読んでいると、風紀委員の一人、一年の御手洗くんが聞いてきた。
図体はでかいが、ワンコ系の可愛い後輩だ。風紀に出入りしているうちに、お茶を出してくれるようになった。
冒頭のオメガバースの説明にあった、運命の番。アルファとオメガの間だけに成立する、遺伝子的相性が最高に良い相手のことらしい。まさに運命、てやつだ。
「なんか、聞いてると少女漫画っぽいですね。運命って」
「お前少女漫画読むの?」
「姉貴が好きで、家に少女漫画ばっかあったんですよ」
「へー」
身長百九十超えの図体で少女漫画を読んでいる御手洗のことを想像して、なんかほっこりした。
確かに、昔からある御伽噺のような展開だ。遺伝子で定められた運命。俺としては、遺伝子なんかに支配されるのは真っ平御免だ。生き方や側にいたい人間ってのは、運命なんかじゃなくて自分で切り開いて選びとっていくものだろ。
「司先輩かっこいいっすね。なんかついて行きたくなる」
「わかる。最初は悪役令嬢なんてどんな高飛車系だと思ったけど、どっちかっていうと風紀寄りですよね」
「委員長と仲良いのも頷けます」
流石に昔同じ暴走族の、俺が総長でアイツが特攻隊長だったんです、なんて言えない。こいつらを信用していないわけじゃないが、もしもの場合に噂になったりしたら困るからだ。
ふむふむと読み進める。
五十嵐という運命の番に出会った俺は、そのまま五十嵐の部屋にお持ち帰りされた。手が早いなオイ。
「ッ、ふ、ぁっ……んっんっ」
部屋に入るなり、ドアに押し付けられて唇を重ね合った。薄く開かれた唇の隙間から、肉厚なアルファの舌が抉じ開けて入ってくる。何度も名前も知らない男たちに好き勝手された咥内は、運命の相手との触れ合いに悦んだ。
「オメガって割には、しっかり男の体してんだね」
普段であれば、軽薄そうな言い方に好意を抱くことなんてないと思っていたのに、彼に触られるだけで体が熱くなって、何も考えられなくなってくる。ただただ嬉しい、もっと触ってほしいと思うばかりで、思考が蕩けていくのがわかった。
発情期じゃないのに、どうしてしまったんだろう。怖い。この男に触れていると、自分がどんどん自分じゃなくなっていくような気すらした。
呼吸すらも出来ないほどの激しいキスを重ねて、やっと五十嵐の舌が離れていく。飲み込めない唾液が、涎のように滴り落ちた。
五十嵐の身体が離れた瞬間、かくんと身体がその場に落ちそうになった。
「もしかして、腰砕けちゃった?」
まだキスしかしてないのにね。と運命のアルファが嗤った。
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